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世界が変わっても人間そんなに変わらない13


 我が家の守護神がランダムスライムスポナーに触れた瞬間俺の目の前に青色のスライムが現れた、最初に出てきたブルースライムという種類だろう。

 意識を集中してスライムをじっと見つめる、正直怖さや嫌悪感はある。

 だがこの体はアバターの体であって俺自身では無いと強く意識することで恐怖や嫌悪はかなり収まってきた、その場でプルプルと震えるだけのスライムに怖がる必要は無い、まずは核を見据えて突く事だけを考える。


「ふぅ……セイッ!」

 呼吸を整えてからゲームで見たキャラのように両手で槍を軽く握り軽く腰を落として右側に構える。

 半歩程踏み込みながら腕を前に伸ばして核目掛けて突きを繰り出すがうまく核には当たらなかった、だが外れる事は想定していたので素早く槍を引き戻し冷静に槍を構え直してから次の攻撃を繰り出す。

「突きじゃ核にピンポイントで当てるのはまだ難しいか、要練習だな……突きが駄目なら薙ぎ払えばいいじゃない!」

 今度は突きでは無く薙ぎ払いに挑戦する、右構えの状態から穂先を顔の左側に振り上げて踏み込みながら振り抜く。

「はぁっ!」

 気合の掛け声と同時に振り抜いた槍の穂先は見事スライムの核に命中し、スライムは宙に溶けるように消えていった。

「……ふぅ、消えたって事は討伐成功で良いんだよな?」

 無事2撃目でスライムの核に攻撃が届き初のモンスター討伐を成功させ、油断しないようにスライムが居た場所を見据えながら見守ってくれていた皆に質問した。


「お見事です!これでスライムの討伐成功ですね!では続いて……リーダーやってみますか?」

「はい!」

 スライムを倒した程度で褒められ複雑な気もするが緊張していたのか口の中は渇いていた、水を一口飲んで呼吸を整える。

「マジ最高……やっぱ楽しいな!アバター最高!」

 部屋で一人興奮していると、次はリーダーがスライム狩りを行おうとしている、リーダーは長剣を片手で持っているが構えるでも無く両手を下げたままな状態で立っていた。

「お願いします」

 緊張した様子も無く自然体なリーダー。

「では……行きます!」

 掛け声とともに緑色のスライムが現れた。

「えい」

 なんとも気の抜けた掛け声とともに長剣を振るうリーダーだが腕が動いたと思った時には既に振り終わっていたので結構な速度で振るわれた事は分かった。

 緑色のスライムが消えていく、その姿を見届けるリーダー。

「討伐成功しました」

 何事も無かったように報告する姿を見て、エルフは魔法の達人で弓の名手だが近接系はそうでも無いという己の固定観念を見事に取り払った。

「近接でも勝てる気がしねぇ……強すぎ可愛いすぎかよ、エルフって奴らは本当に最高だな!」

 その後も残りのエルフ達がスライムを討伐していく姿を見届けた。




 同じようにスライムを何度も順番に討伐していく、慣れてきた頃にスライムのランクを上げていった。

 途中銀色のメタリックスライムが出てきたりしたが俺以外の皆は苦労する事無く一撃で討伐していた、ちなみに俺は英美里の影で核を露出させられながら身動き出来ない状態で拘束されたメタリックスライムの核を槍で何度も攻撃して討伐した。


 何匹かに一度スライムが消えた後に金属だったり瓶詰めされた何かだったり素材がドロップしたが俺には必要無い物なのでリーダーとエルフ達に渡してアイテムボックスに収納してもらう。


 その後も俺一人では討伐出来そうに無いスライムが出る度に英美里に拘束してもらいながら討伐していったが、俺の攻撃ではびくともしない硬度のスライムをいとも容易く切り裂いて拘束する英美里に感謝と畏怖を抱くのは仕方ないことだと思う。


 ☆ ☆ ☆



「もうすぐお昼ですから、今日はこれで終了しましょう!」


 英美里が昼が近いということで終了を告げた。

「りょーかい……後半は俺一人じゃ全く倒せなかったな」

 途中までは俺でも倒せるスライムが出てきていたが、後半は出てきた瞬間に英美里の影に拘束されたスライムしか相手にしていない。

「武器が武器ですからね、ある程度は仕方ないかと思いますよ?」

 特に落ち込んでいる訳では無いがリーダーが慰めてくれる、だがリーダー達エルフ組も武器の性能は一緒なので純粋な強さで俺が負けている事が良く分かる。

「ありがとう……でも俺はアバターで楽しく遊べたから大満足だよ!みんなの強さも再確認出来たし、俺が弱くても皆に任せて置けば大丈夫って事だから気が楽だよ!」

 とにかく楽しかった、後半はただの作業だったけど途中まではフルダイブ型のVRゲームで敵を倒すような感覚が味わえて最高だった。


「ところでレベルって上がったの?」

 本来の目的であるレベルアップをしたのか聞いてみた。

「はい!私はレベルが2に上がりました!」

 英美里はレベル2、あれだけ倒してもレベルが1つしか上がって無いらしい。

「私たちは10まで上がりました!これでより多くの作物が育てられるようになりました!英美里様、児玉様ありがとうございます!」

 エルフルズは10まで上がっていた、メイドラキュラとエルフルズではレベルアップの経験値量が違うという事だろう。

「2と10か結構差が出たな……まぁこれからも地道にレベル上げをすれば良いか!」

「ご主人様はレベル上がりましたか?」

「俺は……」

 ステータスを開いてレベルを確認する。


 児玉 拓美 LV18


「レベルが3上がってる!おぉ!スライムレベリングすげーな!」

「英美里様の膨大な魔力量があればこそですね!」

「皆さんのお役に立てて良かったです!」

 皆自分のレベルがあがって上機嫌だった。


「ベルに報告してお昼食べたら今度は魔法の講習だな!エルフ達は昼どうするんだ?」

「私達は一度家に戻って食べますので、児玉様の準備が出来ましたら連絡をして頂ければと思います」 

「わかった、じゃあベルの所に行こうか!」



 ☆ ☆ ☆



「ベル!ただいま!」

 コアルームに戻ってきてベルと挨拶を交わす。

『みなさんおかえりなさい!どうでしたか?』

「あぁ!全員レベルが上がったよ!」

『それは良かったです!これからも頑張ってくださいね!』

「おう!任せとけ!」

「ベル様、ドロップした素材はどうされますか?」

 ベルと軽口を交わしているとリーダーがドロップ素材をどうするかベルに尋ねた。

『必要な物や欲しい物だけ持って行って良いよ!要らないものはここに出すか洞窟の中にでも放り出しておいて!私がDPに変換しておくから!』

「分かりました、では一度ここに全て出しますね」

 エルフルズがアイテムボックスから素材を出していくと、種類別に並べられた素材が思ったよりも沢山あって感心していた。

「こんなにあったのか……じゃあ皆好きな物を取って行って、俺は何も要らないからね」

 現状俺が素材を持っていても何も使い道が無い。

「私も何も要りません」

 英美里も何も受け取らない。

「では……私たちは武器と防具を作るのに必要なミスリルを頂いていきます!」

 エルフルズはミスリルを持って帰るようだ、俺も初めてミスリルを見たときは結構興奮した、ファンタジー金属の代名詞でもあるしなにより性能が良いというのは定番だから。


『ミスリルだけで良いの?』

「はい!私達が扱える金属の中では最高峰ですから!」

 エルフ曰くミスリルは特殊な方法で魔力を注ぐ事で容易に形を変えられる金属らしく、他の金属素材と違って魔力伝導率も高いので武器や防具に重宝される金属らしい。

『まぁ明日以降も取れるしね!じゃあ他のものはDPに変換しちゃうね!』

 コアルームに並べられた大量の素材は色が透明になりながら最後には消えてしまった。

「変換する時ってこんな感じで消えていくのか」

『はい!マスター!これでDPも大分余裕が出来ましたので今日中に転移門の設置とコアルームの移動をしますね!』

「おう!倉庫は片付けてるから!」

『はい!マスター!それと家畜も生成したいのですが、追加で世話役を生成しても良いですか?』

 家畜の世話を追加で生成したいと言うベル、だが家畜の世話はエルフルズがやる予定の筈。

「良いけど、エルフ達がやるんじゃ無いのか?」

『はい、マスター。本来はその予定でしたがDPにも余裕がありますので追加でエルフ、もしくは鬼人を生成しようかと』

 鬼人は初耳である。

「鬼人とはどんな奴なんだ?」


『鬼人は亜人の一種です。妖怪の鬼に似た特徴をもつ身体能力が極めて高い種族で額に角を有しておりそれ以外の見た目はマスター達と酷似してますので角さえ隠してしまえば外の者に見られても大丈夫です!ただ男性の鬼人は女性の鬼人に比べて角が長いという特徴がありますので生成するなら女性だけになりますね……どちらにしますか?』


 非常に悩ましい、戦力的にはエルフとは違う方が良いとは思うがエルフの魔法を知ってしまった後ではエルフを選びたくなってしまう、エルフが好きとか可愛いとか綺麗とかじゃなく魔法力を考慮してだ。

 対して鬼人はパワー系っぽい、近接職とか適正高そうな感じだろうから<怠惰ダンジョン>の総合戦力はかなり上がる筈だし女性しか生成しないらしい。



「参考程度にエルフを追加で生成する場合は性別はどうするか聞いても?」

『どちらでも構いませんよ!マスターの好きにしてください!』

 どこか余裕を感じさせる声音でベルが性別はどちらでも良いと言ってくれたので更に悩む、エルフも魅力的だが鬼人も見てみたい。


「うーん……英美里とリーダーはどっちが良いと思う?」

 困ったときは相談だ。

「私は鬼人をお勧めします!エルフと鬼人が居れば近距離と遠距離のどちらでも対応可能な場面が増えると思いますので」

 英美里は鬼人推し。

「私も鬼人をお勧め致します、私達だけでは近距離戦闘はカバーしきれない事もあると思いますので」

 リーダーも鬼人推し。

「そうだな、じゃあ鬼人で頼むよ!」

『分かりました!では明日家畜と鬼人を生成しますね!』


<怠惰ダンジョン>の新戦力は<鬼人>に決定した。


「じゃあ家に戻るよ!またな!」


 ベルに別れを告げ家に戻る。



 ☆ ☆ ☆



 昼ご飯を食べて食後のコーヒーを飲みながらまったりとした時間を過ごす。


『マスター!転移門の設置とコアルームの移動が完了しました!一度コアルームまで移動してみてください!』

 ベルから念話が入った、嬉しそうに連絡してくるベルの頼みを断るという選択肢は俺には無い。

『わかった、倉庫に向かうよ』


「転移門が設置出来たらしいから行こうか」

「はい!」

 英美里と一緒に我が家の倉庫に向かった。

 妹の部屋の隣にある今は誰も使っていない部屋、以前は両親が使っていた部屋を倉庫として活用していた場所、その部屋の扉を開けて中へ入る。


 倉庫の中に入るが門らしきものは見当たらない、代わりに見たことも無い襖が部屋から入って正面側の壁に設置されていた。 

 襖には白地に黒でお寺らしき建物とお寺にある鐘の絵が描かれている。

 

「ん?まさかこれが転移門か?門じゃなくてどうみても襖なんだが?」


『ベル!まさかこの襖が<転移門>か?』

『はい!マスター!その襖が<転移門>です!襖に手を触れてください!』

 言われるままに襖に手を触れると視界に文字が浮かぶ。



 何処へ転移しますか?

 ・愛の巣









「愛の巣ってどこだよ……」




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