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お天気屋  作者: もやさい
3/3

3.雨

雨…大気中から生じた水滴が落下する現象および降水現象が起こる天気を指す。

  個人的には、雨ほどバリエーションがある天気は中々ないと思う。雨だと憂鬱な気分になる

  という人が多いのであまり好かれていないという印象。



『次は天気予報です。今日は全国的に雨となるでしょう。』

テレビからそんな声が聞こえる。今日の天気は雨らしい。

「おはよう、早くご飯食べなさい。」

お母さんの声が聞こえる。

「うん……」

普通の朝、普通の母、普通の雨、普通の日常だ。

私の名前は『天野はる』。高校2年生、今日も普通に登校します。

「じゃあ、行ってくる」

家を出てちょっと歩くと空き地があって、そこには植物がが生えてる。

「(雨で濡れてる…)」

そんなこと思って歩いてるとちょうど自分の真上にある電線にカラスがとまった。

「(絶対フンしようとしてる…最悪だ……)」

いつも通り自宅から学校まで一人で歩く。

特に変わったこともなく学校に着いた。


朝は多くの人が教室内で会話をしているため全体的に騒がしい。ガヤガヤしている。

「(本当にうるさい…少しは静かにできないのかな)」

「はぁ…」

いつもの癖だ。気に入らないことがあると大きくため息をついてしまう。

「……。」「………。」

ちょうど横を通ったクラスメイトが無言で通り過ぎていった。

チラチラとこちらを見ていた気がする。

こういうことは多々ある。

いつも通り誰とも会話しないまま朝の時間は過ぎていく。



昼休み、1人で、自分の席で、弁当を食べる。

2年生になってから誰かと弁当を一緒に食べたことはない。

一年生の頃は一応気の合う友達がいたが、クラス替えで別のクラスになってしまった。

今のクラスの友達は0である。弁当、片付け、読書、いつものルーティーンだ。

そのまま昼休みが終わった。



放課後、今日は担任と進路について話し合う時間がある。

自分の番になるまで教室で待機し、時間になったら進路相談室へと向かう。

「失礼します…」

「おう来たか、とりあえずそこに座ってくれ」

先生の指示通りにイスに座る。

「さて、早速だが……」

進路についての話が始まった。私はとりあえず大学に進学しようと考えている。

学力や内申点は平均くらいなので自分でも普通に入れる大学に入ろうと思っている。推薦などの手を使うのもありだ。

「まぁ、はるの成績は平均ぐらいだなぁ

 学力的には今志望してる大学で問題はないが…」

「はい…」

「一応推薦も考えてるんだよな?」

「まぁ…そうですかね」

「自己PRとか自分の長所とか、考えたことあるか?」

自己PR、長所、どんな場合でも面接をすれば必ず聞かれるような質問だ。

しかし、今までの人生ではっきりとした回答を出来た試しがない。

果たして自分に良いところなんてあるのだろうか。

「無いですね…」

少し迷ってから答えた。

「うーん…はるは普段からそんな感じだから

 面接の練習はかなりした方がいいかもしれないな」

「そうですか……」

「具体的に自己PRっていうのは……………」

長い話が始まった。

進路指導室を出ることができたのは30分後だった。

他の人はこんなに時間かかってないのに。


教室に戻り帰り支度を済ませる。


帰り道、朝と同様に傘をさして歩く。左肩が少し濡れている。

今日は一日中雨だった。

いつも履いている運動靴は土がつき、中まで水が沁みている。

「(…歩きにくいし、最悪……)」

そんなことを思いながらはるは帰路につく。



たくさんの人に疎まれて、多くの人に嫌われる

気分が憂鬱になるかもだけど、少しは好きな人もいる。

そんな天気『雨』

明日の天気はなんだろう。


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