呆れるほどのミスがあって何が悪い!
はい、急ですが問題です!
俺こと乙女ゲームのヒロインに生まれ(転生)初めての問題に直面しておるのだ!
何に直面してるのかだって!
俺は転生する前は男だったんですぜ、女性の下事情を察して欲しい!!
座るからの......ふっ言えるか!!
あとなんなんだろうな、このふりふりロリータ風ワンピース、まあ前世じゃコスプレ程度の領域であれば許せるんだけどさあ!
それを自分が着るとなったらノウ、センキューだ!
なのに、なのに!
家族どもが俺の意見など聞く前に着せやがったんだぞ!
おい! そこのメイド!!
仕事が完璧で俺泣くぞ!
となされるがまま着せられたのが、今日の昼間だぜ!
まじで泣いたな.....ふふふ。
そしていま俺は部屋でベッドにて八つ当たり中である。
ボフボフボフボフと枕を殴っているが気がすむわけもなく最後にはグアアアアと喚きたくなるが、気が変だと医者を呼ばれるのも腹立つから枕に喚いてやったわ!
ほんと腹立つもんな。俺はお人形じゃねえんだよ!
クソ甘い家庭って人を駄目にするんだぞ。
はあーーーーー。
服シンプルになんねえかな。
そんなこと考えた矢先、コンコンとノック音がする。
うへーー誰だよ、こんなタイミング悪い時に来んの....。
「はーーい、だーれーでーすーか。」
やる気なく適当感を滲ませて応えてやったら。
「......ふふふ、僕だけど。」
ガチャとドアを開けて楽しげな声にゲッと思う。
こんなダラダラな状態でヒロインらしくない態度は、昔から俺を知っているマティアスには違和感あるんとちゃう。
そろりとドアをみれば疑いの表情ではなく、ぷくくくと楽しげであり近づいてくるとヨシヨシと何故か撫でられる。
「何故に私の頭を撫でるんですかね?」
「うんうん、面白いからだよ。」
「は?」
意味わからんのですが?
「理由を求む。面白い事など私はしてませんが?」
怪訝な表情を俺がすれば、マティアスは繁々と俺を観察してから昨日見せた悪戯っ子の表情を浮かべるなりニッと笑み。
「なあ、セイレーン口開けてごらん。」
「ん? 何故....うぐ。もぐもぐ....うま!!!! なんだこの甘みを感じる風味と僅かに漂う苦味、そして鼻から抜けるような....おお! これはチョコレートだな!!!」
「.......ふ、ふふふふふふ、やっぱりだ。君...セイレーンとは違う人物だよね。」
ギクーーーーー!!!!
「いやーチガイマスヨ、ワタシハセイレーンデスワヨ。」
「嘘だね、僕の観察力を舐めちゃいけないよ。現にカタコトだし、一番の理由はお菓子を感想とか前のセイレーンからは聞けなかったからね。それに僕のことをタメ口で話してきたのも初めてだったしさあー。いやはやセイレーンらしくなくて笑いそうになったことか。」
「な、なんですとーーーー!!」
まじ!俺ってば、セイレーン情報薄すぎてねえ!
そんな場面あったっけ?
よーく考えろ俺、思い出せ...............あああああああ!!!!
確かにマティアスのキャラクターに対して、幼馴染であろうと少しの人見知りとこの家でのマティアスの立場から敬語と丁寧な言葉で接した話し方しとったわ!!
そろーりとマティアスを見れば、俺の反応が余計に楽しいのかニコニコとご機嫌な表情を浮かべて嫌がるよ。
ぐぬぬ、呆れるほどに転生初日にミスしてマティアス君にバレるとは、どないしょ!!!
じわじわーと動揺していたのだが、空気を読む男のようで俺の頭を撫でた後に真剣な表情を浮かべた。
「うん。良い反応だ、僕の勘は当たるんだ。ねえ、君はセイレーンじゃなく何者だい?」