16話 リクルドについて
「何から聞きたいっすか?」
「とりあえず戦闘関連だな」
「じゃあまずはステータスから説明するっす」
リュウジンは自分のステータスを確認した。
――リュウジンーー
人種:ヒューマン
職業:
HP:54/124
MP:56/56
ST:132/132
STR:40+25
VIT:20
INT:27
AGI:29
LUK:30
ステータスポイント:13
―スキルー
―称号―
――――――
「まずは人種っすね。初期に選べるヒューマン、エルフ、ドワーフの他にこの世界で何らかの条件をクリアすることによって隠し種族にもなれるっす」
「あたしのケットシーも隠し種族にゃ。そのほかに現在確認されてるのは、ヴァンパイア、ワーウルフ、フェアリーが確認されてるにゃ。ただ、種族を変えるとステータスがリセットされるデメリットがあるから戦闘を主にしている人にはあまりおすすめしないにゃ。ケットシーはまだあたしだけにゃから超希少種族にゃ!」
胸を張りながら自慢げにイーニヤは答えた。
「それでケットシーはどんな特性があるんだ?」
「かわいいにゃ!」
イーニヤは堂々と言い放った。
リュウジンとリンは白けた目でイーニヤを見て無視して話始めようとした。
「じょ、冗談にゃよ。それ以外にはINTが大幅にアップして思考能力が上がるのにゃ。商人向けの種族にゃよ。」
慌てたようにイーニヤは話した。
「なるほど。それはクエストをクリアすることで変わる条件を満たすのか?」
「これ以上は話さないにゃ。気軽に話せる内容じゃにゃいから商売の領域にゃ」
「じゃあどうでもいい」
リュウジンはにべもなく言い放った。世間話程度なら聞いてみたいと思っていたが、そこまで興味を持ってはいなかった。
「にゃ〜、もう少し興味を持って欲しいにゃ〜・・・」
「はぁ〜、その情報はいくらだ?」
「5000万フーロにゃ!」
「払えるか!」
「にゃはははは。わかっていたにゃ。でもあまりにも興味がないから揶揄いたくなったにゃ」
そういい腹を抱えて笑うイーニヤを見ながら2人は次へと進んだ。
「次は職業っすね〜。職業は神殿でお金を払うことによってなることが出来るっす。
なる職業によっているお金は違うみたいっすけど、1番低いので100万フーロするらしいっすからプレイヤーで職業についている人はまだ稀っすね」
「今現在プレイヤーで職業についているのが確認されているのは大体1000人にゃ。剣士になると剣を使った攻撃ダメージが10%あがったり、ステータスパラメータが上がったりするにゃ。
魔術師になれば魔法を発動するためのMPが減ったりするにゃ。自分のスタイルに合った職業につければ基本的にメリットしかないにょで、みんな当面の目標は職業に就くためにお金を貯めることを頑張っている人も多いにゃ」
「先輩は侍がオススメっす。たしか刀に対する攻撃力アップがあったっす」
「気になっていたんにゃが、その刀はどこで手に入れたにゃか?たしか刀はまだ武器屋での発見報告はなかったはずなのにゃ。教えてくれたにゃら、10万フーロ出すにゃがどうにゃ?」
リュウジンは腕を組み少し考え
「20万」
「11万にゃ」
「19万」
「12万にゃ」
「18万」
「13万・・・これ以上は無理にゃ!」
イーニヤは机に突っ伏しながら手で大きくばつ印を作った
「まぁいいだろう」
リュウジンはそんなイーニヤの様子にニヤニヤしながら承諾した。
将来どうせオーダーメイドして作ってもらうつもりなので、残りの2本が売れても問題なく、それなら少しでも今の刀の代金を返す足しにしようと思い吹っかけたのであった。
そして代金を電子上でのやり取りで受け取ったリュウジンはイーニヤに鍛冶屋での出来事を話した。
「ほにゃ〜、ドーラの工房はたしかまだプレイヤーで利用できたって人がいないって聞いてるにゃ。基本的に入っても門前払いされるらしいからにゃ〜」
「あたしも門前払いされたっす。お前のような小娘にはまだ早いわ!って言われたっす」
「ロゾーは相手の実力を見抜く目を持っている。ある程度の強さ以上になれば利用できるようになるんじゃないか?」
「なるほどにゃ〜。いい情報だったにゃ。ありがとにゃ〜」
イーニヤはそう言いつつもウィンドウを必死に操作していた。
「じゃあ次いくっす。次はHPっす。HPは命のことっす。0になったら死ぬっす。死んだら6時間ログインできないんで注意が必要っす。あとお金も半分ドロップするっすからいらないお金は銀行にでも預けとくといいっすよ。減ったHPは1分に1だけ自然回復するっすがすぐに回復したいときはHPポーションか回復スキルを使うといいっす」
「HPの数値が増えていることがあるが増える条件はなんだ?」
「あ〜、それはまだわかってないっす。一時期戦闘をすれば上がるとか、勲章をもらえば上がるとかいう説もあったっすけど、絶対上がるわけじゃないってなってからはちゃんとした条件はいまだにわからないままっす」
リュウジンはそう聞いて少し考え込んだ。
リンはそんなリュウジンを見て、自分の頼んだパフェを食べ始めた。
リンが食べ終わる頃にはリュウジンの意識も戻ってきたのでリンは話を再開した。
「次はMPっすね。回復方法はHPとほとんど同じ感じっすけど、MPはスキルを使うのに使うっす。MPが足らないとスキルが発動しないのでMP管理をしっかりしておかないと戦闘中にスキルが不発になってしまうので注意が必要っすよ。」
リンは自分がそうなった時のことを思い出しているのか顔を顰めながら言ってきた。
「じゃあ次いくっす。次はSTっすね。STはスタミナのことっす。1数値あたり1分全力で動けるくらいのパラメーターらしいっす。初期では大体60くらいが平均で100もあれば高いらしいっす。」
「スタミナが0になるとどうなるんだ?」
「う〜ん、わかんないっす・・・」
「あ〜、それは全く動けなくなりますよ〜。スタミナは動かなければ10秒に1ずつ回復していきます。またSTポーションを使えば瞬時にスタミナを回復できますよ」
一瞬誰が喋ったのか分からなかったリュウジンであったが、ずっとウィンドウに齧り付いて何かをしていたイーニヤが喋ったのだとわかり少し驚いた。
そしてリュウジンはニヤリと笑ってイーニヤに言った。
「それがお前の素か」
イーニヤはそう言われ、操り人形の糸が切れたかのように止まった。
「にゃ、にゃんのことかわからないにゃ〜。「す」ってなんにゃ〜?お酢のことかにゃ〜?にゃはははは・・・」
そう言ってイーニヤはわちゃわちゃと手を振っていた。