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Recreation World ~とある男が〇〇になるまでの軌跡  作者: 虚妄公
第2章 ダンジョン探索編
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49話 皇帝陛下の依頼

 慌ててメイドは端に寄り、マックスとボード、使用人が跪いた。


「よいよい、急に来たのだ。畏まる必要はない。楽にせよ」

 リュウジンは突然の事態に対応できず座ったままであったが、一応それはまずいと思いソファから立ち、サンクがやっていた紳士の礼を思い出し見様見真似でとりあえず礼をしておいた。


「フハハハハハハ!気を遣わずともよいよい!気持ちは伝わった。先ほども言ったが公式の場以外で畏まる必要はない。ありのままの自分でかまわんぞ」

 俺はそれが本心なのかどうかわからなかったが必要以上に畏まるのはやめた。


「とりあえず、座るといい」


 そう言われマックスと俺はソファに改めて座った。

 そして陛下はボードに目配せをした。

 するとボードと近衛騎士団長を除く使用人達は部屋を出て行った。

 部屋に5人しかいなくなってから

「マッドローグ男爵よ先程は大儀であった」

「もったいなきお言葉でございます」

「テンドロック男爵よ改めてすまなかったな。本来なら即座に叩だして終わりであったのだが、お主を試すためにあの愚物を野放しにしておいた」

「いや、むしろ感謝している。正直に言えば貴族など面倒でしか無いからな。あれで利口な者なら大抵手を出してくることはないだろう。流石に貴族を殺すのはまずいだろう?」

 これには皇帝陛下とボードも驚いていた。リュウジンに無意味に手を出させにくくすること。それこそがあの茶番の真の目的であったのだ。それにリュウジン自身が気づいているとは思わなかった。リュウジンの評価が更に上がったのであった。

「余はお主を高く買っておる。証拠を残さぬのなら見逃してもいいぞ。バカな貴族などいるだけ害悪でしかないからのう。ただ殺すときは事前に知らせてくれよ。ハハハ」

「陛下!」

 流石に近衛騎士団長がすかさず口をさはんだ。

「良いではないか。この場にはこの5人しかおらぬのだ。誰ぞこの会話を聞いているのならお主ら2人が見逃すはずなかろう?余はここにいるものを信頼しておる。それともお前達は信頼できぬ者か?」

 ニヤリと笑って陛下が言った。

 そして近衛騎士団長はため息をついて再び後ろに控えた。

「先程言ったことは本心であるぞ?数億もの価値があるスキルオーブをくれてやったのだ。お主にはそれをくれてやるほどの価値があると思っておる。そして今日来たのは一つ依頼を受けて欲しいからじゃ」

「それは貴族の義務としての依頼かしら?」

 マックスが威圧感をもって陛下に対して口を挟んだ。

 本来ならば不敬であるが、陛下も、それどころか近衛騎士団長も何も言わなかった。

「いいや、冒険者リュウジンに対する依頼である。故に断ってもらってもかまわん」

「そう。ごめんなさいね」

「ずいぶん気安いんだな」

 リュウジンは陛下が普通に話して良いと言ったが、それにしてはマックスの喋り方が友達のそれに近いものだと感じていた。

「まだ余が10代の頃に同じ冒険者のパーティーとして活動していたのよ。余が皇帝となってからも普段は仲間としての口調で話すことを許しておるのよ。余は途中で抜けてしまったが、そのまま仲間であったならともにドラゴンスレイヤーになれたかもしれぬと思うと惜しいことをしたのう〜、と今でも思うわ。ワハハハハ」

「貴方じゃ無理だったわよ。それにもしまだ冒険者をしていたとしても行くことを許可されなかったでしょ」

「そんなものいらんわい。死ぬときは死ぬくらいで丁度いいわい。まったくどいつもこいつも過保護になりおってからに」


 いや、流石にダメだろ。と思ったリュウジンであったが声には出さなかった。


「っと、それで依頼の内容だな。ここ最近ダンジョンと塔が出現されているのを知っているか?」

「ああ、知っている」

 リュウジンはイーニヤのところで聞いていたので知っていたが、イーニヤ曰くダンジョンや塔が追加されたのは今日だったはずなのだが、まるで何日も前からあるかのような話に違和感を感じていた。

「今現在帝国内にダンジョンが3つ、塔が2つ発見されておる。そしてダンジョン1つと塔1つを我々帝国が管理しておるわけだ」

「それに関して苦情が来たわよ。ダンジョンに入るのは自由であるはずなのに、不当に止められたって」

「そもそも帝国内にあるものは帝国のものである。それを探索して良いと許可を出しておるに過ぎん。残りのダンジョンをそちらに譲ってる以上文句を言われる筋合いはないぞ?」

「わかってるわよ。ただ全ての冒険者が納得してくれるわけじゃないのよね〜」

「そんなもの放っておけ。バカの相手などするだけ損であるぞ」

「そうもいかないのよね〜。何かあったら責任取るのは私なんだから」

「わかる!わかるぞ!その気持ち。・・・ああ、すまんな、リュウジンよ。話を戻すぞ。

 それでのう、お主に帝国所有のダンジョンと塔を探索してきてその中にあるアイテムを取ってきて欲しいんじゃよ」

「騎士団に行かせればいいんじゃないのか?」

「まず、今は大きく騎士団は動かせん。バカな貴族が聖国でやらかしおっての。今は外交問題になっておる。ああ、そこでお主にもう一つ頼みがあるのじゃ。さっきのあのバカが伯爵代理となっておるのもバロック伯が外務大臣として今聖国にいっておるでな、今のゴタゴタの間に外務大臣の変更というのはできなんだ。あのバカは確実に処罰するゆえ、バロック伯爵家としての処分は無しにして欲しいのじゃ。どうかの?」

「ああ、かまわない」

 そうリュウジンが言うと満足そうに陛下は頷いた

「そして関係が悪化すれば今後戦争ということになるやもしれん。そう言った時に連絡が途絶える未知の土地に国の戦力を送ることは出来んのだ。だからといって所有を放棄すれば中にあるアイテムをみすみす逃すことになるし、戦争のために強力なアイテムを確実に手に入れておきたいのだ。そこで実力があり有り体に言えば都合が良い者に探索をし、アイテムを取ってきて欲しいのだ」

 普通の冒険者なら強力なアイテムを見つけても取り上げる、などと言われたら渋るものであるが既に世界最強クラスの武器を手に入れており、アイテムによって強くなることに固執していないリュウジンはそこはどうでもよかった。

「報酬は?」

「1日探索するごとに100万フーロ、そして手に入れたアイテムやアイテムの売買が主な報酬だと思って欲しい」

「なんだ?見つけたアイテムを買い取ってくれるのか?」

「ああ。タダで取り上げるとでも思ったのか?流石にそこまで酷くはないわい。

 そしていらないアイテムはお主のものとなる。売るも使うも自由じゃ。ただ見つけたアイテムは緊急時を除いて一度全て持ってきて欲しい。その上で買い取るか買い取らないか決めさせて貰いたい」

「なるほど。鑑定のスキルオーブを渡したのもできるだけいいアイテムを持ってこいということか?」

「そこまでは考えておらん。ただ便利なことには違いあるまい?」

「そうだな。あとは詳細の確認と条件を一つ飲んでくれるのならその依頼受けてもいい」

「なんだ?」

「仲間と潜ることを認めてほしい」

「それは構わんが、一日当たりの報酬とアイテムの売買の件は仲間が見つけても変わらんぞ?それと契約違反があったときにはお主にも責任を負ってもらわにゃならん」

「説得できなければ諦めるさ」

「よし!それでは擦り合わせをしようではないか」


 ――――――――――

「こちらがダンジョンや塔に入る許可証と場所にございます」

 ボードが渡してきた。

「では、頼んだぞ。ああ、あと1週間後に大会が開かれるがお主は出るのか?」

「ああ、出るつもりだ」

「そうかそうか!それでは期待しているぞ?」

「そこの騎士団長クラスの人が出てきたら勝てんぞ?」

「少なくとも軍所属のものが出てくることはない。謁見の間でも大層熱烈な視線を浴びておったのう。あの娘は出るみたいであるぞ?楽しみにしておるぞ?」

 謁見の間で熱烈な視線(殺気に近い)を送ってきてきたのは前にギルドで見た女であった。

 たしかドゥの話でも出てきた・・・誰かは忘れたが、まぁ戦いの場で雌雄を決したらいいだろう。

「それでは今日はなかなか楽しい日であった。礼を言うぞ、リュウジン。それではな」

 陛下はそう言って去っていった。



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