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夢を追うもの笑うもの22


 新しい物や技術に心惹かれてしまうのは何故だろう。


 やはり人間というのは欲深い生き物で、常に何らかの刺激を欲しているからなのだろうか。


「とりあえず俺は気の練習を続けるから、ベルは是非とも魔法と気を合わせた新しい技術体系を模索してくれ!浪漫は原動力だからな!」


「はいマスター!頑張ってみますが、無理だったとしてもあまり落ち込まないでくださいね!」


「落ち込まないのは無理だ!頑張ってくれ!」


 ベルが地下広場の隅に移動するのを見送ってから、俺も気の練習を再開しようと気合を込める。


 内気功はある程度形にはなってきているが、実践で使えるレベルには達していない。


 一朝一夕で習得出来るとは思ってもいない。


 けれどレベルもかなり上がって自分自身の肉体スペックもかなりのものになっており、低レベルの人よりは練習量が増やせるので習得もそれなりに早い筈なのでモチベーションは維持しやすい。


 今日はリーダーも地下広場で実験をしているので、スライムの生成には困らない。


 なのでこの状況を活かして少しでも実践に近い形で内気功を練習したい。


「リーダー!俺にもスライム生成してくれ!なるべく弱めで!」


「畏まりました、児玉様!」


 リーダーがスライムスポナーに触れると、最近ではあまり生成されない色スライムが現れる。


 今回のスライムは黄色なのでイエロースライムだ。


「気を体内で循環させて……せいっ!」


 気を血液のように流して体内気功を発動させながらスライムに突きを放った。


 槍の穂先がイエロースライムの核を捉えると、イエロースライムは宙に溶けるように消えていった。


「一応は動けるけど……まだまだだな」


 気を流しながら動くのは可能だが、集中した状態で尚且つ短時間しか動けないのでは何も意味がない。


「無意識に体内気功が出来るまで反復練習あるのみだな……」




 リーダーが研究施設に戻るまでスライム狩りを続け、その後は自分でスライムを生成しながらひたすら実践訓練を続けた。


 練習の成果は出ているものの未だ満足のいくレベルには到達していない。


 無意識に長時間の運用が出来なければ実践では何の役にも立たないのは分かりきっているので、目標ラインまではまだまだ遠そうだ。


「とりあえず今日はここまでにしとくか……」


 気付けば夕飯の時間も迫ってきているので我が家へと帰還する事にした。


「ベルー!そろそろ帰ろうぜー!英美里ももうすぐ帰ってくるだろうし!」


「はーいマスター!」


 地下広場の隅っこで新たな技術の開発に励んでいたベルに声を掛けてから我が家へと戻った。



 ☆ ☆ ☆



 我が家へ戻るとスパイスの良い匂いが漂ってきた。


 合宿所のスポナーでレベリングに励んでいた英美里が何時の間にか帰ってきており、夕飯の支度を済ませてくれているようだ。


「今日はカレーか……腹減ったなぁ」


「私もお腹ペコペコです!カツも用意してくれてると嬉しいですね!」


「だな!俺は先に風呂入ってくるから、英美里にも言っておいてくれ」


「りょーかいです!」


 可愛らしく敬礼で返してくるベルに癒されながら、そのまま風呂場へ行きシャワーで汗を流す。


「結構埃とかで汚れたな……」


 アバターは汚れても全身丸洗いが可能なのが地味に便利だ、洗濯機を使うでも無く自分でシャワーを浴びれば良いだけなのも楽で良い。


 風呂場から出て、部屋に戻ってアバターを回収する。


「千尋と純も今頃ご飯食べてんのかな……」


 念話なり電話なりをすればお嫁ーずの状況は把握できるが、何処で誰にどんな形で情報が漏れるか分からないので基本的には俺からは連絡はしないようにしている。


 可能であれば一日に一回以上は報告をしてもらう約束だが、今の所は連絡が無いので向こうの状況は全く分からない。


「一馬さんが張り切り過ぎて無ければ良いけど……」


 今日は道場で明日の合宿の為に勉強と鍛錬を行っている筈だが、冒険者協会の未来のエース達は無事に一馬さんと千尋の鍛錬に付いていけているのかが不安だ。


 一馬さんは張り切ったり暴走しなければ何も問題無いが、千尋は違う。


 千尋は常にスパルタなので新人の子達が潰されていないか心配だ。


「まぁ報告待ちだな……さぁ!飯食おう!」


 カレーにはカツ、これが最強。



 ☆ ☆ ☆



「私の見立て通りやっぱり日向ちゃんが一番才能あるね!特に体術とか剣術は本当に未経験なのかと疑っちゃうぐらいだったよ!」


 夕食後に連絡がきて、パソコンでお嫁ーずとビデオ通話を利用してお互いに顔を見ながら会話中だ。


 携帯電話を利用するよりかは多少は安心出来るが、情報が漏洩するリスクがあるのは承知の上だ、念話では顔を見ながら会話出来ないので俺の我儘でビデオ通話にしてもらった。


「あの遠藤がねぇ……まぁ初日だし、まだ何とも言えないだろ」


「私的にも日向が頭1つ抜けている印象だな。このまま剣術磨き続ければきっと強くなるぞ!もっともっと練習と実戦を重ねて成長すれば、私にも追い付くかもしれん!」


「それは無い……千尋は自分の事を過小評価し過ぎ。千尋は控えめに言っても超人だから」


「むぅ……」


「御影ちゃんも結構良い感じだったね!剣術はあんまり向いてないっぽいけど、動き自体は悪くないから得物を色々試してみるのも良いかもね!」


「御影は動けてはいるが、剣よりも長柄の武器の方が相性が良い気はするな。もしくは遠距離武器だな、素人であそこまで周囲を見れているのは一種の才能だ」


「それは凄いな!御影ちゃんは良く気が付く子だったしな!遠距離武器といえば、今日リーダー達の技術班が魔法銃を試作してたぞ!完成品が出来たら御影ちゃんに試して貰おう!」


「魔法銃か……何ともファンタジーな物を作っているな」


「私も欲しい!遠距離は私の専門分野だからね!」


「後で技術班に伝えておくよ」


「ありがとう!」


「それと幸子は運動自体があまり得意そうでは無かったな……どうしようか?このまま事務方に回って貰うのも私は有りだと思うんだが……」


「うーん……まだ様子見で良いんじゃないか?レベルがある程度まで上がればまた違った才能が開花するかもしれないし」


「そうだね!まだ魔法も試してないから、戦闘の才能が無いとも言い切れないからね!私みたいに魔法が得意かもしれないし、そうなればチームで動く時にはかなり重要な人材になると思う!」


「まぁ本人次第でもあるか……幸子本人がダンジョン攻略組から抜けたいと言うまでは様子を見ても良いのかもな」


「才能なんて無くても、レベルさえ上がればある程度までは伸びるからな。気長に成長を見守るのも良いと思う」


「だね!」


「後は藤堂か……どうだった?」


「率直な意見を言うなら、才能は間違いなく無い。というか特筆して言う点が何も無いな。得意な事も無ければ苦手な事も特に無い感じだな」


「所謂ジェネラリスト系か……って事はやっぱり第一期生の看板は藤堂に担いでもらうのが一番良さそうだな!唯一の男だし!」


「だね!何でも人並に熟せるように指導してあげた方が、結果的には伸び代が有りそう!やっぱりそういう人がリーダー役をやってくれた方がチームとしてはバランスが取れて良いよね!」


「そうだな……一芸特化型だと色々な部分で抜けが出やすいから、纏め役にはジェネラリストの方が向いているだろうな、ダンジョン攻略においては……な」


「今日の報告はこんな感じかな!明日からはパソコンも無いし、念話で報告すると思うから!また明日!おやすみ拓美君!」


「おやすみ、まこちゃん」


「あぁ、二人ともおやすみ」


 ビデオ通話を終えると途端に寂しが襲ってくる。


 家には俺しかいない。


 英美里はレベリングでベルは多分ルゼの所に居る。



























「ルゼの所に行こう!」


 寂しい時は誰かに会いに行けば良い、昔とは違って今は誰かしら会いに行けるんだから。


「そうだ……ゲームも持って行こう!」


 偶には家族と一緒にゲームでもしよう。





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