下男4
久しぶりです。いろいろ忙しくかなりかかりました。皆さん、僕を覚えていますか?
「どんな話なんだ?」
お茶を啜りながら季利栖に尋ねる。
「スーパーのレジの人に聞いたんだけど」
ある大学生のAさんが終電を過ぎてしまって帰れなくなったBさんを家に招待しました。Aさんの家は景色がとてもいいと評判だったマンションに住んでいたのでBさんは楽しみにしながら家に向かいました。
家についたBさんは早速ベッドの反対側にある大きなベランダの窓から外を眺めました。するとBさんは
「今からコンビニ行こう」といいました。Aさんは
「ええぇ!帰ってきたばっかりだよ!?飲み物も食べ物も冷蔵庫の中に入ってるから別に買わなくてもいいよ」
といったのですが、BさんはしつこくAさんを誘いました。
Aさんは根負けし、ぶつぶついいながらも付き合いました。玄関まで着き、自動ドアをくぐり、さぁ行くかと移動し始めました。ですがBさんはコンビニがあるほうと反対の方向に歩き始めました。AさんはそっちじゃないよといったのですがBさんはいや、こっちといって黙々と歩き始めました。さすがのAさんもなにかおかしいと感じ、Bさんに訪ねました。
「どうしたの?一体なにがあったの?」
「ここまでくれば大丈夫か」
Bさんはそう言い、Aさんの質問に答えました。
「実は私が窓を見ると、窓にベッドが写って・・・・・そのベッドの下にカマをもった人が隠れてたの。あそこで言うと殺されると思ったから、外に出て知らせようと思って。今向かってるのは交番」
「という話よ」
季利栖もお茶を啜る。
なるほど。それでピンときた。季利栖はそんな僕の顔を見てなに?と聞く。
「いやなに。季利栖が帰ってくるまでの間、事件のことを考えてたんだけどね。似たような話を聞いたことがあるなぁと思ってたんだけど、それだ」
「ただの噂話ではないみたいね」
自分が初めて聞いたことをなぜか僕が知っていることを疑問に思っているらしい。
「そりゃそうだ。これは都市伝説だ」
お茶のおかわりを注ぎながら言う。
「世の中の噂でできたジャンルが都市伝説。笑えるものから社会現象までになったものまで様々なものがあるけど、今回のその噂は下男、またはベッドの下っていう話だね。」
「ただの噂話でしょ。事件には関係ないわ。私は今回の事件の場所や間取りが似てるなと思って聞いただけ。ただ・・・・」
形のいい眉を寄せて話す。
「この噂はいきなり広まったらしいの。都市伝説自体私だって初めて聞いた。それがここ最近で広まるっておかしくない?しかもピンポイントなところがある話だし。」
季利栖が考え込んだ顔をしている横で、達也はすっきりした顔をしている。そのことで季利栖は苛立ちをみせた。
「・・・なにか知っているような顔ね。今話したら許してあげるわよ」
「はい、すいませんごめんなさい!!!だから包丁を抜いてぬいてぇぇぇぇぇ!でちゃう!いろいろ大切な思い出ごとでちゃう!!」
どこからか取り出した包丁をしまい、季利栖は尋ねる。
「今回の事件となぜか一致することの多いこの噂。なにかカラクリがあるのかしら?」
さすがに話さないとサイコロステーキにされそうなので達也は話し出す。
「僕の父が危ない仕事をしていることは前にも言ったね。この事件はある物質によって起こったものだと思う。それはMIIというものだ」
「みぃ?」
なんのこっちゃみたいな顔をしている。
「そう。このMIIはどこから発生しているのかはまだわからないみたいだけど、これが人の一番強い感情に反応してそれを具現化するものらしい。
世界各地で起こる謎現象はこの物質によるものだ。例えば奇跡の生還とか、地獄のような事件とか幽霊もね。もちろんそんなことが日常茶飯事だと世の中むちゃくちゃになるから条件があるけど」
「なに?その条件って」
「それは簡単。感情の量と質だ。同じことを願う人が多ければ多いほど反応する。質っていうのは重さだな。なんとなく分かってると思うけどわかりやすく言うね」
自分の父親の仕事の話をするのはなにか、恥ずかしい感じがするが、なんでも知っている季利栖に説明するのは気持ちがいい。
「十キロ入る箱に一個一キロのボールを十個入れての十キロが量のこと。一個十キロのボールひとつ入れることが質だ。だから時にはひとりの感情でMIIが反応することもある」
これでMIIの説明は終わり、と一区切り入れて茶をしばく。そこで季利栖が
「じゃあ、今回の事件はMIIが関係してるってこと?」
「そうゆうこと。噂話がみんなに同じ感情を持たせて、それによりMIIが反応したんだろう。まぁ確定ではないけど。あと誰が噂話を広げたかも疑問だね。明らかに狙ってやってるだろうし」
きちんとした事件の可能性も否定はできないが、あの部屋の惨状からは、確かにMIIの可能性もある。そのことを考えていた季利栖が疑問を抱く。
「とろこで、なんでMIIって名前なの?なにかからとったの?」
やっぱきたかと達也は話す。
「あぁそれはね。父が母にそれを言ってほしかったからだよ」
「?」
今度はどゆこと?みたいな顔をしてる季利栖。
「ほら、MIIって猫の鳴き声みたいじゃん?父はそれを母に言わせたい一心でその名前をつけたんだ。いやぁ変人がすることはわからないね。そうそう、季利栖が言ったときとてもかわいかったぽぁ!」
口の中に高速で入れられた手榴弾が爆発して、僕の頭は花火になりました。
少しずつ世界観がでてきたかな?まだまだ出してないものとかもあるんだけどそれは機会をみて出していきます。どうですか?少しは暇が潰せましたか?