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08 不穏なお茶会のお誘い。

お越しくださり有難うございます。

本日二回目の二話目です。

次の朝――。

妻を思いきり抱いて満足しつつ、二人で抱き合いながら眠っているとストレリチアにいるプリシアの護衛兼メイドの一人が寝室に入ってきた。



「急ぎの用事かしら?」

「はい、カラー様から不穏な動きがあるとの事で」

「嫌だわ……。プリシアはまだ眠っているからわたくしに見せてくれるかしら?」

「こちらをどうぞ」



そう言って一通の手紙を貰うと、上半身を起こして手紙を破り中を見た。

どうやら次のお茶会に毒芋のカトレアが無断で参加する様だ。

相変わらず飽きないわね。

しかし、これ以上プリシアがお茶会に出ないのも問題でもあった。

ストレリチアの女主人が仕事をしていない等と言う噂が立ったら、一番苦しむのはプリシアだ。

――暫く考えたのち、王家に一通の手紙を送った。

そこでお茶会に毒芋が参加するようであれば、こちらもそれ相応の態度で王家にはスキルを今後一切使わない事を記入したのだ。

言うなれば脅しである。

ストレリチアを蔑ろにするならば、それ相応の罰が下る事は覚悟しておけと言う事だ。

もしこれを聞けないのであれば、二度と王家の要望は突っぱねるつもりでいるアタシは、手紙を渡すとメイドに手渡し再度プリシアを抱きしめて横になる。



「ん……」

「起きた?」

「シャルル……今誰か来ていたような」

「ああ、ちょっとした注意事項があっただけよ。カラーからの情報で次のお茶会に毒芋が無断で参加すると言う連絡があったから、王家に釘を刺しておいたの」

「ありがとうシャルル……。どうしてもカトレア様は苦手で」

「分るわ、アタシも大っ嫌いなの」



笑顔で答えるとプリシアもホッとしたようで、その後メイドを呼んで二人でお風呂に入ってから遅い朝食となった。

その内、食卓の横に置かれた机に運ばれてくるのはストレリチアで作られた新商品の書類などが山のように出来上がり、「ストレリチアの皆は頑張り屋さんね」と苦笑いを浮かべると、「ほとんどの内容は目を通していて、後はシャルルの許可待ちの書類よ」とプリシアは告げる。

内容を精査したうえで、新しい商品としてカサブランカで売れる商品をリストアップしてくれていたようだ。



「新商品も続々ね。天体望遠鏡なんて高値でしか売れないじゃない」

「でも貴族の間ではそれなりに売れると踏んでいますわ」

「それもそうね……。こっちの商品は――」



そう言って食事をしながら書類を手に許可と不許可で分けていくと、プリシアはクスクスと笑いながらアタシの方を見た。



「こうして木の曜日から月の曜日の朝まで一緒にいられる時間はとっても幸せだわ」

「あら、それはアタシだってそうよ? 本当は毎日帰ってきてプリシアと愛し合いたいくらい」

「私が怠惰病だから子供が中々出来ないのが残念ですが」

「焦る事は無いわ。その分新婚気分を味わえるんですもの! プリシアがアタシの子を身ごもったら、お店を休みにしてずっとプリシアについていたいくらいなのよ?」

「シャルルったら大げさだわ」

「大げさなものですか! それ位愛してるのに、どうやったら伝わるかしら?」

「もう、そんな獰猛な顔はしないで、恥ずかしいわ!」



この夫婦、朝から晩までこの調子である。

だが、ストレリチアの住民たちは夫婦仲が余りにも良い事を全員が知っている為、自分たちを助けてくれた夫婦が今後も幸多からん事を祈りつつ仕事をしているのだ。



「男性用の避妊具だけじゃなく、女性用のアフターピルは大事ね。これは直ぐに取り掛かってと伝えて頂戴」

「畏まりました」

「最近王都の性の乱れも問題視されているのよ。妊娠したのはいいけれど、誰の子供か分からないなんて事案も結構多いわ」

「まぁ……」

「陛下も頭を悩ませている事案なんだけれど、丁度いい時に薬が出来たわね」

「ええ、薬製造所と研究部には褒美を与えることにしましょう」

「そこはプリシアに任せるわ。ストレリチアを束ねているのはプリシアだもの」

「ではその様に」

「月曜を思うと憂鬱で仕方ないけれど、後三日はプリシアと愛を確かめ合えるから幸せよ」

「あら、仕事はまだまだありましてよ? それが終わったら……ですわ?」

「頑張るわ」

「ええ、お手伝いしますわ」



こうして朝食を終え、許可、不許可の書類を纏めてプリシアのメイドに手渡すと、シャルルとプリシアは食後の散策に出かけた。

仕事をするにしても気分転換は大事だ。

広い屋敷の外には様々な花々が咲き誇り、そこを二人で今後の話を詰めながら歩く時間も楽しい夫婦の時間。


――そろそろ陛下の元に手紙が届いたころかしら?


今頃毒芋はコッテリ絞られているか、絞られているとも気付かない馬鹿かのどっちかだろう。多分後者だとは思うが。

どちらにせよ、こちらの言い分は通して貰う。

駄目なら二度とスキルは使わない。

まぁ、きっと泣き落としくらいはあるだろうが、やはりいい気はしないものだ。

陛下がもう少し頭の良い人間だったらこうはならないのだけれど、アレでは駄目ね。

そんな事を思いながら、愛する妻との語らいを楽しんだその頃――。


+++++++++++++++

不穏なお茶会への招待状。

昔で言う【不幸の手紙】的な何かでしょうかね!!

平成生まれや令和生まれには分からないかも知れないけれど!(昭和な香り)


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