表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
種馬スキルの悪役貴族に転生した俺、断罪を回避し娘たちと自由に生きることにした。  作者: みなもと十華@書籍&コミック発売中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/16

第12話 俺の娘に手を出すな

 心地よい感覚て目を覚ました俺は、ベッドから起き上がり背伸びをした。


「ふあぁああ! よく寝たぜ」


 先日のドラゴン戦の傷により、ここ数日はうつ伏せで寝たりと、寝苦しい夜を過ごしていた。

 しかし、今日は気持ちよくぐっすり眠れたのだ。


「ふうっ、だいぶ傷が治ってきたみたいだな」


 ぷにっ!


 ふとベッドに手を置くと、布団の中から柔らかな感触が伝わってきた。


「ん? 何かあるのか……って、おい」


 布団を捲ると、そこには気持ち良さそうな寝顔のシャルが丸まっていた。


「シャル、俺の布団に潜り込んじゃダメだぞ」

「ふあぁ~ん、まだ眠いの」

「こら、起きろシャル」


 抱きついてきたシャルを持ち上げて、強制的にベッドから出す。

 まだ小さいからといって、父親と添い寝するのはどうなんだ。


「どうかしましたかお父さん……ああっ!」


 俺の声で、エプロン姿のエステルがやってきた。シャルが抱っこされているのを見て、プクっと頬を膨らませる。


「ズルいです! 私もお父さんと一緒に寝たいのに!」

「おい、エステル?」

「今夜は私が一緒に寝ます」

「こら」


 慕われているのは嬉しいけど、何だか俺の娘がファザコンっぽい気がして心配になる。

 もう少しで年頃になるのだから、あまりベタベタするのは控えてもらわないと。


「いいか、エステル、シャル、女の子は男と一緒に寝るのはいけないんだぞ」


 俺が説教しているのに、愛娘ときたら聞いているのかいないのか。


「シャルちゃん、今夜は私の番ですからね」

「ふにゃあ、シャル、パパと一緒に寝るの」

「おい、俺の話を聞け」


 ダメだこりゃ。このままだと、ファザコンがエスカレートしそうで怖い。


「たく、ほらシャルも起きるんだぞ」


 シャルの腋を抱えて立ち上がらせた。


「あれっ、ちょっと重くなってるような……。って、背が伸びてるじゃないか!」


 シャルの身長が、驚くほど伸びていた。ほんの少し前は俺の腰ぐらいだったのに、今は肩に届くほどだ。


「シャル、ちょっと真っ直ぐ立ってみろ」

「はいなの」

「やっぱり大きくなってるな」

「えへへ、シャル大きくなるの」


 こんな数日で身長が伸びるもんなのか? 以前は棒きれのように細かった手足も、今は健康的な肉付きだ。

 もしかして、たくさん食べる子は成長も早いとか。


「獣人族は成長が早いって聞きましたよ」


 ちょっと物知り顔のエステルが口を開いた。


「そうなのか?」

「はい、獣人族は人族より成長が早く、すぐに大人になるそうです。その分だけ適齢期の期間も長いのです」

「て、適齢期……?」


 そういえば聞いたことがあるような。獣人族は子孫をたくさん残すために、すぐに成長し適齢期が長いって。


「わふぅ、シャル大人なの」


 当人は子供っぽいけどな。


「よしよし、たくさん食べて大きくなれよ」

「はいなの」


 シャルの頭を撫で、エステルの方を向く。


「エステル、料理をしてくれていたのか?」

「はい、朝食の準備ができてます。あと、今日はお弁当も作ってみました」


 キッチンからは美味しそうな匂いが漂ってくる。

 テーブルには、三人分の料理が並べられ、その横には弁当の入ったバスケットまである。


「美味しそうだな。こっちのお弁当はハムと野菜のサンドか」

「はい、まだ下手ですが、頑張ってみました」


 エステルの作ったサンドイッチは、少しだけ不格好だ。でも、一生懸命に心を込めて作ったのが伝わってくる。


「ありがとうな、エステル」

「お任せください。少しでも役に立つように頑張ります」


 俺はエステルを抱きしめる。


「エステル、頑張るのは偉いけど、あまり無理はするなよ。前も言ったけど、子供は元気にしているだけで親は嬉しいもんなんだ」

「お父さん」

「よし、食事にしよう」


 三人で食卓を囲んだ俺たちは、腹ごしらえを済ませて今日もクエストへと出かけるのだった。



 ◆ ◇ ◆



 冒険者ギルドで手続きを終え、俺たちは三人でダンジョンへと向かっていた。

 あれから、かなりお金も貯まった。何たってドラゴンの鱗というレア素材を手に入れたからな。


 とりあえず鱗を4枚ほど換金したけど。1枚で金貨50枚だったから、合計で金貨200枚か。

 これだったら新しい家に引っ越しも可能だ。

 鱗はまだあるから、当分の間は生活費に困らない。

 このまま稼いだ金を貯めて、娘たちと一軒家でスローライフも良いかもしれないな。


「ふふっ、ドラゴンが出た時は最悪だと思ったけど、今となってはゴールドを与えにやってきた恵の竜みたいだな」


 俺のつぶやきに、二人の娘は目を輝かせる。


「お父さんのおかげで命が助かりました」

「パパ凄いの! ドラゴンを倒しちゃったの!」


 娘に褒められてくすぐったい。

 凄いのは娘たちなんだけどな。


「今日のクエストが終わったら、甘いものでも食べに行くか?」

「わぁい!」

「甘いものなの!」


 俺たちが王都正門に差し掛かったとき、道を塞ぐように立つ一人の騎士姿の男が目に入った。


「な、何で生きているんだ……」


 その男は、愕然とした顔で俺を見つめている。


 白を基調とした騎士服に王家の紋章。これは聖騎士の証だ。

 背が高く、筋肉が盛り上がった腕や胸。一目見ただけで鍛えられた肉体だと分かる。


 誰だ? 聖騎士なんかに知り合いはいないはず。

 でも、この男……何処かで見たような?


「レイン・スタッド! 貴様はダンジョンでドラゴンに食われたはずじゃないのか!」

「なっ!」


 俺を呼ぶ声で思い出した。この男とは因縁があることに。


「お、お前、まさかジャスティン・ベックフォードか!?」


 そうだ、思い出した。この男はジャスティンだ。魔法学院時代、何度も俺に因縁を吹っ掛けてきた男。

 この世界で勇者になるはずだった男だ。


 そのジャスティンだが、再会を懐かしむでもなく敵意をむき出しにしている。


「おい、レイン、貴様ぁ! ジャスティンじゃないだろ! ジャスティン様と呼べ! 俺はな、国王陛下に仕える誉れ高き聖騎士様だぞ!」


 こいつのかんに障るような声を聞き、俺はうんざりした気分になった。

 何度も何度も俺に絡んできた記憶が脳裏をよぎる。


「レイン! 貴様と俺では格が違うんだ! もっと俺を敬うんだ!」

「おい、そんなことより、何でお前がドラゴンの件を知ってるんだ?」

「そんなこととは何だ! 俺は正義の使者だぞ!」


 クソッ! そういやこいつは話が通じない奴だったな。


「もう一度聞くぞ! 何でお前がドラゴンの件を知ってるんだ?」

「ふっ、貴様などダンジョンでくたばってしまえば良かったんだ。悪を滅ぼす、それが正義の使者だる俺の務め」

「おい、まさかお前が……」


 冗談じゃねえぞ! もしかして、こいつがドラゴンを導いたのか?


「ふふふっ、だったらどうしたのいうのだ。悪人は魔物の餌にでもなるのが相応しい。レイン、貴様はドラゴンに食われて死ねば良かったのだ!」

「何だと!」


 思わす殴りそうになってしまったが、往来で聖騎士を殴ったら投獄されてしまうだろう。


「おっと、何だそこの小汚い子供は? 亜人じゃないか」


 一度は我慢しようとした俺だが、ジャスティンが愛娘を侮辱する言葉を放った瞬間、一気に頭に血がのぼった。


「亜人が何だと言うんだ! 俺の娘を侮辱するな!」

「はっ、これだから悪のレインは。亜人は人族より劣る存在だろ」

「劣るだと!? 獣人族は人族より力が強く、エルフ族は魔法に優れているじゃないか!」

「けっ、くだらない。亜人は劣等種だ。差別されて当然の犯罪者だ」


 ジャスティンは吐き捨てるように言った。見下すような顔で。


「お、俺の娘を差別するのは許さないぞ!」

「差別だぁ? 俺は差別と亜人が大嫌いなんだ。どこぞの差別主義者と一緒にするんじゃない!」


 相変わらず、この男は話が通じない。

 自分の言動を理解しているのだろうか?


「ほら、邪魔だ! この小汚いガキが!」

 ドンッ!


 ジャスティンが、エステルを小突いた。

 すぐに俺は彼女を庇うように抱きしめる。


「エステル、大丈夫か?」

「は、はい」

「おい、ジャスティン! これ以上やるなら俺が相手してやるぞ!」

「おっと、怖い怖い。野蛮な性格は学生時代から変わっていないようだね」


 両手を広げ首を左右に振ったジャスティンは、何を思ったのかエステルの落としたバスケットに近づく。


「何だ何だぁ、この不細工なハムサンドは? 低レベルな人間は、こんな粗末な料理を食べているのかい?」

「お、おい、やめろ!」


 下卑げびた表情を見せたジャスティンは、片足を上げ、一気にバスケットに向け踏み下ろした。


「やめろぉおおおおおお!」


 グチャ!


 ジャスティンの靴が、エステルの作ったハムサンドを踏み潰した。


 それはエステルが朝早く起きて、一生懸命に作ったハムサンドだ。彼女の努力と優しさの詰まった、世界に一つしかない大切なものだ。


「ジャスティイイィン! もう許さねえぞ!」

「くけけっ、やるのかレイン! 俺は聖騎士だぞ! 聖騎士への反逆は国王陛下への反逆だ!」

「うるせぇええええっ!」


 俺のパンチが空気を切り裂く。ひたすらレベルを上げ、極限まで練り込んだ打撃技だ。


「くらえぇええええっ!」

「お父様、やめてぇええ!」


 俺のパンチが奴に当たる瞬間、背後から聞いたことのある声がかかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

-


姉喰い勇者と貞操逆転帝国のお姉ちゃん!

書籍情報
ブレイブ文庫 第1巻
ブレイブ文庫 第2巻
COMICノヴァ

-

Amazonリンク

i973423
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ