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13/155

始まりは突然に13


 <怠惰ダンジョン>初のモンスター、メイドラキュラの<英美里>の名付けも終わったところで<英美里>の能力についてまだ把握していなかったので聞くことにした。

「英美里無事名付けも終わった事だし、早速だけど君の能力について聞きたいんだけどいいかな?」

 まだ多少は緊張するものの最初に比べればかなり冷静な状態で英美里と会話をする事が可能になっていた。

「はい、鑑定して頂ければ現在の私の能力を見ることが出来ますので鑑定して頂いてから軽く説明させて頂きたく思います」

「わかった……鑑定」

 英美里に促され鑑定する。


 <英美里> メイドラキュラ LV1

 

 スキル メイド道/影使い/影移動/吸血/吸魔/眷属化/魅了の魔眼/自己再生/念話



 鑑定によって英美里のスキルが表示される。

「じゃあ軽くスキルの説明をお願いするよ」

 鑑定では他者のスキルの詳細は分からないため英美里に説明をお願いして、メモ用にペンとノートを取り出す。

「はい、ではまずは<メイド道>から簡単に説明していきますね……」

 そして英美里からそれぞれスキルの説明をして貰った。


 ☆ ☆ ☆

 

「なるほどね……強いな流石ドラキュラって感じだね」

 英美里からスキルの説明を聞いて呟く。

「ありがとうございます、これからもっともっと強くなれるように精進していきます」

 頭にスキルの能力を刻み込むようにメモを眺める。


 ・メイド道 使用人としての作業を行う際に能力値上昇補正

・影使い 自身の影を硬化して自在に操る。

・影移動 影に潜み影から影へと出入り可能となる。

・吸血 他者の血液を取り込み自身のエネルギーへ変換することが出来る

・吸魔 他者の魔力を取り込み自身のエネルギーへ変換することが出来る

・眷属化 他者を自身の眷属として操る事が出来る

・魅了の魔眼 他者を魅了する魔眼 魅了の状態異常付与

・自己再生 自身のエネルギーを使用して再生出来る

・念話 念話所持者同士で念話が可能になる



「こうして改めて見ると、明らかに強いよな……吸血と吸魔はストックも出来るみたいだし、継戦能力はかなり高いね」

「ご主人様の護衛でもあるので、この程度ではまだまだ足りません」

「まぁ……現状明確な敵が居る訳でも無いからゆっくり焦らず強くなって行こうな」

「はい、ご主人様」

 やる気に満ちた英美里の顔を眺めながら、そういえばとベルに念話する。


 ☆ ☆ ☆


『ベルー?』

『ハイ、マスター』

『機嫌悪そうだな……まぁいいいや、メイドラキュラの名付けが終わったから報告しとこうと思ってな名前は<英美里>だ俺達にとって初めての我が子みたいなもんだから、大事に育てていこうな』

『はい!マスター!私達の子供をこれからも増やしていきましょうね!』

『お、おう、そうだな、そんでさ、あの、お前の名前なんだけどさ……正直あんなに適当に付けたこと後悔しててさ……俺はお前の事をなんというか、最初はゲームのNPCとかナビしてくれるお助けキャラみたいに思っててさ……名前なんか何でもいいというか、名前を付けるって事の重大さってのに気付いて無かったというか……でもお前は自分で考えて自分で行動出来るし、感情だってちゃんとある……お前が<ベル>っていう名前に不満があるんだったら言って欲しい……短い付き合いだけど俺の中ではもうお前は俺の家族なんだ……』

『はい、マスター……不満など何もありませんよ私は<ベル>です!誰が何と言おうと<ベル>なんです!マスター……私はあなたが居なければ<ベル>ですら無いんです……ただのダンジョンコアで意思も感情も無い只の石ころです……でも私には貴方が居た!これがどれ程幸福で幸運なのか……<英美里>だってそうですよ……貴方が居なければあの子も生まれては居ないのですから!ありがとうございますマスター!正直英美里に念話で報告を受けた時は嫉妬で気が狂いそうでしたけどね!私の時とあまりにも違うので!でも……マスターがこんな私も<家族>だと言ってくれてとても嬉しかったです!これからも末永くよろしくお願いしますね?マスター』


『……お、おうよろしくな!』

 

 新しい<家族>も増え<怠惰ダンジョン>は順調に着実に実力を付けていく、これから先の変わった世界で生きていく為に。



 ☆ ☆ ☆


 高級なスーツを見事に着込み老人というよりはナイスミドルな眼光の鋭い男が、五七の桐の付いた演説台へと到着する。

『只今より、安相慎太郎内閣、総理大臣によります緊急会見を開始致します』

 

『日本国民の皆様、緊急事態の為色々な形式や様式を無視して単刀直入に申し上げます……先日皆様がお聞きになりました<声>の真偽についてですが、あれは紛れもない真実であるとして日本政府はこれから先動いていくと宣言致します、日本政府では既に<スキル>が存在しているという事を確認出来ております、それに伴い今後<ダンジョン><モンスター>等の出現が想定されております、その為国民の皆様にお願いをさせて頂きます、<ダンジョン>や<モンスター>等の目撃をされた方は速やかに連絡して頂きたく思います』

 演説台で総理大臣が国民に向けて頭を下げて再び正面に向き直る。

『これはお願いでしかありません、今現在ダンジョンやモンスターの報告は世界でまだされておりません、今の日本の政治ではこの状況で国民の皆様に強制は出来ません、ですので国民の皆様にお願いをするしか無いのです!警察、消防、自衛隊、役所、どこでも構いません!公的機関ならどこでも!ですがイタズラに報告するのだけは辞めて頂きたい!この未曽有の事態にそのような馬鹿が出てこない事を願っております……そして明日から緊急措置として<超常現象対策本部>を設立致します目撃情報等もインターネットを通じて報告出来るようにオンラインプラットフォームを開発致しました<超常現象対策本部>で調べれば詳しい事がわかる様になっておりますのでよろしくお願い致します』

 あまりにも簡単に簡潔に現状と今後の説明が行われた。

 司会の男が質問の開始を宣言する。

『これより質問を受け付けます、質問者の方はマイクの前に立ち質問をお願いいたします』


 ☆ ☆ ☆


 大した質問も無く、ましてや緊急会見に関係の無い質問が飛び交う中で政府に対する批判や不満をぶつけてくる記者に対して安相総理が「今はそんな下らない事を言ってる場合じゃ無いだろう!この馬鹿者が!」と怒鳴り散らす事態に発展し会見が一時中断されるもダンジョンもモンスターも確認されていない現状では何も進展することも無く会見は終了した。


 インターネットにアップされた動画を止めて、疲れた目を癒すように目頭の辺りを軽く揉み解す。

「ふぅん……未だ<ダンジョン>も<モンスター>も確認されて居ないのか……まぁだんまりが一番かな……」

「それがよろしいかと、現状を報告した所でこちらにメリットが何も有りませんので」

 英美里が俺の意見に賛同してくる。

「まぁ……のんびりこそこそのびのびとだな」

「まずはダンジョンの強化が最優先かと」

「強化よりも自足自給をまずは目指していこう!ここから出なければかなり安全だし!なにより外に出かけるの面倒だし……でもなぁ買い物とかは流石に行かないと生活出来ないよなぁ……」

「外へ用事があれば私が行きましょうか?」

「出れるの?」

「可能ですよ」

 まさかのダンジョンモンスターがダンジョン外に出れる発言、この事実が本当なら世界は混乱するだろう事は目に見えているがそれもいつか分かる事だろうと気にしないで居る事にした。

「でも今はまだ駄目だな……鑑定対策をしとかないと、英美里の存在がもしバレればここも安全じゃなくなっちまう……本格的に鑑定対策しないとだな」

「私の影移動を使えばバレる事無く動けますが……」

 英美里が寂し気にこちらを見てくる。

「それでも駄目だよ、万が一があるし存在が露呈した時点でこっちは敗北っていう条件なんだから」

「わかりました……では何かありましたらお呼びください」

 そういうや英美里は影に潜って行った。


 色々と考えるが段々と考えるのが面倒になり、ネトゲでもやるかとネトゲを起動する。


 ネトゲのチャットは今日も荒れていた、主に今日の会見と<超常現象対策本部>や馬鹿についての話題で。


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