表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/14

一寸ババア1

次の相手でございます。

ある事件が起きた。

ある一軒家での殺人事件。被害者はトイレで殺された。

凶器は刃物。それも針のようなものによって体中を刺され、抉られたらしい。

手掛かりは盗撮用のカメラ一台のみ。トイレは上に小窓があるだけ。

その小窓は人が通れる大きさはなく、トイレのドアも中から鍵がかかったままの状態で発見された。

眞鍋達夫まなべたつおは驚愕していた。

このニュースがテレビから流れてきたとき、心拍は上がり、冷や汗もでてきた。

なぜ、こんなことになったのかと何回も問うた。

達夫は犯人ではない。

達夫が焦っているのは盗撮だ。


達夫には家族がいない。年齢も五十になる。

仕事は問題ないのだが、毎日がとても退屈だった。

ある日、仕事から帰っていく道中で綺麗な女性とすれ違った。

達夫はその女性に一目惚れした。

この出会いで達夫の人生は楽しいものに変わった。

話しかけるほどの度胸はなかったが、いつもの帰りの時間に決まった場所で女性を見ることができた。

その時間に間に合うように仕事を進めることで働きぶりも変わった。

そのことで上司に認められ出世もした。

達夫の人生は上り調子になっていった。

しかし、不満もあった。

いつまでも見ているだけの自分。

いつまでも振り向いてくれない彼女。

その不満はやがて大きな欲求へと変わった。

もともと女性と話すのが苦手で遠くから見ていることで満足してきた人生。

なら、もっといろんなところを見ることができればこの欲求は満たされるのではないか。

そう考えた達夫は、盗撮用の小型カメラと信号を贈る機材、受信するアンテナと盗撮用のパソコンを購入。

出世もでき、お金はあった。

そして、女性をストーキングし、家を突き止めた。

女性の家は家族三人暮らし。

両親と暮らしているようだ。

家を知った次の日。

達夫はその家にトイレを借りることで侵入。機材を設置した。

彼女の部屋でもよかったのだが、両親の母親が彼女の部屋らしきところを掃除していたため、トイレに計画を変えた。

それが事件の前日の話しである。


警察がこのカメラを分析し、持ち主を即座に発見するだろう。

達夫は腹を括った。

警察が来る前に自首しよう。

初犯で自首すれば、結構刑期は軽くなるだろう。

そう考え、警察に行った。

近くの交番の警察に自首。そのあと、警察署に連れていかれ、事情聴取を受けた。

なにせあのカメラはデータをパソコンに送るので、カメラ自信に記録は残らない。

録画されたディスクを達夫は持っていっていた。

彼が行なったのは犯罪ではあるが今回の殺人事件の有益な手掛かりになる。

すぐにそのディスクを再生した。

そこにはトイレに入ってきた被害者の女性が写っていた。

この映像を見ているのは捜査本部の刑事。

少しでもなにか手掛かりはないかと食い入るようにテレビを見ている。

そして、用をたした女性が立ち上がったとき



上の小窓がガラッと開いた。



女性はその小窓に視線を向けた。

その瞬間、小さな何かが彼女の口に入り舌を切断した。


(!!!!!!!)


フガフガと叫ぶ女性。


トイレの床は切り落とされた舌と血で水溜まりができている。

女性はあまりの痛さにトイレに座った。口から出てきたのは


約三センチの老婆。


ありえない大きさの老婆の手には五寸釘ほどの縫い針。

その老婆は女性を

刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す。

抉る抉る抉る抉る抉る抉る抉る抉る抉る抉る抉る抉る抉る抉る抉る抉る抉る抉る抉る抉る抉る。

ビクンと跳ねていた女性の体もいつしか力が抜け、だらんとしている。

気が済んだのか老婆は行為を止めた。

そして血まみれのなかの女性の死体の上でしっかりと



カメラを見て言った。



「次はお前の番だ」



そこで映像は終了した。



誰もが固まっていた。

予想外の犯人。もはや人ではない。

誰しもが寒気を感じる中、



天井でゴトッと音がした。


序章ですがいかがだったでしょうか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ