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サイレントマジョリティ・・・?

作者: びぃるのもと

近年は35歳ともなると周りは結婚しないのか?こうすればいい!!など助言をしてくる人間は減っていく。

理由は簡単だ。最近は性に関するマイノリティ問題はとてもセンシティブな問題だからだ。

私も25歳ごろまでは人並みに恋愛経験を積み、結婚を意識する相手もいた時期はある。が、その女性とは上手くいくことなく別れを迎えた。もっともゴールを意識した相手との別れは主に私に非があるもので、大切な人を傷つけてしまったショックから恋愛からしばらくの期間一歩線を引いた形で見るようになってしまった。


それと同時に自信の環境を変えるため転職などを経験し、仕事も忙しくなっていくなかで学生時代の友人とは次第に疎遠となり、気づけば私が恋愛経験を踏んでいるという直接的な事実を知る人は私の周りにかなり限られた人数になってしまっていた。同僚が「あいつはDT?」、「それとも実はマイノリティ?」と噂話をしているのを何度か小耳にはさんだことがある。どちらでもない。ただちょっと意固地でこじらせてしまったため10年ほど彼女がいないだけだ。10年は稀として1~2年程度ならそんな経験誰でもあるのではないだろうか?

私はちょっとだけ長引いてしまっただけなのだ。ここ何年かは頑張っているが致命的なミスとして彼女の作り方というものを忘れてしまった。


零細企業勤めに俺に職場で出会いというものはない。なので同僚に何度か合コンには連れて行ってもらったが、女性と親交を深めるという結果を出すことが出来なかった。どうせ下を向いてモジモジとしていたのだろう?と思われるかも知れないが、コンパの最中は女性を盛り上げるようなトークを展開した。決して人を陥れるような冗談は言わない。飲み物のおかわりなども目を光らせた。さらにそれだけは足りないと思い好印象を持たれるための準備はなるべく整えた。毎月カットで5000円以上の美容院に通い、服は自分の体格に合ったものを使用し、爪や髭のケアも欠かさないし、体型維持のためジムにも通っている。服は大した物ではないが財布や時計だけは少し頑張ったものを身に着けている。モテるためという趣旨の本や動画で説明される準備は大方出来ている自負がある。周りから見れば「連れて歩いて恥ずかしい」と思われる要素は特にないはずだ。


だがいざ連絡先の交換になれば尻込み、仲を深めれない。

そんな失敗を繰り返していると周りは俺の求めていない優しさを出し始める。

「女性にそもそも興味ないんだろ?」

と。


違う。違うんだ!!

勝手に決めつけないでくれ!俺は女性が好きなんだ!!

少しの勇気が出ない自分に腹が立つ。しかし結果を出せていないのも事実。そんな間違った優しさを私はどう否定するか頭を働かせる。人によっては「結果より過程」と言う人がいる。だが社会においてはそれは詭弁でしかない。チャンスが与えられている環境ならば「結果こそすべて」なのだ。仕事ではない為、結果が残せなくとも周りは何も言ってはこないがチャンスを何度ももらいながら結果を出せない俺は「サボってる」もしくは「自分たちとは別の価値観がある」と評され始めたのだ。

「別の価値観」これが問題だ。これを許容することが今や世界のスタンダードだ。私の友人にも当然そのような価値観の人がいる。だが合コンという場において男性側の席は貴重な1席なのだ。「サボってる」もしくは「別の価値観」を持つ人のために席を用意はしてくれない。


そう評されるのは俺の行動の結果だ。仕方ない。

だが一度は直接俺の考えてることを聞いてくれないか?

「別の価値観」が聞きにくいのは分かる!!ならば「サボってる」のはどういうことだ?と。

黙って俺という存在を決めつけないでくれ。

だが多数派は「かも」しれないという考えだけで傷つけないよう、嫌な気分にしないよう不自然な優しさで私を囲うようになる。そんな不自然さは私と言う人間の評価をドンドンと変えていると感じた。そんな流れを私はとても気持ち悪く感じた。「確信」になる前に「疑惑」を払拭せねば。


静かに見守ってくれるのはありがたい。だが時に決めつけて違う価値観に触れないよう心のシャッターを降ろしてはないだろうか?それは静かに見守るとは似て非なるものだ。


だがこんな問題の解決策は分からない。でも私は物言わぬまま自分の価値観を決め作られるのは面白くない。必死に考える。くだらなくてもいい。俺は古い価値観の人間だ。結婚がしたいのだ!それには周りの協力が不可欠!


とりあえずマッチングアプリをいれ通知ONで設定した。様々な通知が流れる朝8時にはなるべくスクリーンを上にして他人の目に入るところに携帯を置こう。俺の価値観を行動で知ってもらうんだ。そしてまた合コンに誘ってもらい、古き価値観の幸せを手に入れる。


2年後。

同僚の評価は「俺の結婚」で覆ることとなった。

驚いた周りの表情に今度は私がそっと目を瞑った。

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