表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/10

6話 お義父様が亡くなったあと

 お義父(とう)様が亡くなったのは、お母様との結婚から4年後のことだった。


 寒い冬の日、たった一人で雪の中、立ち尽くすまだ14歳のエラ。

 喪服姿の彼女は、アメジスト色の瞳から涙が溢れそうになるのを、必死でこらえていた。



 対する私のお母様。

(いい気味ね)

 そう言うように、口元に笑みを浮かべながら、エラを見ていた。



 ああ、私の愛しい義妹(いもうと)エラ。

 貴女をまもってあげられるのは、私ひとりだけ!


 エラに駆け寄ろうとする私を、お母様が制止する。


「あの娘に同情をかける必要はないわ、ジュリア」

「―――お母様?」

「あの娘にはもはや身寄りも財産も無いのよ。――貴女は関わらないでおきなさい」

「――」


 お母様の気迫に、私は押し黙るしかなかった。



 お母様とラビニアお姉様は、その日からエラを冷たく扱い始めた。

 ドレスや宝石を取り上げ。

 エラに味方する使用人は、皆解雇し。

 みすぼらしい古着を着せ、屋根裏部屋に追放し、使用人同然に扱い始めた。


 ――私一人で、エラのことを守れるのかしら……。

 そう思っていると。

 やはりお母様に解雇された、シンシア先生の言葉が真っ先に浮かんだ。


「何かあったら、私のところにいらっしゃい、ジュリアお嬢様」

 シンシア先生との別れ際に、挨拶を許されたのは私一人だったのだけど、先生はエラのことも頼みたかったのだろう。


 私は意を決して、シンシア先生の家に行くことにした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ