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下男3

ここから少し事件に踏み込んでいきます。構想考えるのってこんなにしんどいものなんだね。楽しいけど。

ここからそう遠くない位置に小さい島がある。この島の人口は十五万人。マンションやアパートばかり建っているベッドタウンというよりベッドアイランドだ。

ほかの建物があるとすればコンビニやスーパー、病院のみ。美容院やゲームセンターなどもない。本島とは橋と船で行き来できる。ただ寝るためだけの島だ。

ここで殺人は起きた。

僕らは橋を渡り、島についてから約五分走り、問題のマンションに到着した。全十一階建の六階。


「しかし、見事にマンションだらけだ。しかもこのマンションのように高いものばかり」


「それはそうよ。本島は家よりも娯楽施設ばかり建てて土地がなくなっちゃったんだから。だからわざわざ埋め立てて住むところばかりの島を作ったのよ」


「しかしだ・・・それよりももっと不思議なことがある」


「?」


「なぜ僕らはこうも簡単に事件現場の部屋にこれるんだ?」


なんだそんなことかと季利栖は呆れ顔で言った。


「だってこの島には家からもお金をだしてるし、それに私は警察や軍の中に知り合いが大勢いるもの。このぐらいはちょろいわ」


(こいつの数少ない信頼できる人はそういうのばかりなのか?)


疑問は空を飛んでいるカラスにでも食べさせといて僕たちは問題の部屋に入る。

お金が多く必要な感じのするこのマンション。実際はキツキツの部屋割をしており、部屋の中は意外と狭い。ワンルームだ。


「部屋の中は事件のときのままだそうよ」


まず受ける印象は散らかっていないこと。


(争っていないのか?)


小物やぬいぐるみさえコケたり落ちたりしていない。ただ、異常なまでの


「血の量だな」


壁は血だらけだった。もちろん床も。机も。


「これは手慣れた奴の仕業だろうな。争った形跡もなく、ただ血だけが付いている部屋。首をやられたっていうのは頷ける」


「ただ、ひとつだけ気になることがあるのよ」


手を顎に当てながら季利栖は言った。


「これ見て。窓」


「?」


言われたまま僕は窓を見に行った。ただの窓以外には見えない。


「これがどうしたって言うんだ?」


何言ってんだこいつと思っていたら季利栖も同じことを思っていたらしく、


「見てわかんないの?窓だけがキレイなのよ。それこそ血のひとつもついてない」


そういえば窓は指紋がないほどキレイだ。

床や壁、あげくには天井にさえ血はついている。なのにこの窓だけがキレイなのだ。違和感バリバリである。


「知り合いに聞いた話だと、凶器は刃物。それも空中に浮いたティッシュでさえ切れるほどの切れ味の。そして進入経路は不明。目的も不明。被害者は恨みを買っていたわけでもないらしい。だから怨恨でもない。謎だらけだわ」


目が輝いていやがるぜこいつ


「犯人の毛髪や指紋などもでなかった。ただの快楽殺人犯として警察は調べているらしいわ」


「ふーん」


現場にきてわかったのは血だらけの部屋と窓が異常にキレイということだけ。ほかの部屋、つまりトイレや風呂場なども調べたけどこれといってなにもなかった。

もうすぐ夜。

時間も時間なので僕たちは犯行現場から離れ、近くの空いていたマンションの一室に入った。もちろん季利栖のお金の力だ。


「これといった情報も手に入らなかったなぁ」


季利栖は運転手と一緒に夕飯の買い物に出かけて僕は留守番。暇なので事件について考えていた。事件の状況を思い出した時、


「あれ?どっかでこれに似た話を見たことがあるような気が・・・」


頭に引っかかったものを取り出そうと悪戦苦闘していると


「今帰ったわ」


季利栖が帰ってきた。手にはこの島唯一のスーパーの袋がぶら下がっていた。


「今から準備するから待ってて」


と言い、台所へ


「えっ料理するの?出来合いのじゃなくて?」


なんだこの母性スキルは!?


「今日は食べたいものがあったんだけど生憎売ってなかったから」


このお嬢が食べたいものだからなぁ・・・・期待できそう!

時間にして約一時間。ついに料理が運ばれてきた。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なに?これ」


「バター」


んなもん見たらわかる。理由はバターだけっていうことだ。


「これだけ?」


「そう」


偏食にもほどがあるだろ!まだファーストフードばっかり食ってるほうが体にいいわ!


「なぜにバター?てか売ってるだろ腐るほど!」


「だってシルクミルキーロードのバターなかったから仕方がないのよ」


シルクミルキーロードっていうのはそれひとつで家が一軒建つくらいの値段のバターである。


「じゃあなに?今までわざわざ原料の牛乳まで取ってきてバターを作ってたのか?」


「そうよ。これだけでだいたいのエネルギーは補えるわ」


こいつの頭はぶっ飛んでるのか?てかバターって一時間で作れるものなの?



いろいろ言いたいことはあるがせっかくの手料理?なのでありがたく頂くとする。

食事も終わり、ゆっくりお茶なぞ飲んでいると、季利栖が


「そういえば、スーパーに行った時、事件に関係しそうな噂話を聞いたの」



この話を聞くことにより二人は事件の登場人物へとランクが上がったことをまだ知らない。

次より下男の物語を知ることになります。どうでしょう、少しは暇を潰せましたか?

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