46話 決闘2
リュウジンはこの決闘でリチャードの心を完璧に折るつもりだった。
そのために1戦目は即殺し、2戦目はリチャードの攻撃を全て受けた上で殺した。
そして3戦目
――次の戦闘開始まで60秒――
「ありえないありえないありえないありえない・・・」
リチャードは心の奥底ではリュウジンが遥かに格上であると感じ始めていたが、自身のプライドがそれを認めるのを許さず、次は自分の調子が悪かっただけだと自己弁護を始めたのである。
「救えねぇガキだな」
そう言い捨てたリュウジンは自らの刀を地面に突き刺した。
それはこの戦いでは刀を使わないという意思表示だった。
そして邪悪な笑みを浮かべて首を鳴らし始めたのである。
そして第3戦が始まった。
しかしリチャードは即座に駆けてくることはなく、冷静にこちらを見ていた。
リュウジンはリチャードの方へとゆっくり歩いて行った。
リュウジンの手には刀が握られておらず、明らかにバカにされているのだがそれに激昂することなく静かに構えていた。
ほう、先程よりはマシになったか?
まぁどのみち変わらんがな。
リュウジンとリチャードの距離が
15m
10m
8m
そしてリュウジンが間合いに入った瞬間に動いたがその瞬間、顎を下から殴られ吹っ飛ばされた。
「グハッ!!!・・・う、・・・・・・うぐ・・・」
もはやリチャードには何が起きたのか分からなかった。
間合いに入ってきた瞬間に斬ろうと動き出した。
徒手と剣の間合いなど当然剣が勝る。
なので先手が確実に取れるはずであった。にもかかわらず気づいたら殴られ吹っ飛ばされて地面に倒れているのである。
そしてリュウジンは追撃するでもなく只々立っているだけだった。
リュウジンは相手が動こうとした瞬間に意識の隙間に入り込んで近づき、振り下ろしてきている剣を持っている柄の部分を左手の甲でいなし右手で顎に気絶しない程度に手加減して打ち込んだのである。
そしてリュウジンはリチャードが起き上がるのを待っていた。
本気で殴れば殺すことも容易いが、即座に殺さないように徒手を選んだのである。
これから何度も殴り心を折る気満々なのである。
そして起き上がってよろよろと構えたのを見計らってリュウジンは再び歩き始めた。
先程より明らかに警戒しているが、間合いに入るとまた斬撃をしてきたので次は胴体を思いっきり殴った。
くの字に曲がりながら飛んでいきそのままゴロゴロと転がり、剣を手放して殴られた箇所を呻きながら手で押さえていた。
「おいおい、戦場で自らの武器を手放すとは・・・。ほらよ!」
見ている人にとっては、お前が言うな、と言う場面であるが幸いこの空間には2人しかいなかった。
そしてリュウジンはわざわざリチャードが手放した剣を投げ渡した。
ある程度したら痛みも治まってきたのか剣を手に取り立ち上がった。
そして次は雄叫びをあげて飛びかかってきた。
そしてそれから毎回違うやり方で何度も何度も何度も何度もHPを減らしすぎないように殴りつづけた。
そしてついに立ち上がらなくなった。
「どうした?もう終わりか?」
「う・・・ぐ・・・・」
呻くだけでもはや睨んでくる気力もないリチャードを見て、リュウジンは踵を返して歩いて行った。
そして自らが突き刺した刀のところに行くと刀を引き抜き、またリチャードのところへ歩いて行った。
そしていまだに立ち上がってないリチャードを見て
「それじゃあな」
首を刎ねた
――第3戦 勝者 リュウジンーー
――決闘の勝者はリュウジンに決定しましたーー
そう表示されると同時にその世界が崩壊した。
そして気がつけば先程の謁見の間に戻ってきていた。