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一寸ババア4

白い。ただただ白い。

宙に浮く感覚だけ感じる。

自分の体は座ったまま。

ヘンテコな感覚が体中を覆っている。

目を開けているのかどうかもわからない。

生きているのかも。

時間の間隔もないが、多分、この感じになってすぐだ。

頭の上から声がする。


「・・・なんだ?」


(お久しぶり、てところかしら。達也)


女性の声。

どこかで聞いたことがあるような気がする。

だが・・・思いだせない。


「誰だ。ここはどこなんだ?」


(あら、私のことを覚えていないの?)


「申し訳ないが、覚えてない」


はぁ、と溜め息が聞こえる。


(ひどいわ。この戦友に向かって)


「戦友?」


訳がわからない。


(・・・本当に覚えていないのね。とても酷いことでもあったのかしら)


「・・・」


(じゃあ、自己紹介から。私の名は真相 季利栖。かつて、あなたとバケモノ相手に戦ったのよ)


「僕が?」


(そうよ。そこで私は死んでしまったけど。あなたはあいつを倒したわ)


「・・・」


(あれからもう五年。そろそろ敵をとってくれてもいいんじゃない?)


「敵?その話が本当なら、僕が倒したのなら、もう終わってるだろう」


(いえ、まだよ。MIIが無くならない限り、私と同じ目にあう人が多くでてくるわ。私はそれを望まない。私は死に、その体は何故かMIIに変化した。だからわかる。これは有ってはならない。)


ちょっと待て。なんなんだこの状況は。



「なんで僕なんだ!ここにはたくさんの人がいる。そいつらに頼んだらいいだろ!」


(黙りなさい。あなたにしか出来ないの)


「は?なんで!?」


(だってあなたは・・・まぁいいわ。それより記憶と力を取り戻しましょう。今のあなたでは話にならないわ)


「・・・話が本当なら頼むよ。その後のことはその時に決めさせてもらう」


(ええ。じゃあ、しばらくお別れね。・・・また会いましょう、達也)


「ああ、あの世で」


声と気配が消えた。そして、意識は遠のき、体はさらに浮いた。











「骸」


髪の長い女性がでかい銃を肩に抱き、話しかける。

壁に刻まれた名前を見ていた骸は振り向く。


「なんだ、沙織さおり


沙織は疑問を口にだす。


「なんであいつをわざわざ探したんだ?そこまでの人物とは到底思えない」


骸は腕を組み、答える。


「あいつは、M01数体におよそ一ヶ月の間、嬲り殺しに合っていた」


息を飲む沙織。


「不死身は死なない。だからこその拷問だな。そして俺たちが助け、あいつを家に返した。だが、あいつは心に深い傷を負い、部屋から二年。一歩も外に出なかった」


「・・・家族は」


「そう。両親とも不在だ。食物が無くなったあいつは何をしていたと思う?自分を食ってたんだ。腕を、足を、顔をな。二年もの間ずっと自分の血肉で生きていた。不死身でも空腹は耐え難いものらしい」


「そして忘れることでいつもの自分に戻った」


「壮絶なことはわかった。しかし、それは説明になっていない」


「おっと、そうだったな。あいつは特別なモノをもっている。父はあの自切。母は如月きさらぎ。これだけ言えばわかるな」


「如月・・・てあの如月ですか!」


「そうだ。だからこそだ。それに、あの部屋に留まっていたMII。あれも特殊だ。おそらく、達也に何かしらの変化を与えるだろう」


「・・・わかった。これで他の仲間も納得すると思う」


「ここからが本番だ。はたして、記憶が戻った時、あいつは耐えられるのかどうか」


また、壁に名前を掘らないといけないのか、と思いに耽る骸。


「記憶を戻し、自切の居場所を吐いてもらわなければ・・・世界が無くなる」



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