3話 お父様の再婚(エラ視点)
「イライザ、彼女が私の娘のエラだ。――母親に似て、可愛らしい子だよ。実の娘のように可愛がっておくれ」
お父様の言葉を聞いたわたしは、新しいお義母様と、お義姉様たちを代わる代わるに見つめる。
3人とも、濃い茶髪と、同じ色の目。この国では、ごくありふれている容姿だ。
お義母様――イライザ夫人は、髪をきつく結い上げている。
お義姉様たち――ラビニアお義姉様とジュリアお義姉様は、巻き毛を高く2つに結い上げ、リボンで結んで垂らしていた。
きつそうな釣り目は、3人ともそっくり。
イライザ夫人はわたしに笑いかけようとするも、目がちっとも笑っていない。
――なんて、生意気な娘なのかしら。
口にせずとも、そう言われた気がした。
――このお義母様たちに、わたしが可愛がられるはずなんてないわ。
実際、そう思われても仕方ない理由があった。
「賢そうな子だね」
初対面のひとから、わたしはそう言われることが多い。
けれど、それが決して誉め言葉ではないことを知っていた。
グランバーグ王国、わたしたちの住むこの国、この時代では、まだ女の子に教育は不要と言われていた。
それにも関わらず、お父様はわたしに必要以上の教育を授けてくれた。
――古典ロマンス語、錬金術、基礎魔学に応用魔学、地理や歴史など。
もちろん一般的に良家の子女の教養とされる、礼儀作法にダンスや音楽も。
それらを全て教えてくれたのは、シンシア・ジョーンズ夫人。
――わたしの、妖精の名付け親だった。
お読みいただきありがとうございます。
妖精の名付け親、に「フェアリー・ゴッドマザー」という読み仮名を入れようとしたのですが文字数制限で入らず。
(フェアリー・ゴッドマザーはネ〇ミ―アニメ版のシンデレラの魔法使いを務める役。ゴッドマザーは本来、女性の後見人くらいの意味だそうですが、日本語訳では名付け親と訳されることが多いようです)
あと、ジュリアとラビニアの髪型は縦ロールのツインテールみたいな髪型をイメージしています。
よくある悪役令嬢の髪型ということで。
エラの髪型がハーフアップなので、ちょっと違うイメージにしてみました。