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世界が変わっても人間そんなに変わらない4


 <ダンジョン階層転移門>設置問題はその後の協議の結果俺の家の今は使われていない倉庫部屋に設置することが決定した。

「アイテムボックスもあるし帰ったら倉庫の整理しとくから設置する時は念話で教えてくれ、ということでベルまたな!」

『はい、マスターなにかあれば念話します、英美里もマスターをよろしくね!』

「はい、ご主人様のお世話はお任せください!」


 英美里と一緒に歩いて家に帰る道中、畑と田んぼで作業をしているエルフ達を見つけリーダーに声を掛ける。

「おーい!早速やってるみたいだな!これから農業関係はお前達に任せるから、ベルと一緒においしい野菜とかお米頼んだぞ!」

「はい!お任せください!エルフの名に恥じぬよう頑張ります!」

「まぁ程々にな!無理だけはしないように、ベルがあんまりにもこき使うようなら俺に言ってくれ!じゃあな!」

 他のエルフにも軽く声を掛けてから家に戻る。

「ただいま」

「おかえりなさいませ!ご主人様!」

 玄関の戸を開けると先ほどまで俺の後ろを歩いていた筈の英美里が家の中に先回りして玄関で出迎えてくれて、驚きと嬉しさで胸がいっぱいになり、幸せを実感していた。

「わざわざありがとう英美里……ただいま!」

 

「お昼は何か食べたいものとかありますか?」

 靴を脱いでいる時に英美里に昼ご飯の話を振られるが、正直に言うと何でもいいのだが、こういう時に何でもいいと答えると作る側は困るらしいので何とか答えようと考えるが良い答えは出てこない。

「うーん……」

 悩みながら部屋までたどり着きアバター操作を辞めてアイテムボックスに収納するが依然明確な答えは出てこない、こういう時にすぐに思いつかないのは何故だろうと思考が脇道に逸れだした。

「では、和・洋・中ではどれが良いですか?」

 英美里からアシストが入るがそれでも中々決まらない。

「うーん……どれも捨てがたい気もするんだよなぁ」

 散々悩んでいるとクスクスと笑い声が聞こえてくるので英美里を見ると微笑ましいものでも見るような表情でこちらを見ていた。

「ご主人様、特に食べたいものが無い時は素直に言って頂いて大丈夫ですよ!こちらで何か見繕いますので」

 心の内を見透かされた気がしてなんだか気恥ずかしくなり、思わず顔を背ける。

「英美里に任せるよ……」

「はい!任されました!ちなみに嫌いな物や苦手な物、食べられない物はありますか?材料は冷蔵庫内の物で作りますのでご主人様が用意した物しかありませんので大丈夫だとは思いますが念の為に教えてください!」

 嫌いな物を英美里に尋ねられるが特に無いし、アレルギーが有るわけでもない。

「いや特に無いかな基本的に何でも食べられるよ、それと食材がアイテムボックスにも結構あるんだけど……英美里ってアイテムボックス無いよね?」

「そうですね、アイテムボックスはありませんが影移動の応用で物を収納する事は可能ですが食材関係だと劣化してしまいますからね……ベル様に念話で相談させて頂いても構いませんか?」


 頷いて同意の意を示すと英美里が後ろを向きベルに念話をかけたようだった。

 影移動で物を収納出来るという話を聞いて便利なスキルだと感心し、他のスキルも色んな使い方があるのかも知れないと考えていると念話が終わったのか英美里がこちらに向き直る。

「ご主人様、少しベル様の所へ行って参りますので少々お待ちください。」

 言うや否や影移動を行使したのか英美里が地面に吸い込まれるように消えた。

「いいなぁー影移動、俺も取得出来ないかな?」

 便利そうな影移動スキルを見て素直な感想を溢しながらパソコンでダンジョンの情報が上がって無いか検索でもしようとキーボードに手を掛ける。

「ただいま戻りました」

 驚いて体がびくっと跳ねる。

「お、おかえり早かったね!」

「はい、ベル様に急ごしらえではありますがアイテム袋というものを用意して頂きました、ベル様曰くアイテムボックスのアイテム版の袋らしいです、容量にかなり制限があるらしくこの袋だと大体、コアルームに入るぐらいの物が収納出来るそうです」

 アイテム袋というテンプレファンタジーアイテムの存在に興味が持っていかれる。

「へー!あるんだアイテム袋!容量制限付きでもコアルーム分の容量があれば食料関係ならかなり収納出来るな!見た目はちょっとあれだけどスゲー!」

 袋の見た目は小さめの茶色い巾着だった、色のせいもあるのかあまりカッコいいものでも無い。


「ご主人様、早速ですが食料を一度アイテムボックスから出して頂けますか?アイテム袋に収納してしまいますので」

「わかった!」

 冷蔵庫に入りきらなかった食材達を部屋にどんどん出していく、出したそばから英美里が収納していき作業はものの数分で完了した。

「これで全部だな!これからこの家の食材類は全部英美里に任せるから!」

 家の食材の管理を全て英美里に丸投げして清々しい気持ちになる。

「畏まりました!では、早速お昼ご飯を作って参りますので少々お待ちください、出来上がり次第お声掛けしますね!」 

「ありがとう!」

 英美里が部屋から出ていくのを見送ってから、再度パソコンでダンジョン関連の情報が無いか検索を始める。


「まだダンジョンの発見報告は無しか……世界が変わって今日で3日目、ここ以外のダンジョンは存在するのか?流石におかしいよな……なんでここだけダンジョンが存在する?それとも既に存在はしているが発見はされていないだけか?わっかんねぇ!ベルに聞いてみるか……」

 考え出すと疑問が幾つもあるが何も分からないので暇だしベルに聞いてみようとベルに念話をかける。


『ベルー!』

『はい!マスター!貴方だけのベルですよ!どうされました?そういえば、アイテム袋はどうですか?なにか問題とかありましたか?』

 テンション高めのベルが念話に応じる。

『ははっ!ベルはベルだけのベルだろ?そうそうアイテム袋ありがとう、あれって結構DP使ったんじゃない?大丈夫だった?問題は今の所何も無いよ!何かあれば英美里から報告があると思うし』

 ベルの小粋なトークに思わず笑いがこぼれる。

『はい!マスター!DPについては問題ありません、エルフ達の<植物魔法>が予想以上でしたので、既に一度収穫が終わってある程度DPに変換しましたので!英美里にも後で念話で聞いてみますね!』

 聞き捨てならない言葉が返ってきて我が耳を疑う、もしもそれが真実であるならば世界で起こっている食料問題が解決してしまうんじゃないかという程の報告に驚きながらも返事を返す。

『収穫が終わったってどういう事?』

 未だ混乱する思考の中、簡潔に質問する。

『はい!マスター!エルフの<植物魔法>により作物を一気に成長させる事が可能なので一度収穫を終えました、ですが彼女らが言うには魔力も相当必要らしく、今の彼女らでは一日に2回の収穫が限界みたいです』

『そっかぁ……リーダー達に後でお礼を言っておくよ……』

 余計な事は考えずに現実だけを受け止める。

『はい!マスター!彼女らも喜ぶと思います!今後彼女らが成長すれば収穫量も上がってDPも稼ぎまくりですね!それと、今日の収穫分は土の栄養分に変えるらしいのでまだ食べられるものは収穫出来てませんので、明日以降には<怠惰ダンジョン>産の作物が食べられるようになりますよ!』

 やはりエルフを選択した俺の選択に間違いは無かったと心の中で自分を称賛しながら<怠惰ダンジョン>産の作物を楽しみに待つことにした。

『やっぱりエルフは最高だな!』

『ソウデスネマスター……』

 急に覇気の無いベルの返事を無視して、今回の本題に移る。

『話はかわるんだが<ダンジョン>について聞きたいんだけど、未だに世界ではダンジョンの発見報告無いけどなんでだと思う?』

 自我を持つダンジョンコアであるベルに疑問をぶつけた。


『はい、マスター。恐らくダンジョン自体は<怠惰ダンジョン>の様に発生していると思われますが、最初期の怠惰ダンジョンのように規模が小さく見つかっていない、もしくは発見されていても秘匿されていると見て良いかと』

 ベルは小規模のダンジョンは発生していると答えた、俺は更に質問をしていく。


『じゃあ発見されてないとしたら何でだと思う?』

『はい、マスター。ダンジョンの発生する場所が比較的生命の数が少ない所だからだと思います。ダンジョンが発生する条件は不明ですが、生命が多く居る場所ではダンジョンにとって不都合が多すぎますし、発生時に生命が居た場合どのような事が起こるかも分かりませんからね。私の考えではダンジョンは生命の少ない場所で発生する可能性が高いと思われます』

『なるほど……人が多い所なら猶更か、だけど発見されてないってのはどうもな……』

 ベルの推測だけでは説明しきれない事があると思い、どうも納得がいかない。


『はい、マスター。それとは別に、ダンジョン自体がある程度隠蔽を行っているのでは無いかと考えられます。私自身マスターのおかげで自我を得られましたが、自我があるからダンジョンを管理しているのでは無く、自我があるから指向性や意味を持って管理しているのであって、ダンジョンコア自体がダンジョンを管理をしていない訳では無いと私は思っております』


 ベルの言葉に衝撃を受ける。


『そういうことか!全てのダンジョンコアはダンジョンを管理して運営しているし、管理する上で隠蔽が必要なら、隠蔽をする!』

『はい、マスター。あくまで私の憶測ですがその通りです。付け加えるならばDP問題もあるかと<怠惰ダンジョン>はマスターの領土が最初から活用できたのでDPはすぐに集まりましたが、他のダンジョンではこう上手くはいかない筈です。初めはコアルームとその周辺の一部がダンジョン化しますがそこから先はダンジョンの拡張とモンスターの生成、罠の設置等全てにDPが必要になります。ですがそれらを運営する運転資金とも言えるDPの確保が難しい筈ですので、ひとまずはダンジョンの安全確保の為に隠蔽を行いゆっくりとダンジョンを大きくするのではないかと思います。ですから現在多くのダンジョンが発見に至らないのではないかと』


 ベルの考えが正しければ、これから発見されたダンジョンはある程度の規模が出来上がった状態で発見されるという事に他ならず、人類にとっては発見が遅れれば遅れる程不利な状況になると考えられるが、こんな事知った所で誰に相談出来るはずも無く、自分の周りさえ無事であるならまぁいいかと楽観的に捉える事にした。


『だとすれば今の所<怠惰ダンジョン>が一番大きなダンジョンになるのかな?』

『はい、マスター!現状の推測が正しければ一番大きな、とまではいかなくとも世界でも上位には入るダンジョンでは無いかと思います!ちなみに他のダンジョンではゴブリンの生成がベターだと思いますから、ゴブリンの行動次第ではダンジョンが発見されるのも時間の問題だと思いますよ?』


 ゴブリン<怠惰ダンジョン>では惜しくも不採用になった雑魚モンスターの定番。


『ちなみになんでゴブリンがベターなの?』

『はい、マスター。ゴブリンは必要DPが少なく繁殖速度も速いので増えた分を間引きしてDPに変換できますからね!ダンジョンを運営する上でとても心強いモンスターです!ですが如何せん知能が低いのでダンジョンの露見に繋がったり思わぬトラブルが生じると思われます!ちなみにエルフ1体生成するのにゴブリン換算すると1万体ですよ!』

『1万!雲泥の差があるな……流石エルフ!』






 ベルのゴブリン間引き発言は敢えて触れないでおいた。





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