02 プロローグ②
一気にプロローグだけでもアップします(`・ω・´)ゞ
ストレリチアには、婚約破棄や断罪された令嬢や令息、家を追い出された令嬢たち、更には追放された冒険者や不遇の対応で追い出された技術職の者たちも多くいる。
言わば、そう言う彼らの受け皿がストレリチアなのだ。
そして、ストレリチアに避難してきた者たちに対し、オリガーテ王国は絶対に手を出すことは出来ない。
ストレリチアの女主人は彼らを「民と彼らが培った力は財産である」と公言しており、ストレリチアの女主人であるプリシアは彼らを守る盾でもあった。
無論、ストレリチアに入る為には身の潔白をハッキリとさせることが重要であり、その為の魔導具は早い段階から作られている。
嘘の供述をすればストレリチアの女主人の怒りを買い、彼らはオリガーテ王国の中でも屈指の修道院へ連行されるのだ。
その大事な妻が盾ならば、シャルルは剣である。
オリガーテ王国で絶対的なレアスキルを使い、契約書にも依頼主はストレリチアの女主人へ傷つける行為は絶対に許されない項目が記入されている。
だが、仮にストレリチアの女主人であるプリシアへの攻撃がある場合――それは、彼女を守る護衛騎士団により命を落とす事になるだろう。
無論――例外はいるが。
幼い頃から両親の代わりに彼を育てたエドガーの前と愛する妻の前ではシャルルは素に戻る。
そう、シャルルは既婚者であり、かなりの愛妻家であった。
王都とストレリチアの距離を考え、更に離れている時間が辛いと言うシャルルの我儘により、互いの場所にはシャルルの休憩時間には通話手段が用いられ、シャルル夫妻は離れている間も愛を育むほどに愛し合っている。
そして、オリガーテ王国から自由に統治してよいと言われた余りにも条件のいい土地には、あらゆる者たちが働き、彼らを統治しているのが妻である『プリシア』であった。
店を閉めた今すぐにでも魔導具を使い直ぐにストレリチアに戻りたかったが、そうもいかない。
「ところで『カサブランカ』のカラーからきた内容はストレリチアに戻って見てもいい内容かしら?」
「そう仰ると思い、妻のカラーが既に分別を行っております。こちらの書類は直ぐに目を通すべき書類で、こちらの書類は心にとどめておく程度の内容かと」
「ああ、本当に助かるわ。エドガーの奥方は本当に有能ね」
手渡された書類を手に微笑むと、エドガーは少しだけ頬を染めた。
シャルルの営む『ブルーローズ』の隣にある『カサブランカ』では、情報を売りたい人間は平民や冒険者そして貴族であっても、銅貨1枚で購入できる【魔法のカード】でオリガーテ王国の闇を売ってくれるのだ。
無論、魔法のカードを購入すればカサブランカの裏口から魔法のカードを使い、所謂ウソ発見器に手を置き情報を売るシステムが作られている。
無論、嘘の供述をした場合は「死んだ方がマシだ」と言わんばかりの激痛が襲い、これまでに数多くの貴族が死んだ。
だが、冒険者や平民にしてみれば、それなりの金額が稼げる裏の収入源でもあり、彼らはシッカリと注意事項を聴いている為、今のところ死亡率は0%だ。
「うちの錬金術師殿は素晴らしいアイテムを作ってくれたと同時に、妻との時間が少なくなるのが難点だな」
「それだけ、このオリガーテ王国の闇は深いと言う事でしょう」
確かに闇は深い。
だが、それがストレリチアに及ぶような害ならば真っ先に潰すべき問題でもあるのは確かだ。
流し読みではあったが、妻に関する問題は無かった事がホッとさせる。
だが、ストレリチアに新たなる住人が増えそうであると言う情報は、関所に伝えるべきだろうし、奴隷市場が開かれると言う情報も無視は出来ない。
「はぁ……。またプリシアと過ごす時間が減るわ」
「奴隷市場の方は部下に行かせましょうか?」
「いいえ、プリシアのとの約束でアタシが行くことになっているの。妻を怒らせたくはないわ」
気が重くなる内容に大きく溜息を吐くと、エドガーは深々と頭を下げ部屋を後にした。
ストレリチアの女主人であるプリシアとの約束―――それは、辛い境遇の子供たちを含めて不当な扱いで奴隷として売りに出された人間たちと……妻、プリシアと同じ不治の病に侵されている【怠惰病】に侵されている者たちの救出だった。