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種馬スキルの悪役貴族に転生した俺、断罪を回避し娘たちと自由に生きることにした。  作者: みなもと十華@書籍&コミック発売中


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第6話 初めてのクエスト

 今日も今日とて冒険者ギルドの扉をくぐる。

 ただ、いつもと違うのは、娘と一緒ということだ。


「こんにちは、サーシャさん」


 受付嬢のサーシャさんに声をかけると、彼女は戸惑った顔になる。


「あっ、れ、レインさん。こんにちは」

「今日も初級クエストを頼むよ」

「は、はい。あの……」


 どうもサーシャさんの様子がおかしい。


「どうかしましたか?」

「あの、本当に娘さんが……」


 サーシャさんの視線がエステルへと移動する。


「はい、娘のエステルです」

「や、やっぱりぃ……レインさんって結婚してたんですね……ごにょごにょ」

「どうかしましたか?」

「い、いえ」


 やはりサーシャさんの様子がおかしい。体調が悪いのかな。


「大丈夫ですか?」

「は、はい、ちょっとビックリしまして。昨日、この子がレインさんの家を教えて欲しいって……」

「ああ、サーシャさんが。その節はありがとうございました」


 サーシャさんが俺の家を教えてくれたのか。エステルが無事に俺の家まで着けて良かった。


 俺は袖を掴んでいるエステルに顔を向ける。


「ほら、エステル」


 紹介しようとするが、当のエステルは俺の後ろに隠れてしまった。

 人見知りかな?


「エステル、お姉さんに自己紹介しようか」

「よろしく……お願いします」


 エステルがちょこんと頭を下げると。サーシャさんの顔が緩む。


「か、かわいい~! 私はサーシャよ。エステルちゃん、よろしくね」

「よろしくです」


 サーシャさんのテンションが上がったようだ。元気になって良かった。

 ただ、何かぶつぶつと言っているのだが。


「そうよね、バツイチかもしれないし。お子さんも可愛いから問題ないわよね……ごにょごにょ」


 何の話だ? バツリッチーと聞こえたような? S級モンスターかな?


 そんなことを考えていると、ザークとガランがやってくるのが見えた。


「おい、ザーク、ガラン!」

「ひぃっ!」


 俺に気づいたザークが悲鳴を上げ後ずさりする。


「お、おう、レイン……さん」

「れれれ、レインさん、本日はお日柄もよろしく」


 ザークの様子がおかしいと思ったが、ガランも変だ。お日柄の話なんてどうでもいいだろ。


「どうしたんだ、いつものように嫌味の一つや二つ言わないのか?」

「めめ、滅相もありません。天啓てんけいのレインさんに嫌味なんて」

「そ、そうですよ。今日も討伐クエストですか。さすがですぜ」


 やっぱり二人の様子がおかしい。変なもんでも食ったのか? ヤベぇキノコとか。


「そ、それはそうと、レインさんはお強かったのですね」


 ザークが揉み手を始めた。何だそれは。


「あの屈強な大男を、いとも簡単に捻っちまいましたからね。さすがですぜ。へへっ」

「俺か? 俺は普通だろ。レベル上げしてれば誰でもあのくらいは簡単だぞ」


 普通にレベル上げしただけだしな。ゲームでもレベル上げは基本だ。


「またまたぁ、そんなのはレインさんだけですぜ。レベルを30以上に上げられるのはS級冒険者みたいな強スキル持ちだけって聞きましたよ」


 えっ!? そうなのか? よく知らねえけど。

 まあ、この世界の住人は、鑑定の儀式をしないとレベルが分からないけどよ。


「そうなんです。レインさんは凄いんですよ」


 そこに女性の声が加わったかと思ったら、クエストのスクロールを持ってきたサーシャさんだった。


 しかも何を思ったのか、娘のエステルまで目を輝かせているじゃないか。

 さっきまで俺の後ろに隠れていたのに、前に出てきて胸を張っているのだが。


「えっへん! お父さんは凄いんです。戦士としても超一流なのに、魔法の知識まで賢者級なんですよ」


 エステルの言葉で周囲からどよめきが起きた。


 ザワザワザワザワザワ――

「お、おい、やっぱり天啓のレインは世界最強なのか?」

「でもハズレスキルだって……」

「今までは隠してたんだろ」

「ヤベッ! 俺、レインの悪口を言ってたかも?」

「今度、酒でも奢って機嫌を取るしかねえな」


 待て待て待て! やめてくれ! 変な噂を広めるんじゃねえ!

 強いのは俺の種なんだよ!


 気恥ずかしくなった俺は、エステルを連れギルドを後にした。



 ◆ ◇ ◆



「エステル、ここがダンジョンだ」


 俺は、森の中にあるダンジョンの入り口を指差しながら言う。


 これが数多の冒険者が最深部を目指し命を落としてきた、魔物の巣窟である。

 いつから存在しているのか誰も知らない。

 神話の時代なのか、それとも近代に入ってから突然出現したのか。


 いずれにせよ、溢れた魔物を討伐しないと農作物や街に被害が出る。

 だからこうして俺たち冒険者が討伐クエストをしているという訳さ。


「ごくり……」


 エステルは緊張の面持ちで入り口を見ている。


「大丈夫だ、エステル。俺が付いてるからな。何かあったら俺が守ってやる」

「お、お父さん」


 怯えるエステルを背中に隠すようにして、俺はダンジョンの門をくぐった。



 ズバババババババババーン!

「「「グギャアアアアアアアアアア!」」」


 ズドドドドドドドドドーン!

「「「ギョエェエエエエエエエエエ!」」」


 ダンジョン内にモンスターの断末魔が響く。

 凄まじい電撃魔法により、モンスターの群れが焼き尽くされているのだ。


「ん゛!?」


 無詠唱で魔法を連発するエステルを見ながら、俺は驚きで絶句していた。


 えっ! ええっ! これ、俺は何もすること無いんじゃね?

 エステルが全部倒してくれているのだが!

 無詠唱魔法と聞いて凄いとは思ったけど、まさかここまでとは……。


「お父さん、どうですか?」


 敵を全滅させたエステルが、ちょこちょこと駆け寄ってきた。


「お、おう、凄いぞ。上出来だ」

「えへへ、お父さんのお陰です」


 エステルが満面の笑みになる。

 俺は何もしていないのだが。

 そういえばエステルってレベルはいくつなんだろ?


 疑問に思った俺は、エステルにステータスオープンを使った。


 ――――――――――――――――

 エステル Lv87

 種族:ハーフエルフ

 職業:魔法使い

 スキル

 無詠唱魔法

 二重魔法

 電撃

 雷槍

 龍雷撃

 ――――――――――――――――


「なっ! 何だこりゃあぁああ!」


 突然、大声を出した俺に、エステルが不思議そうな顔を向ける。


「どうかしましたか? お父さん」

「な、何でもないよ」


 しまった。つい驚いて声を出してしまった。

 エステルのレベルが俺より高いじゃないか。初期ステータスが高いのか?

 しかもスキルに上級魔法まで……。

 こんなに優秀なのに、エフルの里では無能扱いされていたのか。


 エステルの気持ちを考えると、俺まで涙が出てきそうだ。

 まだ子供なのに、『お前は価値が無い』と言われたら、どんなに傷つくか。


 そうか、この世界の人はステータスの詳細が見えないのか! ステータスオープンが使えるのは俺だけだった!

 だからエルフ族の奴らは、エステルの潜在能力も分からなかったのか。

 まあ、今さら凄い能力が分かったとしても、エステルを無能扱いしたエルフの里に帰したりしないけどな。

 エステルは俺の娘だ。


「よし、エステル、新しい魔法の練習をしてみようか?」


 俺はエステルの肩に手を置いた。

 エステルの自己肯定感を高めてやりたい。


「新しい魔法ですか! わぁ!」


 新しい魔法と聞き、エステルの目が輝く。


「ああ、雷槍サンダースピアを試してみよう」

「はい!」

「これは電撃魔法を一点に収束して槍にするイメージだ」

「はい!」

「頭の中で雷の槍をイメージして、真っ直ぐ発射するようにな」

「はい、やってみます!」


 エステルが木の杖を掲げる。


「うーん、雷槍サンダースピアぁ!」

 シュバッ! ズダダダダダダァーン!


 エステルが放った雷槍サンダースピアは、ダンジョンの壁を貫通し、その向こうの壁も破壊した。

 恐るべき破壊力だ。


「やった、やりましたよ、お父さん!」

「うん、やったなエステル。偉いぞ」

「わーい!」


 良かった。エステルが喜んでる。

 これで彼女の自己肯定感も上がるはずだ。


「やっぱりお父さんは凄いです! こんな上級魔法を教えてくれるなんて!」

「お、おう……」


 尊敬の眼差しのエステルに見つめられ、俺は気恥ずかしくなってしまう。

 凄いのはエステルなんだけどな。


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姉喰い勇者と貞操逆転帝国のお姉ちゃん!

書籍情報
ブレイブ文庫 第1巻
ブレイブ文庫 第2巻
COMICノヴァ

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