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9話 私があの子を守るから

 あの日以来、表面的にはエラとあまり関わらないもの、この哀れな義妹(いもうと)を私はそっと見守っていた。


 あの革袋は、中に入れたものが翌日には2倍になるというもの。たとえば1個パンを入れれば、翌日には2倍、翌々日には4倍になっているというもの。

 使い方さえ誤らなければ、エラは食べ物に困ることはないはず。


 古い本には、薬草の煎じ方などがかいてあった。案外、雑草に見える草が意外と薬草だったりするものだ。もし彼女が病気になっても、これがあれば大丈夫なはず。エラは、お母様から庭の雑草をなんとかするようにと、よく命じられていたから。


 どちらも見た目は古びているので、お母様やお姉様はそれらの本当の価値に気が付くことは無いはず。



 お母様とラビニアお姉様は、口を開けばエラの悪口ばかり。

「お母様、シンデレラってば髪も顔も灰まみれで汚らしくて、本当目障り」

「全く、うちから追い出したらとても生きてはいけないだろうからうちに置いてやっているのに、本当に役立たずな娘だこと」


 私は二人が悪口で盛り上がっているのを聞き流す。

 そして、表面上はエラに対しても無関心なふりをしていた。

 だから、お母様もお姉様も、私がエラのことを支えているのに気が付かないはず。


 お母様がエラから取り上げたドレスや宝石は、私とお姉様に分け与えられていたが、私は宝石は取っておくことにして、ドレスは売ってお金に換えておいた。

 ドレスの流行なんてすぐに古くなってしまうし、必要な時に宝石やお金と引き換えに作らせればいいと思っていたから。



 ――そう、いつか必要な時が来るまでだ。

 必要な時が来るまで、私は義妹(いもうと)を守り抜いてみせる。


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