06 追放者の最後の砦、ストレリチアとシャルルの妻。
本日は一日三回更新ですが、今日だけ一回に二話ずつ更新です。
こちらは二話目になります。
――【ストレリチア】はアタシが国王から与えられた土地である。
豊富な資源と豊富な土地で一つの大きな領と言っても過言ではないのだが、城に収める為の税金などは全て免除されており、シャルルの持つ店の一つ『カサブランカ』にて、ストレリチアで作ったアイテムや宝飾品、それにドレスなどが多数売られている。
関税が掛からない分気持ち安く出しているが、どれも一級品だ。
カサブランカは地上3階、地下1階の建物だが店の中の広さは王国にどの店よりも圧倒的な広さを持つ。
それだけでシャルルの潤沢なる資産も分かる訳だが、シャルルは自分の為にお金を使う事は殆ど無い。
魔法扉でストレリチアに帰省したアタシは、自分のストレリチアにある執務室のドアを開けると真っ先に妻の許へと向かった。
妻はこの時間、何時もアタシが帰宅するのを別室にて待ってくれている。
「ただいま帰ったわ~!」
「シャルル、お帰りなさいませ」
アタシの愛しい妻プリシアは本を置いて立ち上がると、真っ先にアタシに抱き着いた。
可愛いプリシアを抱きしめ、抱き心地の良い体を強く抱き、極上の妻の香りを堪能する。
「嗚呼……アタシこの四日間すっごく頑張ったの。褒めて褒めて?」
「ええ、シャルルはとっても頑張り屋さんだわ。とっても偉いわ」
「そうでしょう? 貴族相手は疲れるのよ……。皆がプリシアのように心が美しければ神経が磨り減る事は無いんだけれど……そう言う訳にはいかないのよね」
「今週も見た目を変えたいお客様がとても多かったのね」
そう語り合いながら身体を離し、互いにソファーに座るとメイド達は紅茶などの用意をしてくれる。
お腹は空いているが、スキルを沢山使った日は身体への負担も大きく食事が余り入らない為、軽いサンドイッチなどを摘んでそれを夕食としているのだ。
「毎度毎度親から貰った体をこれ見よがしに汚らしい物みたいに見る貴族にはウンザリだわ! 王都じゃ誰も彼も似たような見た目ばっかり。個性が無いのよ個性が。同じ目、同じ化粧、同じ髪型、スタイルまでも同じ。まるでマネキンが歩いてるみたいだわ」
「しかも、その美しさと言うものにも流行り廃りがあるのでしょう?」
「そうなのよ……。新しい美しい女性や男性が出てくると、皆真似したがるの。『あの方と同じ見た目にして!』『あの若者と同じようになりたい!』アンタら年齢考えて言えやって怒鳴りたくなる時もあるわ」
「あらまぁ」
「個性も大事と言いつつ個性を無くした群れしかいないのよ。その群れから少しでも出ていれば爪はじき……。アタシのスキルの所為だと言われればそれまでだけど、アレは異常だわ」
そう言って溜息を吐くアタシに、プリシアは苦笑いをしながら紅茶のお代わりをに注ぐ。
アタシにとってプリシアの纏う清らかで愛情深い空気は大好きだし、何よりも癒される時間でもあった。
無論、夜の方もお盛んだけれど。
「フフフ。王都はマネキンだらけと聞くと、中々にシュールですわね」
「とってもシュールよ? 今度ストレリチアの女主人にもお茶会の知らせが届いていると思うけれど、プリシアだって全員が同じ顔に同じ見た目で、名前を覚えるのに苦労すると思うわ」
「それはとっても困りますわね。でもわたくし、穏便にお茶会をしたいので出来るだけ名前は覚えますわ。といっても、名前を憶えていても皆さんが同じ顔をしていたら、ドレスでしか見分けられませんけれど」
「それもそうね。ドレスの色で名前を呼ぶしかないわね」
「あらあら、もう本当に……シャルルがそう言うのなら、マネキンだらけなんでしょうね」
そう言って紅茶を飲むプリシアの横顔をアタシはジッと見つめ、紅茶を飲み終えてカップを置いた途端、プリシアの柔らかい頬にキスを落とした。
これは『お話は此処まで』と言う合図でもあり、夜のお誘いでもある。
アタシにとってプリシアの全てが愛しいのだから、抱くのは当たり前の行為であり、プリシアも照れながらもそれを受け入れる。
「さ、お話は此処までよ。愛しいプリシア」
「ええ、続きはベッドの上で」
「あーん! でもお風呂には入らないとね! 一緒に入りましょうよ!」
「いいですよ」
こうしてストレリチアの主人と女主人であるアタシとプリシアは、夜は甘くて熱い夜を過ごすのであった。
しかしそこの頃王都では――。
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プロローグにもありましたが、ストレリチアは追放者が沢山いる領で
シャルルが国王から貰っている領地でもあります。
そこの女主人こそがシャルルの妻、プリシアです(/・ω・)/
20話までは書き方を最初変えていたので、急いで一人称書きに変えたんですが
ちょっと腕の痛みが激しかったので、違和感を感じられたらすみません!!
イイネやブクマや★、そして誤字報告等ありましたらよろしくお願いします!
そして、応援もよろしくお願いします(;´Д`)




