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小さな発見は大きな事件16


 畜舎へ着くと、番長がアメリカン農業スタイルに着替えてダンジョン鶏に餌を上げていた。

 やはりこの格好が作業服のデフォルトらしい。

「おーい!番長!お前もスライム狩りに行くか?」


「行くっす!餌を上げたら自分も地下広場に向かうんで先に行ってて下さいっす!」

「りょーかい!またなー!」


 ダンジョン鶏を初めて見たが、デカい。

 大型犬程の大きさの鶏が餌を求めて番長に群がっている姿は結構な衝撃映像だ。

 これは番長一人では大変だろう。


 他に特徴としては色は真っ白と真っ黒の2種類がいるようだ。

 羽も普通の鶏と違いふわふわでひよこのような綿毛だった。


「……たぶんダンジョン鶏って烏骨鶏ベースだよなぁ、サイズはデカいけど。食ったことは無いけど美味いらしいし!今日のチキンパーティが楽しみになってきたな!」


 純達は既に地下広場へと向かっているのか、鶏舎には居なかったので俺も急ぎ足で畜舎ハウスへと向かい、玄関の靴箱から地下広場へと降りて行った。



 地下広場では英美里が純へとスライム狩りについての説明をしてくれていた。

 説明を受けている純の手にはミスリル製の金棒が握られていた。

 鬼が持っていそうな金棒のような形状だが、色がミスリル製の為銀色になっており多少スマートに見える。


「純は得物は金棒にしたのか……」


 長さが120cm程もある金棒なのでとてつもなくミスマッチだ、身の丈にあっていない武器に見えて仕方がない。

 そしてなによりあのサイズの金棒を扱う力が純にあるとは到底思えない、明らかに小鬼サイズなのだから純は。


 

 千尋によるスライム狩りのお手本が始まるようで英美里が千尋に何か声を掛けていた、俺は少し離れた場所からそれを静かに見守る。


 千尋と純が何度か頷いた後に英美里がランダムスライムスポーンへと触れた、出てきたのは青いスライム。千尋がミスリル製の刀で横なぎ一閃するとスライムは消滅した。

 拍手を送る純、一礼する千尋、容赦無く次を生成しようとする英美里の姿を確認しながら皆の元へと向かう。


「お疲れ様!千尋!生成ありがとう英美里!それで……何故純は金棒をチョイスしたんだ?扱えるとは到底思えないんだけど……」

 皆に声を掛けると千尋と英美里は軽く礼で返してくれた。

「これかい?意外と軽くて私でも振り上げる事は出来るし、リーチもある、それに武器の扱いなんて知らなくても金棒なら叩くだけで良いからね!一応私なりに考えての選択なんだよ?」

 純から金棒を選んだ理由を聞けば考えた上での武器選択をしたことが分かり、少し安心した。


「なるほど……でも見た目が小鬼っぽいですね!」

「ふふん!それはそれでギャップ萌えだろう?」

 軽口を軽口で返してくるあたり、流石だと思う。

「それじゃあ頑張ってくださいね!俺は家に戻るんで!」

「あれ?拓美君は狩っていかないの?」

「俺は今朝やったから、今後は午後の時間は純と千尋を優先してレベルリングするつもりだよ」


 レベリングが必要なのは俺じゃなくて怠惰ダンジョン外で活動する事になる千尋と純が最優先になる。

 なので今後は午後のスライム狩りは基本的に純と千尋がメインとなり、俺はその間は自由時間になる。


「分かった、それじゃあまた後で!旦那様!」

「では、夕飯前には戻りますので」

「純先輩の事は任せておけ、また後でな!」

「おう!じゃあまた後で!」


 皆に別れを告げ、コアルームへと向かった。


 コアルームへ入るとベルが居た、アメリカン農業スタイルの3人と一緒に。

「ベル!この娘達は……鬼人で良いのかな?」

「はい!マスター!新しく仲間になった鬼人の娘達です!スキルも番長と同じですね。エルフルズのように異なるスキルかと思っていましたが、まぁこれはこれで有りですね!これから番長の下で働いてもらうので今から番長に挨拶しに行くのですが、マスターも行きますか?」


 番長と同じように、和美人タイプの鬼人三人娘。

 可愛い。

 グループアイドルでもやらせれば人気が出るかもしれない。


「いや、俺はやめとくよ」

 ベルに断りを入れてから鬼人娘衆に挨拶する。

「初めまして!これからよろしくな!番長の事手伝って上げてくれ、既にダンジョン鶏の世話が大変そうだったし!頼んだよ!」


「「「はい!お任せください!児玉様!」」」


 若干の違和感を感じつつもコアルームを後にする。

「じゃあ、またな!今日はチキンパーティらしいから!夜は皆で家に来るんだぞ!」



 ☆ ☆ ☆



 自宅の部屋に戻り<超常現象対策本部>のサイトにアクセスする。


「うーん……俺達が知らない新しい情報は無しか……まぁ仕方ないか。加護関連、ダンジョン関連、モンスター関連の情報は俺達が最先端なのは間違いないだろうからなぁ……ダンジョン攻略者が増えればその限りでは無くなるとは思うけど……まだ無理そうだなこれは……」


 サイトには<宮崎ダンジョン>の攻略に関しての情報が掲載されているが、その進捗は芳しく無い様だ。

 攻略が進んでいない大きな理由としては、単純にゴブリンの数が多い事、銃火器がゴブリンに対してあまり有効では無い事、罠が設置されている事、狭い洞窟型のダンジョンなので大人数での攻略があまり有効では無い事、そもそも攻略の仕方を誰も知らない事。


「行方不明者も見つかっていない……そして新たに死者が5名……罠で2名死亡、ゴブリンに殺害された者が3名か……」

 ダンジョン内で誰かが死ねば、DPが増える。

 そうなれば更にダンジョン攻略は難しくなる。

 <超常現象対策本部>のやり方では完全に悪循環に陥っていると思われる。

「どうにか情報を伝えてあげたいんだけどなぁ……今はまだ無理だな……素直に伝えた所で信用されるとも思えないし、そもそも何故そんな事を知っているのかって話になるだろうしなぁ……そうなれば俺が世界の敵認定されかねない」

 俺の持つ<怠惰>スキルは明らかに異質なスキルだ。

 下手すれば悪魔だとか魔族だとかモンスターだとか言われかねない存在だ、何としても隠し通さないといけない。


「まぁ千尋と純が強くなれば、ダンジョン攻略に関しては解決出来るか……国内に限ればだけど」


 今の所二人を国外に出すという選択肢は無い、強くなれば命の心配は無いかも知れないが、帰る事が出来るかが分からない。

 個人で国を行き来出来る移動手段が手に入るまでは国外には行かせられない、海を渡るのはリスクが高すぎるのだ。


「なんにせよ、出来る事をやるしか無いな……」


 そういえばとステータスを開く。


「新スキル無し!アバターも追加無し!」




<アバター>  63000SP


 アバター修復 消費SP1000


 聴覚強化 消費SP15000


 視覚強化 消費SP15000


 触覚強化 消費SP15000


 嗅覚強化 消費SP15000


 身体能力強化 消費SP15000


 魔力同調 消費SP20000


 魔力強化 消費SP20000


 魔力量強化 消費SP20000



「まぁ……魔力系で良いか、取得完了!」



 <ダンジョン用アバター 児玉拓美>


・発声機能

・味覚機能

・身体能力同調

・魔力量同調

・魔力量強化

・魔力同調

・魔力強化


 

・スキル同調

・加護同調

・自動修復

 <スキル>

・念話

・隠蔽

 <加護>

・娯楽神の加護



「おー!もうすぐアバターの追加もコンプ出来そうだな!まだ色々追加機能があると嬉しいんだけどなぁ!」


 もはや追加や強化される内容よりもコンプリートする事が目標になりつつあるが、アバターは自分の生命線とも言えるスキルなので強化するに越したことは無い。


「さぁてと……ネトゲでもしながらチキンパーティを待ちますか!」



 ☆ ☆ ☆



 庭に急遽作られた机の上には様々な料理が並べられていた。


 鶏の唐揚げ、チキン南蛮、とり天、チキン竜田、フライドチキン、照り焼きチキン、丸焼きチキン、山賊焼き、トマトチキン煮込み、親子丼、オムレツ、オムライス、茶わん蒸し、ニラ玉、天津、天津飯。


 まさにチキンパーティと呼べる品の数々。

 予定よりも多くの鶏料理が用意されていた。


「鬼人娘衆が料理上手で助かりました!」

 パーティの準備をしながら英美里が嬉しそうに話し掛けてくれる。

「お疲れ!優秀な部下が出来て良かったな!」

「はい!」

 人数が増えたことで正式に班分けが行われた。


 俺とベルがトップでベルの下に英美里、俺の下に千尋、純が着いた。

 そして英美里の下に食料班としてエルフルズ、鬼神娘衆が着いた。

 あくまでも<怠惰ダンジョン>を円滑に運営していく為に会社のような体系を構築したとベルが言っていた。

 一族経営のようなものだと思い、俺も反対はしなかった。

 そもそもが、運営に関してはベルに任せているので文句などつけようも無い。


 一応皆幹部のような扱いになるらしい、これから先どんどん配下が増えて行く予定になっているので今の所は幹部しか居ないがそんなことは正直どうでも良い<怠惰ダンジョン>に属している者は全て家族なのだから。



 パーティの準備も終わり、各々がドリンクの入ったグラスを持ったのを確認する。


「えーでは、これより千尋、純、鬼人娘衆の歓迎を祝しましてチキンパーティを開始します!それでは皆さん、乾杯!」


[[[[[[[[[[[[乾杯!]]]]]]]]]]]]


「無礼講じゃー!飲んで騒いでも誰にも怒られないから!遠慮なく騒いでくれ!」


 グラスに入ったエルフルズ特性のワインを飲む。

 美味い。


「マスター!何か食べたいものはありますか?」

 隣に座るベルが気を使ってくれる。

「いや、自分で取るから大丈夫だよ!ベルも一杯食べろよ!」

「ありがとうございます!マスター!」

 そう言うなり、料理を取りに行くベル。


「ご主人様、どうぞ!無くなってしまう前にとり天だけでも持って参りました!」

 机にとり天を多めに数種類の料理が少しづつ盛られた皿が置かれる。

「ありがとう!でも気を使わなくて良いからな!英美里も楽しんでくれ!片付けは明日皆ですれば良いから!」

「はい!お気遣いありがとうございます!片付けは私が責任持って行いますので大丈夫ですよ!では失礼しますね!」

 英美里がお酒の置かれたコーナーへと向かった。


「「「「児玉様!」」」」

「おう!飲んでるか?」

「「「「はい!」」」」

 エルフルズがワインボトルを持ってやってきた。

「こちら、新作のワインです!まだこの一本しかありませんが児玉様の好みに合わせてフルーティな仕上がりになっていますのでどうかご賞味ください!」

「おぉ!もう新作を作ったのか!魔法ってのは相変わらず凄いな!ありがとう頂くよ!」

 新作のワインをリーダーに注いでもらって一口飲んだ。

「なんだこれ!ワインというか……もはやブドウジュースじゃん!これは美味いな!」

「ソーダ割も美味しいので是非!」

 再びワインを注がれ、リーダーが魔法を使ってソーダ水を作ってグラスに注いでくれた。

「炭酸と合うなぁ!これ最高!ありがとう!」

「お褒め頂けて良かったです!それでは失礼します!」

「「「失礼します!」」」

「うぃーまたなー」

 少し飲むペースが早過ぎたのか、既に酔いが回り始めていた。


「まこちゃんはお酒弱いんだから!あんまり飲み過ぎないようにね!」

「ちーちゃん!しんぱいしてくれてありがとー!」

「もう!ちょっと飲むペース早いんじゃない?」

「そーいうちーちゃんこそもう酔ってるでしょ?」

「まぁ少しはね、まこちゃん程じゃないわよ?……今日泊っていくから……パーティ終わったら部屋に行っても良いかな?」

「おー!ちーちゃんならいつでもうぇるかむだよ!あいしてるよー!」

「もう!本当に大丈夫?まぁそういうことだから!また……後でね!」

「はーい!」

 だめだ、よってるきがする。

 にしてもとり天うまー。


「お邪魔するっす!」

「「「お邪魔致します!」」」

「おー!きたかー!のんでるかー?」

「はいっす!エルフのお酒はマジで美味いっすね!特にこの米酒!マジでいくらでも飲めるっす!児玉っちも一杯どうすか?」

「いただこーう!」

「にひひひひ!良い飲みっぷりっすね!」

「みんなもえんりょせず!どんどんのめー!わははは!」

 たのしくてしかたない。

「じゃあ!いっぱい飲んでくるっす!さよならっす!」

「「「失礼致しましました」」」

 ばんちょういがいはみんななんかかたいなー。

 まーそのうちなれるか。

「……やばいねむいな……とり天うま……」


「やぁ!後輩君!相変わらずお酒は弱いみたいだね!レベルが上がって強くなってもお酒には勝てないみたいだね!」

「んぁ?ぱいせんちーっす!おせわになってまーす!」

「にゃはははは!もうべろべろじゃないか!今夜は泊っていく事にしたから!後で君の部屋に行くからね!起きていてくれよ!」

「へー!そっすかぁ!へやにきてなにするつもりっすか!おれのひゃはげーむぐらいしかないっすよ!」

「何ってそりゃ……婚約したんだナニに決まってるだろう?まぁ良いや!とりあえず後で行くから!またね!」

「うぃーっすおつぁれっしゃー」

 たのしいけどねむい

 だめだ

 おきとけってぱいせんがいってたからおきとかなきゃ

 それにしてもしあわせだなー

 まいにちこんなひがつづけばいいのに

 ありゃ?

 なんかぐるぐるする

 もうだめかもしれない

 これは

 だめ

 だ



 ☆ ☆ ☆



「ふぅ!無事に寝てくれましたね!」

「ふふふ!罪悪感が無いとは言えないけど……こうでもしないといつまで待たされるか、わかったもんじゃないからね!」

「だね!それじゃあ今日は私からで良いんだよね?」

「勿論!一応私も後から行くけど……たぶん無理だよね?」

「んー……どうだろうなぁ、まこちゃんなら大丈夫な気もするけど」

「まぁ!そもそもこの泥酔状態で出来るかどうかも分からないしね!最悪裸で隣に寝てれば起きた時に気付いて、今後のハードルは下がる筈だから!」

「そうなれば良いねぇ!じゃあ!作戦開始!」















 なんかはこばれてるような……




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