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転生したら、アンデッド!  作者: 三ノ神龍司
第三幕 終わらぬ物語の行方
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第六十七章 暇なので名前をつけよう

 イェネオさんの無力化、完了…………完了、だよね?


《内在魔力は今の特攻で尽きたようだから、動くことすらままならないと思うよ》


 パックくんがそう言ってくれたので、一安心だ。


 いやー、最後怖かったね。絶叫しながら、バシバシ斬り捨ててくるもんだから気圧されて思わず退きかけたよ。まあ、すぐに逃げられないのは悟れたから立ち向かえたけども。


 触れられることに関しても、レールガンの上半身とラフレシアが対応してくれると信じられたから、アスカ狙いにもギリギリ対応出来た。


 信じてなかったら、たぶん普通に身構えて、後ろに抜けられてアスカを殺されたかもね。まあ、触手袋を振って逃がせたかもだから本当にどうなるかは分からないけども。ただ面倒な戦いにもつれ込んだことは確かだろう。


 んで、イェネオさんはうつ伏せになりながら大人しくしている。両手足が潰れているので、そう簡単には動けないだろう。やり過ぎてしまった。でも怖かったんだもん。…………もしアスカの妖精化が出来なかったら、『侵蝕』で手脚を造るしかないな。


「ぷぎ!」


 豚がそんなイェネオさんの前で得意げに顔を逸らしていた。うーん、文字通り手も足も出ないからってマウンティングかましてますわ。


「がう!」


「ぷぎゃあ!!」


 けれどもイェネオさんに威嚇(いかく)をされて、滑りこけながら逃げる豚である。


「あぶ」


「あば」


 上半身二人組は、俺から程よく離れながら、わちゃわちゃしていた。別に二人一緒に何かをしているわけではなく、それぞれで何かをしていた。


『真経津鏡』は身体の一部を光らせていた。ぴっかぴっかと、つけたり、消したり……たぶん遊んでるのかなあ。


 ……身体つきがガッチリ系の男っぽくなっている。……精神的な性別は男なのかな?


『孤苦零丁』は発声練習をしていた。……うん、普通に喋れてる。そりゃそうだよな、声真似が出来るんだから、喋れないのはおかしい。けど、何故か誰かと話すときは基本的に唸り声でしか返さない。


《ずるい気がするから、だってさ》


 パックくんがこっそりと教えてくれる。へー、割と気が使える子なのかね。


 んでもって、身体付きはどことなく女性っぽい? ……声も色々と試しているが、基本的に女性的な高い音だ。


 レールガンは……そういえばこの魔道具は『雷霆万鈞(ブロンテース)』っていう名前がある。


「ぶあ」


こいつは……俺の饅頭下半身の中に残ったままだ。


 …………うーんと、姿に関しては白い細身の肉体だな。完全に素体で性別とかの概念が見られない。の元々性別的な何かがないのか、どういう姿が適しているのかまだ判別かつかない感じか。


 もしくは自分自身にあんまり興味がないのかもな。今も俺の身体を使って、様々な造形をして遊んでいる。ペタペタと自分につけていることから、素体の方が便利ーとか思ってるのかもな。


 一人遊びが好きで、一人でいるのも家の中で遊び続けるのも苦にはならない、というタイプ?


 …………。陰キャ、か……。……温かく見守ってやろう。


(よう、チビ助)


 俺は『雷霆万鈞』の頭をぽすぽすと叩く。


「ぶあ?」


 不思議そうに『雷霆万鈞』が見上げてきた。


(性別的な概念ってある?)


「ぶあー」


 しばらく視線を彷徨(さまよ)わせた後、ぷるぷると頭を横に振るった。


《男の子っぽくはあったけどね》


 ラフレシアがそう補足してくれた。……ふーむ、そうか。


(名前の件だけど……どうすっかなあ。ミネルヴァって名前をやろうとしたけど、女神が元だしなあ。……いっそ、アーセナルにする? 兵器工場って意味だけど)


「ぶあ」


 特に悪くなそうな感じだ。


(略すとアリス?)


(つづ)りにすると確かArsenalだから……アルス、アースじゃない?》


(なら男の子っぽいな。でもアルスな。アースだと……うん、色々と駄目だから。まあ、でも今後女の子的な雰囲気も出てくるかもしれないから、アーセナル・ミネルヴァって名前にしとくか)


「ぶああ」


『雷霆万鈞』あらため、アーセナルはたぶん嬉しそうに頷いていた。


……嬉しいんだよね?


《嬉しく思ってるよ》


 パックくんがこっそりと教えてくれる。やったぜ。


 じゃあ、他の上半身と豚にも名前つけとくか。……豚は豚って今後も呼びそうだけど、まあ、名前は一応必要よな。








(ということで、暇なので君らの名前つけまーす。ぱちぱちぱちー)


「あば」


「あぶ」


「ぷぎ」


 上半身二人がパチパチと手を叩き、豚が尻を振って喜びを露わにしていた。


(いつまでも上半身とか魔道具の名前で呼ぶのはわかりにくいからな。……まあ、豚は豚で良いんだけど)


「ぶぎぃ!」


 豚がイーッと歯を剥き出しにして、不満を示してきた。……駄目かあ。でもたぶん、お前のことは今後とも豚と呼ぶかもしれないんだよなあ。


《そこは別に良いけど、名前は欲しいってさ》


 パックくんがそう教えてくれた。


 ……なるほど、他の皆と同等に扱って欲しいって感じなのか。なら、ペットじゃなくて仲間として扱わないとな。ペット枠はワームくんだけで我慢しよう。


(じゃあ、まず『真経津鏡』から)


「あば」


(アマテラス・ヒウルで)


《意味は?》


 ラフレシアの合いの手に俺は応える。


(アマテラスは――天照大神っていう太陽神で、魔道具方面から関連する名前付け。ヒウルは日霊(ひうる)っていうなんか雑に日本神話の日とか光関係の奴。ちなみヒウルが名でアマテラスが姓みたいな感じで)


「あばー」


 りょうかーいみたいな感じに『真経津鏡』もといヒウルが頷いた。


「一応訊くけど、精神的な性別は男で良いんだよな?」


「あば」


 頷いてくれる。ならば良し。天照大神は女性とも言われるけど、男神とも解釈される、つまりは両性――! ……さすがにそれは拡大解釈過ぎるけど、性別がよく分かんない上半身につけるにはちょうど良いだろう。


 まあ、そんなこんなで比較的普通な感じな名前にしたけど、変に極まった名前にするより良いだろう。そもそもまだこいつのこと、あんまり知らないから方向性とか決められんし。


 ちなみにだが、なんとなく神様の名前+何かみたいな感じにしようとしている。特に意味はない。アーセナルの時になんやかんやそうなったから、そうしようかーみたいな雑な思いつきだ。


(次、『孤苦零丁』な)


「あぶ」


(お前は……つかぬこと訊くけど、さっき発声練習してたけど歌とか好き? 喋っても良いよ)


「……どうですかねー」


 おお、『孤苦零丁』が喋った。声色は女性的で、どことなくおっとりとしたゆっくりテンポだ。……ちょっとラフレシアの声に似てる? 少し低めにしたような、そんな感じだ。


「ただ、興味はあります。宿主さんの記憶を見たとき、歌って綺麗でー楽しくてー……」


《見込みがある》


 ラフレシアが、ちょっと嬉しそう。けれど――、


『孤苦零丁』が両頬を手で抑えながら、身体をくねらす。


「み、皆さんに注目されてー……あれに宿主さんの『精神汚染』を合わせれば、あの恍惚と崇める姿が私に向くと思うと――何かいい知れぬ感じがしてですねー――」


 とかなんとか興奮したように語っている。


《やっぱやべえ奴だった》


 あー、とラフレシアが残念そうな声をあげる。


(そうなのね。でも好き勝手に人を洗脳しちゃ駄目よ。そういうのは敵だけにしてね。それと力を使わないで魅了出来るように努力しましょう)


「あっ。それも良いですねー」


『孤苦零丁』が、ふふっと笑う。


 ……この子、ちゃんと教育しないと不味いことになりそうだな。性癖を矯正するつもりはないけど、仮に俺から離れたとしても、まともな対人関係を築ける感性だけは養わないと駄目だな。でないと、目を離したら変な教団作って教祖になって人類の敵になってそう。


(じゃあ、ディーヴァ・ミューズ辺りにするか。ディーヴァは成功を収めた歌手みたいな感じ。でも悪い意味――傲慢みたいな意味もあるから、戒めとして刻んどく)


「はーい」


(ミューズは音楽の神様だな。ついでに言うと男神で、ディーヴァと合わせて両性的になるような感じにしてみました。ちなみに――ディーヴァの精神的な性別は?)


「たぶん、女性ですかねー」


 ならちょうど良いですね。ということでディーヴァに関してはこれで良いか。


 それで最後は……豚だ。


(豚よ……!)


「ぷぎぃ……!」


 豚が期待と不安に身構える。安心しろ。さすがに名付けで、酷い悪ふざけはしない。


(最初、能力的にブービー・トラッパーっていう名前にしようとしたんだけど……豚って罠を仕掛ける工兵的な役割じゃん? 発音的にも良いと思ったんだけど……)


「ぷぎ」


(よくよく意味を思い返してみたら、ブービーって『間抜け』って意味なんだよ。……さすがにそういう意図じゃないにしろ、間抜けを名前にするのはなあって思ったんだ)


「ぷぎー」


 豚がちょっとホッとしたような息を漏らした。うん、やっぱり嫌だよね。


(ということで、改めて考え直して……カマプアアっていう豚の神様の姓を授けよう。ちなみにイケメンらしい)


「ぷぎ!」


 イケメン、という部分に豚は嬉しそうに鼻を高くする。ちなみにカマプアアはハワイの神様だ。


 今度、花飾りをつけて、ひらひらのスカートをはかせてやろう。さぞ可愛かろう。


(で、普段使いする名前は……罠関連の言葉にするか。……ちなみに韓国語で罠はハムジョンって言うんだけど……)


《ハ、ム! 加工、され、てる!》


 ラフレシアがケラケラと笑う。なんかツボに入ったらしい。文字の間に草生えてそうな感じになってる。


「ぷぎぃ!!」


 で、豚は嫌だったらしく俺に頭突きをしてきた。そりゃそうよね。 


(じゃあ、ラテン語のラクエウスって名前で)


「ぷぎ!」


 豚は厳かに頷いた。これは良かったらしい。ちょっと格好良い感じがするけど、省略するとラキューって呼び方になるから、格好良さは緩和されるだろう。


(それじゃラクエウス・カマプアアで。よろしくラキュー)


「ぷぎ! ……ぷぎ?」


 頷いたが、ラキューの呼ぶ方に引っかかるラキューである。でも、そんなに気にならないらしく、特に反論(物理)はしてこなかったので、とりあえずラキュー呼びで決定だ。


 まあ、普通に豚って呼ぶかもだけど。

次回更新は6月18日23時の予定です。もしくは6月11日23時に投稿するかもしれません。

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