色々あったけど能力とか確認するよー
俺は横になりながら、手に頭を乗せて肘を地面につけた姿勢でニルヴァーナを感じていた。
つまり、そうアンデッドとは、生をなんか超越しえし存在みたいなー。それ故になんかー存在すること――生があるということが他者に恐怖を与えー、そして死を強く感じさせてしまうのだーみたいなー。
だからー仕方ないのであるー。
……。意味が分からないって?
俺も分からねえよ! 考えるな! 感じろ! いや、むしろ逆に何も考えずに感じるな! この世の理不尽を受け入れるためにはそういうの大事! じゃないと壊れるぞ! 下手に知るより、何も知らないままの方が幸せになれるもんだ。だーかーらー、もー気にしなーい。
はい、ということで落ち着きました。
一旦、悟りを得るのって大事っすね(現実逃避とも言う)。
俺が一生懸命悟りを得ようとしている間に、ベラさんや公務があるということで王妃様とこんな俺を見て面白がって後ろ髪引かれてたあんちきしょうのアンサムは帰っていったよ。
あと、スーヤも帰ったよ。なんかミアエルの看病、っていうわけじゃないけど目が覚めたとき、傍に誰もいなかったら寂しいかもしれないからだって。……王都に戻れるようになったら、代われとも釘を刺されちゃった。そろそろ目覚めるかもしれないらしいし。……落ち着いたら、つきっきりになろうか。もう特に用事らしい用事もないし。
この場に残ったのは……ラフレシアは離れられないとして、リディアとフェリス、フーフシャーさんとルイス将軍が残った。
んで、ラフレシアとルイス将軍が俺の後にいて、俺の触手を食ってた。
なんかの比喩じゃなくてそのままの意味で。
「生臭えけど、やっぱ歯応えがあってイケんな」
《不味くはない》
さすがに直で食べられるのは怖いから、食べたくなったらその都度切り離して食べてもらってた。
俺も俺自身のこと大概イカれてるなって思う時あるけど、この二人はそれ以上にぶっ飛んでるなって、そう思ったね。
ルイス将軍に関しては、寄生虫の心配をするのも野暮だと思う。一応、俺って集中すれば相手に俺の寄生虫がついてるか分かるけど(それでも都度誰かに感染してないか確かめてもらっているのは、見逃す可能性も考慮してるから)、ルイス将軍は食う端から、体内で寄生虫が消滅してるんだよね。
いわく「よく噛めば大丈夫だろ」とか言ってたけど、もはやそういう次元じゃなかった。
……なんか前に身体の中に入ったらやべえって言ってたけど、嘘偽りはなかったみたいだ。もし俺が誰かの体内に入り込まなければならない時には、ルイス将軍は候補から絶対に外すべきだってのが分かったね。
……んで、それを踏まえてラフレシアについて思ったんだけどさあ。
(そういえばなんやかんやと気にしてるヒマなかったけど、ラフレシアって俺の寄生虫、感染しないんだね)
今思えば寄生虫が腹とか突き破って『生命の神秘』! とかならなくて安心してるよ。
《今更だね。……私は有機物が体内に入ると、生物でいうところの消化をして魔力に変換するからね。それ以前にマスターと同調してるから、寄生虫が攻撃的にならないっていうのもあるけど》
ふーん。危険なことはないってなら、それで良いんだけど。
んで、フーフシャーさんも俺の切り離された触手を持ってるけど、なんか言ってはいけないことしてる。――とりあえず結論から言うと、俺の体液を体内に入れても俺には――アンデッドにはなれないっぽい。俺自身の種となるものがないんだってよ。普通のゾンビも増えるのにスキルに依存してるところがあるから、仮にそっちとなんやかんやしても意味ないかもってさ。
でも、それを知りつつも、めげずになんやかんやしてらっしゃいます。……それにもしかしたらもあるかもだから『本番』もやってみたいとは言ってたけど、ラフレシアにストップかけられた。……それに俺としてもあんまり、ってな感じだ。だって感覚ないと空しいことになりかねないからな。悲しいことにフーフシャーさんの能力は俺には一切効果がなかったんだ。でもアンデッドにもなれるかもしれないし、そうだったら面白そうだからなあ。
機会があったら、寝てもらうのも良いかもしれんけど……。……うーん、ラフレシアと気まずくなるのは避けたいからなあ、なんとも言えない。
でも、えっちいことに興味はあるからなー。B級ホラー映画とかでの雑なエロは大事だと思う派だもの。
……敵に陽キャカップルがいて、湖のキャンプ場とか山奥に泊まりに行ってなんやかんやしないかなー。一部始終覗いた後に倒すのに。
まあいいや。フーフシャーさんには、やっぱり寄生虫の効果が及ばないみたい。ルイス将軍とはまた違う形で無効化&吸収してるっぽいな。
うーむ、効かないのはあくまで寄生虫だけかな? だとするともし仮にフーフシャーさんと戦ったら有利に立てるのかな? ……でも、王種だからなあ。何気に膂力もあるし、やっぱり一筋縄ではいかないだろう。隠し球もいくつかあるかもだし、争わないことに越したことはないな。
フェリスは俺の身体をつぶさに観察していた。剥ぎ取り用の分厚いナイフで外骨格部分をコツコツしたり、触手をブニブニしたりしていた。俺の顔部分――鹿っぽい頭蓋骨も気になってたみたいで、それをパカパカしていた(その下はまん丸い口があって、すぼまってた。牙はなくなってたよ。完全なワームの出入り口と化したようだ)。
ああ、せっかくだし俺の身体を解体してもらった。自分でばらけることも出来るけど、今の身体での刃物の通り方とかも知りたかったし。で、色々と分かったんだけど……俺の脳味噌だけど、かなり小っちゃくなってたよ。拳一つ分くらいの大きさになってた。あと、頭にじゃなくて胸の辺りに移っていた。んでもって、丸い骨っぽいものに覆われてたんだ。いくつか穴が開いていて、そこから神経になるのかな? そんな感じの触手が伸びてた(上手くすれば脳だけで自律行動も出来るかも)。
内臓も、ほぼ退化していた。寄生虫が成長するための機構として最低限の内臓はあったんだけど、胃とか腸みたいな消化器官とかほぼなくなってたね。
ラフレシアが言うには、俺はエネルギーを得る際、『侵蝕』で全てを賄えてしまえるかららしい。
だから必要のない消化器官は全部なくして、他の機能――寄生虫サイクルの効率化や触手を増量したんじゃないかって言ってた。ちなみに肺とかも、もうなくなってた(心臓は残ってた。なんか動かなくても必要なんだってさ。法則系がなんちゃらって言ってた)。
それは進化じゃなくて、退化じゃね? って言ったら、いわく《退化もある意味進化だよ》って言ってた。効率を求めるなら、増設だけじゃなくて不必要なものを減らすことも大切らしいね。色々とキャパは限られているから、何かしら減らさんと段々と燃費だけが悪くなるようだし。
単細胞生物じゃない普通の生き物だったら、さすがに内臓を退化させるわけにはいけないけど、俺はアンデッドでそこら辺、なくなっても問題ないとのこと。だからこんな大胆な変化が起こったわけだ。
まー、身体とかについてはこんな感じか(ちなみに骨は筋肉内から全部なくなっていた)。
んでスキルについてだけど、詳しく知るべきなのは、『性質変化』『体色変化』『薬毒』『魔塊』『死線感知』『ソウルオブサーバー』だろうか。『魔力感知』は魔法とか覚える時に改めて訊こう。『呪言』と『鬼胎』は……もう説明受けたし、詳しい話は後ででも良いだろう。……まあ思うところはあるけど、……使い方によってはかなり使えるスキルかもしれないからな。
とりあえずリディアとラフレシアにざっくりと訊いてみたよ。
『性質変化』は自分の身体の性質を変化させることが出来るスキルだ。どんなものかっていうと、たとえば石とか木とかと同じになれる感じ。性質もほとんど同じになれたな。ただ、取り込んだりしっかり記憶したりして覚えたものじゃないと、再現度はあくまで『真似る』程度に留まるようだ。逆を言えば、ちゃんとすれば本物に近くなるらしいけど(その場合、肉体表面だけに変化を留めないと危険な場合があるとも言われた)。
『体色変化』は文字通りのスキルだな。身体の色を変えられることが出来る。……詳しく聞いた話だと、こういう変化系のスキルって外部の情報を取り入れることで多様性を増すらしい。つまり、今は単色だけだけど何かしらの手段で『色を取り入れる』ことで複雑な色を再現可能になるんだろう。
『薬毒』は統合スキルだな。麻酔も合わさったおかげだろう、毒にする以外にも『良い方』に性質を変えることが出来るようになったらしい。あとやっぱりこれも毒や薬を体内に取り入れることで再現することが出来るらしいよ(その場合、その材料が体内になければ、レジストで打ち消せてしまう『魔力での薬、または毒』になっちゃうらしいけど)。……幻覚、依存性がある薬とか無力化剤、VXガスとか非致死性または致死性の毒ガスみたいなものを作れるなら作ろうかな。まずキノコとか食いに行こう……。
『魔塊』は……なんだろう、これ。説明はされたけど、よく分かんなかった。……なんか大気中にある魔力をまとめて塊に出来るらしい。……だからってなんだって話なんだけど。リディアいわく、魔法を覚えれば使えるものになるかもしれないってさ。
『死線感知』はこれまた文字通りだな。死に関する事柄を感知して知覚することが出来るスキルみたい。さすがに試しようがないから、どんな感じに見えるか分からない。あと、自分だけが対象なのか、他人も対象なのかも不明。未来予知の限定版で、俺の知覚能力に結構依存したものらしいから、なんとも言えないっぽい。
『ソウルオブサーバー』は『死神ノ権能』に吸収されたスキルだな。これ、初め『魂感知』と『魂鑑定』とかとなんか似た能力じゃないっすかね、と思ってたんだけど……ラフレシアから《オーベロンやパックと同じ、魂内の記憶を読み取れるスキルだよ》って言われてから、評価がぐるりんと変わったね。
ただし、見て、スッと分かるほど万能ではないらしい。あくまでオーベロンさんやパックくんは魔力が『透明』であるから簡単に見通せるらしいけど、俺はそうではないからまずはレジストに打ち勝たんといけないようだな。あと、ゼロ距離じゃないと駄目っぽい。まー、積極的に使えるものではないけど、何かと使える便利なスキルだな。
さーて、今後の鍛える方向性についてだけど、まず優先的に魔法関連の力をつけていきたい。俺の一番の弱点であるから克服しなきゃいけないし、何よりも魔力を上手く操作できるようになれば、スキルのオンオフも出来るようになるらしい(肉体に依存していないものに限定されるらしいけど。オフにするとやばいものもあるっぽいし注意が必要だ)。
『呪言』……いや、この場合は『鬼胎』が原因なんだな。こいつをオフに出来れば普通に喋れるようになるってわけだ。
つっても、それは明日以降、ミアエルが起きてからの方が良いかもね。これ以上迂闊に変化し過ぎると置いて行かれた感が半端ないし、ミアエルにすねられる可能性がある。それに魔法に関してはミアエルが上手だし、リディアを先生にして一緒に勉強した方が良いだろう。
とりあえず今は、適当に動物に変身して王都内に入ることにしよう。
身体デカくなったけど、俺は肉体を削っても問題ないから、ちょうどいい大きさにして豚皮を纏うか。
あっ、その前にー。
(皆、見て見てー)
俺はすっくりと立ち上がり、ドカドカと空き地の端っこまで歩いて行く。んでもって、地面にある苔と倒木の表面を毟って食べ、ついでにじっくり見たり身体に張り付けたりする。
そして、再度横たわって……俺は筋肉を縮め、外骨格で全身を固めて、太く長い一本の円柱型の骨の塊になる。
一応、目玉をつけて自分の身体を観察しながら、『性質変化』&『体色変化』を発動。
すると俺の身体が苔に覆われた倒木に変化する。
……ディテールが少々甘いが、それなりに溶け込めてるだろう。変化の速度もまあまあ速い。
「……これはやべぇな」
ルイス将軍が俺に近寄ってきて、ぽすぽすと叩く。
「……感触も本物とほぼ一緒で……感知も、俺のスキルじゃ無理だな」
フェリスも近寄ってきて、表面をナイフで擦ってくる。
「変化速度も速いね。……多少臭いの違いがあるから、獣人にはバレやすいかもだけど」
ああ、そこら辺も対処していかないとな。ただ、臭いは俺自身鼻が利かないからどうしようもないところがあるんだけど。……『薬毒』でエッセンシャルオイル的なものを作れるかなあ。無理だったら一帯に鼻を利きにくくする何かを散布するべきだろう。
「……うーん、私ではもうアハリちゃんを見つけられないかなあ」
そう言うのはリディアだ。今のリディアでそうなら、アスカの『鳥籠』内部に入った場合、過去のリディアと戦うとしたら、まず俺を見つけられないと思っても良いかな。ただ、スキルがなければ魔法を使えば良いじゃない、ってことで探知系の魔法を使われる可能性も考えておく必要がある。
フーフシャーさんもなんやかんやをやめて、近寄ってくると俺の上に座る。
「なるほど、こうやって近寄って油断した相手を捕食するのね。……ドキドキ」
ドキドキじゃありませんよ。何もしませんよ。あんたを取り込んだら何されるか分かったもんじゃありませんもん。
「……! ドキドキ」
俺の上に痴女に続いてマゾが追加されましたー。
(……いや、待て、丸呑みは俺の性癖としてはありだから……?)
《色ボケてんじゃねえぞクソが》
はい、同居人から割とガチ目のお怒りを食らったので止めます。
はーい、ということで痴女とマゾはどいてくださーい。
「いやーん」
「あぁ……」
リディアとフーフシャーさんをどかしたら残念そうにされてしまった。生憎だけどうちの妖精ちゃんがそういうの嫌だって言うから仕方ないんですよ。
……うーむ、この変身能力は何気に有効だから、変身出来るモノを増やしていこう。練習すれば、精度も上がるだろうしね。
特に俺は、隠れる、逃げる、そんでもって奇襲するのが基本戦術だから、こういう力は伸ばして行くに限る。強くなってはいるけど、やっぱり俺より強い奴はまだまだいるから、そういう『ずるさ』は持っておくべきだと思う。
俺は元に戻って、肉体を落としてから豚皮を纏う(落とした部位はちゃんとリディアが大体潰してくれて、……ルイス将軍も『処理』してくれたよ)。
(うん、今んとこ、これが一番落ち着くな)
《それはそれでどうなんだろう》
ラフレシアが触手を食い終わったようで、俺の中に戻ってきた。
(何? 他になんかある? 人間以外で)
《一番良い候補を真っ先に潰さないでよ》
(その場合、今後、女の子の姿をメインにしていくつもりだけど、それでも良いなら。そっちの声を使った時、違和感なくしたいし)
俺自身の声は『鬼胎』で使えないのもあるけど、それ以外にも発声が濁っててあまりよろしくはないんだよね。緊急時を除いて、ラフレシアの声を使っていくのが理想的だろう。だから女の子になるのがベストなんだ。
《まあ、別に問題はないけど……》
お許しをいただいたので、女の子の身体のチューニングを今後していこうか。バリエーションはいくつかあるべきだよな。ミアエルと姉妹、もしくは親子に見えるバージョンとかリディアで同じような感じになるようにとか。個人で動く時のために、あんまり注目されない姿も欲しいかも。
「豚ちゃん以外なら、山羊ちゃんとかどう? 角あって強そうだし、……場合によっては、なんかアレできるし。本物なら私がなれるしねっ!」
フーフシャーさんがそう提案してくれる。それって俺が襲われるってことでは? あと、なれるってことは貴方まさか……いや、考えないようにしよう。
(アレはしませんけども、ヤギはなあ)
「駄目?」
(うーん、そもそも俺にヤギが務まるかどうか。……ヤギはガチものの不死身だし、色んな能力を使えないといけない。舌にあらゆる存在を絡め取ることが出来ないと……。それにこの世の全ての生物はヤギに帰結する以上、まだ俺は練度が足りない。あと逆立ち出来ないしなあ)
「山羊とは……?」
フーフシャーさんが困惑している。でも、ヤギってそんなもんなんですよ。
《マスターの言う山羊はよく分かんないけど、羊とかは? 今なら毛も再現出来るんじゃない? 大きさもちょうどよさそう。……町とか普通に歩くのには違和感あるだろうけど》
ラフレシアがそう言ってくれるけど、俺は、うーんと頭を捻る。
(良いかもね。……けど、羊もなあ。……羊になったら、俺はあることをしなきゃならない使命があるんだ)
《なにそれ》
(ちょい下ネタだけど良い?)
《……駄目だけど……多少気になるし、どぎついのでなければ良いよ》
(どうも。まあ、大丈夫かなあ。…………んとねー俺は羊になったら、……おちんちんを食い千切らなければならないのだ)
《えぇ……》
ちょっと怒られるかと思ってビクビクしてたけど、ラフレシアは困惑の方が大っきかったみたい。……だろうね。自分で言っててあれだもん。意味分かんないもん。
《何故だ……。予想よりも意味分からなくて、何故だ、っていう言葉しか出てこないんだけど》
(いやさ、ブラックシープっていう映画があるんだけどね?)
《……ゾンビ映画?》
(分類上はそうかも。……いや、モンスターパニック寄りかも、どっちかっていうと)
特殊な肉食の羊が他の羊に噛みついたことで、どんどんと肉食羊が増えていって人々を食い散らかすパニック映画となっている。人にも感染するけど、ゾンビになるのとは少々毛色が違うんだよな。
(それでとある場面で、こう、がぶってしてびよーんてして、ぶちってしてるシーンが印象的でさあ。印象に残った以上、再現しなきゃなあって使命感があるんだよ)
《その使命感はゴミ箱に投げ捨てた方が良いと思うよ。ところでその映画って面白いの?》
そう問われ、俺はふいっと視線を別所に向ける。
(……。……俺は好きよ?)
《そっか……》
追求してくれない優しさを感じた。……個人的には好きでも、他人に勧められないものってあるよね。まあ、うん、つまりそういうことだ。
「防御力とか色々無視すれば、小動物とか良いかもねえ。ウサギとか」
(場合によってはありかもね。……まあ、怖いからやらないけど)
小っちゃい動物も、俺の脳が小型化したことでやろうと思えば出来ないことではなくなった。ただ、今の俺では小さくなればなるほど、やっぱり耐久面での不安があるからどうしても、進んでなることは出来ない。……ただ、肉が足りなくなったりなどの緊急時の変化先として練習しておくのは良いかもしれない。
あとウサギになるなら、一撃で相手の首を落とせるようにはならないとな。
(今んとこは、豚に落ち着くんだけどな)
《やっぱりそうなる?》
そうなるんですよー。
豚なら町中をうろついても不思議ではない。……そんなに多くはないけど、たまにいるんだよ、町中に豚が。あと犬と違って割と凶暴と認識されてるっぽいから、蹴られるなんかの暴力を振るわれにくいっていうのもある。
豚はサイコーだぜー。
「でもミアエルちゃんのところに行くなら、人になってね」
(うっす)
リディアに笑顔でそう言われて、俺は素直に頷くのであった。
次回更新は未定。




