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Recreation World ~とある男が〇〇になるまでの軌跡  作者: 虚妄公
第2章 ダンジョン探索編
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47話 決闘観戦

「陛下こちらにイスを用意いたしました。どうぞお座りください」

「ご苦労」


 謁見の間に残された貴族達はただ待っているわけではなく、宮廷魔導士達の魔法によって荒野の空間に実体がない状態で決闘の様子を見ていたのであった。


 貴族派の貴族はリュウジンを憎々しげに見ており、融和派の貴族はリュウジンよりであった。また中立派もリュウジンよりかどちらにも肩入れしない者達で集まっていた。

 しかし中には貴族派ではあるがリチャードではなく中立を保っているものもいた。

 流石にあのリチャードの様子を見て貴族だからと応援する気はなくなったようである。


「ローランよ。あのバカはどれほど強いんだ?」

 陛下は第零騎士団つまり近衛騎士団の騎士団長に話しかけた。そして当然あのバカとはリチャードのことである。

「は、学院の剣術大会では3位を収めているとのことです」

「もっと楽に話せい。皆がそんな喋り方だと窮屈でかなわん」

 手をぞんざいに振りそう言った。

「かしこまりました。それでリチャードですが実習訓練もS評価と最高評価になっておりますね」

「それで?強いのか?」

「いえ、剣術の腕は下の中といったところらしいです。剣術大会は勝つと後が怖いという理由で実際勝てるものもわざと負けているみたいですね。その時の1位は皇太子殿下、2位が公爵家子息だったようで手が出せない相手には普通に負けています」

「侯爵家の子息は今はいないのか?」

「いいえ。2家門いらっしゃいますね。ただどちらも文官の家系なのでそもそも剣術が得意ではないみたいですね。それとリチャードですが自分は次期侯爵になると言って侯爵家の御子息にも噛み付いていたみたいです。そして実習では武器の力によってS評価を得れたみたいで実力ではないみたいですね。そしてそれらが自分の実力だと思っているようで自分は強いと公言しているようです」

「学院の制度も見直さなきゃならんかもな。それではあの2人が戦えばどうなる?」

「勝負になりませんね」

「はぁ〜」

 皇帝陛下としてはリュウジンがどれくらい強いか測る試金石としてリチャードをぶつけたというのに全く役に立ちそうにないと分かってため息の一つもつきたくなった。


 そしてリュウジンが武器を取り出した。

「ほう、なかなかキレイな刀であるな」

「あれはレッドドラゴンの骨を素材とした刀だそうです。銘は『龍炎刀』だそうで。ドーレン工房のロゾーの作品だそうです」

「ほう!あの偏屈なロゾーがあの小僧に刀を売ったのか。あれでかの神獣の眷属とも戦ったのか?」

 本来ならば謁見する者の情報は事前に隅々まで調べられ陛下が目を通してから謁見するのであるが、今回に限っては、事前情報なく見極めたい、という陛下の要望によりリュウジンの情報を今はまだ知らないのである。

「いいえ、眷属と戦った刀は同じくロゾー作の試作品の刀で20万フーロの安物の刀だったそうです。そして眷属との戦いで刀が折れてしまったため、オーダーメイドの刀ができるまでロゾーがあの刀を無料で貸しているそうです。」

「あの刀を無料でか。それほど入れ込んでいるということか。それであっちはどうだ?」

「あちらの剣はヘルガイザーの牙を素材に作られたパシミール作のオーダーメイド品だそうです」

「どちらの方がいい武器だ?」

「値段としましてはリュウジン殿の刀が2000万フーロ、リチャード殿の剣が5000万フーロだそうですが。見た限りではリュウジン殿の刀の方が優れているでしょう」

「リチャードの方の刀はなぜそんなに高いのだ?」

「何やらロゾーに断られ、他の職人に無理矢理作らせたものらしく、おそらく職人としては迷惑料も含んでいるのかと」

「そして見る目のないあのバカはあの値段でも納得できるということか・・・・・・。さて始まるのう」


 そしてリチャードの首が落ちる映像が流れた。


「「「「な!」」」」

 近衛騎士団長や一部の実力者には見えていたが、それ以外のものには理解ができなかった。

「ローランよ。今のは何が起こったのじゃ?」

「はい、決闘が始まると同時に何やら歩法のようなもので20mの距離を一瞬で詰めそのまま首を刎ねました」

「スキルか?」

「いいえ、スキルの使用は確認できませんでした」

「では、技術によるものか。勝てるか?」

「負けることはありえないでしょう」

 ローランの言は誇張でもなんでもなくただの事実であった。

「たしかに光るものはあります。ですがそれだけです。戦闘になれば負けることはありえないでしょう」

「未来もか?」

「それは断言できかねます」

「ほほぅ、それほどの才があると。大陸最強と名高い貴様の言葉だ。信じようぞ」

 他の貴族たちもそれぞれわかる人から解説を受けているようだった

 そして2戦目が始まった。


 2戦目は1戦目と違いリチャードが攻めているようにも見えた。


「ふむ、なぜリュウジンは攻めない?先の試合を見る限りいつでも殺せるくらいの実力差はあるのだろう?」

「わかりかねますが、考えられるのは実力の違いをわからせるためじゃないでしょうか。全て即座に殺して終わらせてもリチャード殿なら平民が不正をしたと納得できないと言うのは目に見えていますからね。だからこそ圧倒的な実力差を見せることで負けを認めさせるのかと」

「なるほどのう。しかし防戦一方で認めることがあるのか?」

「これからですよ」


 ――「フハハハハハハハ!防戦一方だな!先程の調子はどうした?所詮お前ごときが俺様に勝てるわけないだろう!ホレ!ホレ!ホレ!ホレ!」


「無様よのう。あそこまでいくといっそ哀れにすら思えてくるわ」


 他の貴族も流石に顔を顰め見ていられないといった様子であった。


「片や息も絶え絶え。片や余裕綽々。これでも実力差がわからんものなのか?」

「普通ならわかるでしょうね」

 暗に普通ではないと言っているのだ。


 ――「は!お遊びはこのくらいで終わりだ!そろそろ本気でいくぞ!」


「今までも本気だっただろ」

 思わずといった感じで貴族の1人が言ったが、ここにいる全ての者の言葉を代弁したものであった。


 ――「クソ!クソ!クソ!当たれえ!当たれ!当たれ!当たれー!!」


「貴族の恥さらしである」

「もはや処刑するべきでは」

「これが学院で学んだ結果なのか?学院の教員は何を教えているんだ!」


 貴族の方からも抑えられない声が漏れ始めてきた。


 そして2度目の決闘が終わった。


 この頃にはほとんどの貴族がリュウジン寄りの応援をしていた。


 そして3戦目の待機時間リュウジンが刀を地面に突き刺した。


 それを見た数少ない貴族派の貴族は

「貴族をバカにしている!」

「冒涜だ!」

「不敬罪で処刑するべきだ!」

 など言っているのを周りの貴族はとても冷ややかな目で見ていた。


 余にはあのリチャードを貴族と認めるお前らの方が信じられんわ。

 貴族であれば貴族の誇りすらいらんというのかのう。

 まぁあやつらは過激派なのじゃろう。

 要注意じゃな。


 そう思いローランに目配せすると、ローランは即座に頷いて侍従に何事か伝えにいっていた。


 そして3戦目が始まった。


「ほう、3度も同じことを繰り返すほどバカではなかったか」


 ――「グハッ!!!・・・う、・・・・・・うぐ・・・」


「ローランよ。今のは何が起きたんじゃ?リュウジンは速いことは速かったが1戦目の速さに比べたら充分何が起こったか見える速さであった。にもかかわらずリチャードは全く反応できておらんように見えた」

「断定は出来かねますが、リチャードのあの反応は騎士団の訓練でもごく稀に覚えがあります。騎士の打ち合いの訓練でお互いが向かい合った状態から始めるときに一方が全く動くことなくやられてしまうことがあります。そしてその騎士達は口を揃えて『攻撃されていると思わなかった。突然斬られたように感じた』と言います。何度か検証した結果、人の意識が逸れた瞬間に攻撃することによってそのような現象が起こることがわかりました」

「それが今起こったと?」

「その可能性はあるかと」

「狙ってできるか?」

「実戦で狙って決めるのは難しいでしょう」

「彼奴は狙ってやったように見えたか?」

「・・・まだわかりません、しかしその可能性はあるかと」

「奴はどれくらいの強さがあると見る?」

「スキルを使用していないのでまだまだ手の内は見えておりませんが、それぞれの騎士団の席次が5〜6位くらいの団員にならスキルなしでも戦えるでしょう」

「何らかのスキルを使用したという報告は?」

「ありません。コロームの森の戦闘跡も森が元通りとなっていたためどのような戦闘があったのかあったのか把握することができませんでした。申し訳ございません」

「かまわん!あのような存在のやったことの責まで追う必要はないわ。それにコロームの森の修繕を考えたらありがたくすらある。彼奴のスキルを見る機会など今後もあるであろうよ」

「は!ありがとうございます」

「・・・ふむ、もう終わりのようだな。それでは戻るとするか」

 そう言って陛下はイスから立ち上がった。

 ローランは宮廷魔導士団長に合図を送り、程なくして謁見の間へと戻ってきたのだった。



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