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転生したら、アンデッド!  作者: 三ノ神龍司
第三幕 終わらぬ物語の行方
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第五十三章 作戦決め!

 うぉおおお、勇者と魔王をぶぅっ殺してやる!!(人生で三回目の強い決意)


 これで最後だ、俺の最期とならないよう死力を尽くそう。相手は最上位スキル持ちな上、恐らくだが、応用力も上がっている。スキルだけに頼った戦い方はしてこないだろう。


 まあ、そっちは実際に見ないとどうしようもない。それと今の俺には戦える仲間がちょうど二人いるから、一体だけ相手すればいいかもしれないのだ。


 もっとも、その二人の仲間は死んじゃ駄目でかなり気を使わないといけないんだけど。


(ラフレシア、確認。このアスカはどんな感じ?)


 すでにアスカには契約させたラフレシアをぶち込んで魂の解析してもらっている。


《本体とリンクしてる。……結びつきがかなり強いから、たぶんこのアスカが死んだら本体ごと死ぬと思う》


(最悪『不死ノ王』が負けそうになったらアスカを殺した方が良いんだな)


《それが出来ればね。望まない結末ならリンクを切られて『ループ』させられるかもしれないし。この端末は対話出来てたりとか融通が利くみたいだけど、本体はどうかはまだ分からないから》


 それは確かにそうだな。あくまで前のままのアスカを召喚されただけであって、本体が変わったわけではない。ちょっと気を引くことが出来たから、今の状態になっただけで『気に入らなかったら』こっちの言うことなんて一切耳を貸さないかもしれないのだ。そこは注意して物語を造っていくべきだろう。


 殺すのはどうしようもない時だけだ。


(あと、勇者と魔王についてだけど――やっぱり倒しても経験値入ってないよな?)


 それなりに強いはずなのに、二人を――それも二度も倒しているのに俺のレベルは上がらなかった。普通なら結構上がるはずなんだけどね。


《そうだね。殺しても魂の破損がないまま、本体のアスカに吸収されて行ったよ》


(そっか。……掠め取ることは?)


《出来なくはないけど……なに、勇者か魔王を眷属にするの? やめてよ、リディアとか眷属にしたいとか言うの。あと、やるにしても殺す直前に接近して私を使わないといけないからかなり捕獲難度は高いよ。魂のデコイも使わないと、アスカにペナルティ食らうかもしれないから、その準備もしないといけないし……》


 やる前提で話してくれてとても助かる。……難しいけど、やる価値はあるな。


(いや、さすがに眷属化は俺の負担が大きすぎるから、やらない。ちょっと考えてることがあるんだけどさ。……仮にさ、異空間に魂を入れたら好きなときに召喚出来たりする?)


《…………。出来なくは、ないかなあ》


 ラフレシアが微かに唸る。


《それにはまず、マスターだけが干渉出来る空間を創る必要があるよ。それと喚び出すにしても、その都度呼ぶのはそれなりに面倒だと思うけど》


(出来るなら良いんだ。その方法なら、たぶん殺されても再出現させれば何度でも使えるだろ?)


《……えげつないことを考える》


 ラフレシアに引かれてしまった。


 俺の魂が異空間にあって……、っていう話を聞いて思いついたのだ。要は魂の情報がどこかに保存されてさえいれば、何度だって再生が可能ということだ。


 いわゆる召喚獣みたいな使い方をするつもりだ。


(別に異空間で意識あるわけじゃないんだろ? じゃあ、苦しめるわけじゃないし良いんじゃないかなあと)


《倫理観の大切さをマスターを見てるとひしひしと感じる》


 良い教材になるかもね。反面教師として。


 ラフレシアがため息をつく。


《……うんまあ、今更やめろとは言わないけど。……それに確かに、魂は記憶装置の側面しかないからね。意識を持たせるには何かしらの再生装置がないと、情報の塊でしかないよ》


 ならいいね。


 ちなみにアンデッドの一種、ゴーストも実体がないように見えるけど、大気を操ってかろうじて形を作って身体としてるんだってさ。だから物理攻撃は効かないけど、初期のゴーストは温度変化とかにかなり弱く、簡単に消滅してしまうらしい。強風が吹いたり、松明を近づけたりすると、死ぬってよ、あいつら。


 ただ、運良く進化したものは精霊、神霊なんて呼ばれるかなり強い個体になるらしい。下手をすればナイトウォーカーよりも魔力に関してはずば抜けて強くなるようだ。


 まあ、弱かった生い立ちのせいで、かなりビビりらしく、いたとしてもあんまり姿を現さないようだけどね。


 さらにちなみに言うと魔神は後天的に精霊に近い存在になった奴らだって。


 けど……このアスカは少し特殊かもね。勇者や魔王を見れば分かるけど、倒した後に肉体が残ることから血肉もあるっぽいのだ。


 魔力が少ない土地で生き抜くために適応してるっぽいね。もっとアグレッシブだったら、この世界を食らい尽くしてしまっていたかもしれないらしい。結構、危険な存在でもあるっぽいな、魔神アスカは。


 今、俺の小脇に抱えられているのが、そんな危険な奴なのだと誰も想像つくまい。


(ラフレシア、俺、誰と戦えばいいかな。たぶん一対一でやりあう感じがベストだよね?)


《マスターなら、近くに仲間がいない方がいいからね。でも相手は連携取るつもりで動くかもしれないから、そこんとこ考えて引き離したりしないといけないよ。魔王と戦ってるときに、勇者から横やり食らって爆散、死亡とか一番笑えないし》


 そうなんだよねえ。三対三だからと言って、素直にそれぞれ一対一で戦うとは限らんのよね。仮に一対一をやっていたとしても援護されるかもしれないし。俺なら絶対、横やりする。


 リディアとか魔王も、援護とかやりそう。


(そこを注意しつつ、相性的に……俺は魔王と対峙すべきかな)


《かもね。鈍重なマスターだと素早く高火力な勇者は不利だし――まあ、一撃を当てれば勝てるけど、最上位スキルがあるとどうなるか分からないし――リディアだとそもそも攻撃が届かないし、届いても物理じゃないとダメージ通らないかもしれないし。でもさすがに元のリディアほど魔力があるとは思えないから攻撃が通じる可能性はわずかにあるよ。それでも辛いだろうけど》


(……なら、魔王かあ。どんな能力になってるか次第だなあ。あの防守の魔王ってどんな能力持ってた?)


《えっと『不壊(ふえ)神楯(かみたて)』だったっけか。絶対に壊れない盾がほぼオートで守ってくれるやつ。でも壊れない盾は一つだけだったからやりようはあるけど――パック?》


《……あの盾がない。たぶん違う能力かも》


《くそが》


 ラフレシアがパックくんの返答に毒づく。


《似てる能力を再現したからしょうがないとはいえ……アスカは、あの戦いはうろ覚えだった?》


《遠目から見てただけだからね。なんか守ってる、なんか強い攻撃、魔法すごいくらいしかないよ。リディアに関しては後から能力の詳細を聞いていたから、そのまんま再現出来たけど……。あと勇者は大体一緒かも。見た目からにしても分かりやすい能力だからほぼ同等の力を再現出来てる》


《……だとすると能力が分かってるなら、ベストは勇者だけど……うーん》


 ラフレシアがため息をついてしまう。


(まっ、このまま魔王様と戦いましょうか)


 悩んでいても仕方ない。もうすぐ着くし、延々と結論の出ない討論ほど無意味なものはない。なので決定権のある俺はさっさとそう決める。


 んで、アスカにざっくりと伝えておくか。


《アスカ、勇者かリディアと戦ってくれい。俺や『不死ノ王』への援護はお好きに》


「おっけぃ」


 アスカは俺を見上げ、サムズアップしてくる。


 はい、伝達完了。


 あとなんか確認することあったっけ? ――あっ、一つあった。饅頭下半身にいる上半身三人組どうなったかなー。


 パックくん!?


《ああ、うん、三人とも以前の彼らだよ》


(吹っ飛んでなかったのか……)


 意外だな。どうやって? と思っていたら「あば」「あぶ」「ぶば」と言いながら、饅頭下半身を縦横無尽に動き回りだした。


《必死にやったら動けるようになったらしい》


(必死さって大事よね)


 まさにあの時は逃げなきゃ死んでたから必ずやり遂げないといけなかったんだろうな。


(パックくん、ちなみにだけどこいつら何考えてるか分かる?)


《えーっと……「へへ、さすがでやんしょう」「うっふーん、中々のもんでしょう?」「やるときはやるでごわす」って思ってる》


(お前ら、そんなキャラだったのか)


《胃もたれするようなキャラなんだけど》


 ちょっと引いちゃうよ。


 俺とラフレシアが引いていると、三人が顔をしかめたり、(ほお)(ふく)らませたりしてきた。


《「……だって、個性ないって言ったじゃないっすか」だって》


(気にしてたのかよ。ごめんて。いや、うん、無理しなくていいからな?)


 俺のせいらしい。


 でもね、無理矢理つけた個性ほど、駄目なものはないと思うんですよ。キャラというのはね、日々生活していく中で見出していくものなんですから、――とか思っていたことをパックくんを通して三人組に伝えると――、


《「綺麗事とかいいんで」》


 って冷たく言われてしまった。


 まあ、こいつらにとっては俺に好かれることって死活問題なところあるからな。記憶を保持して再生出来るようになりたいんだろうけど……ふーむ。


 俺は健気な三人組にさすがにちょっと同情してしまって、考える。たぶん次は死んじゃうかもしれないから生き残る可能性を上げたいんだろうな。


 ……うーむ。…………あっ。


(ラフレシア、俺の身体の一部になった魔道具って、ある意味記憶が保持されてるようなものだよな? こいつらの記憶をそっちに移植して定着できないかな?)


《……魔道具に記憶を移植……出来ないことはないけど……それをやるとインテリジェンス化と同じになって扱い辛くなるよ? それにそんなのやったことないから、どんな不具合が出るかも分からないし》


(出来るならやってみて欲しいし……お前らはどうだ?)


「あぶ」


「ばあ」


「ぶあ」


《やるって》


 パックくんがそう伝えてくれる。まあ、滅茶苦茶頭を縦に振ってたから、かなり分かりやすかったけどね。


(同情以外にも魔道具が自立して動いてくれると、こっちとしては助かるし。……レールガンに関しては、狙撃っていうスタイルの方が良いまである)


 ちょっと色々考えついた。他の魔道具も俺自身が扱うより、体外に出して使って貰う方がいいかもしれない。


(おら、豚、お前も加われ、四天王になれや)


「ぶぎ!?」


 気絶していた豚の側面を軽く叩くと、びくんと跳ね起きる。


 おろおろしているところを見ると、何も聞いていなかったようだ。


 まあ、良い。とりあえずこいつらに即席で魔道具を配って運用するぞ。


(あっ、それとラフレシア。ラフレシア同士って互いの位置を把握出来るじゃん? それを強くしたりしてたえば二人の間の『直線距離』を明確に出来たりしない?)


《特定の私達の結びつきを強くするってこと? 出来なくはないけど……》


(出来るなら、ちょっとやって欲しいことが――)


 俺はそれを説明すると《あー、便利ではあるね》と言われた。どうやらやってくれるらしい。ちょっとラフレシアには酷いことかと思ったけど、気にしないようだ。良かった。


 では、準備を済ませて、いざ戦いの場へ!

次回の更新は3月5日23時の予定です。

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