過労死よりはマシ
どうも俺は死んでしまうらしい。
あ、俺の名前は木崎浩太ブラック企業に勤める旅行が趣味の29歳さ。
そんなブラック企業からせっかく勝ち取った三連休に趣味の旅行と洒落込んだのだが観光先の神社で落雷に巻き込まれるとはついてない。
もしかすると上司の怒りが起こした雷だろうか、血も涙もない悪魔だと常々思っていたがさすがに人間をやめていた思ってなかったな…
そんな事を思いながらぼんやりとまだ見えている景色を眺めると、巨大な木が炎に包まれていた。
「確か…、樹齢千年くらいの御神木だっけ?」
俺の落雷に巻き込まれたなら大変な観光資源の損失だな、なんて申し訳ない事を。
最後にそう思いながら意識は段々と薄れていった。
『どうも神様です。あのー、聞こえます?』
『ちょっと死んだくらいで仕事はお休みになったりしませんよ?』
その言葉に一瞬で意識は覚醒する。
「死んでもこき使うとかどんなブラック?!」
すると、目の前には眩しくてよく見えないが人型の光があった。
『貴方の場合はまだご両親が存命ですので賽の河原で石積んだりするアットホームな仕事などもありますが…』
「いえ、結構です」
即答である、アットホームなどと言う言葉に騙されてはいけない。
『お茶目なジョークですよ。貴方は不幸にも落雷に巻き込まれてしまったので特別に異世界の転生先をご案内しようと思いましてこちらに招いたのです』
『あの雷は御神木を異世界に送るために落としたもので、本来は人間に当たっても傷一つ付かないはずだったのですが何故か貴方に吸い込まれるように落ちて行ったのです』
上司の怒りは神を超えたらしい。
『本来貴方は42歳で過労死する予定でした。今回は巻き込んでしまって本当にすいません』
「そうですか、過労死…。」
どうも予定では会社の歯車として哀れな最期を迎えるようだ。
『ま、まぁ大丈夫ですよ。次の世界ではチート満載のイケメンさんに転生させちゃいますから』
「切実に次はいい人生送れるようによろしくお願いします…」
『任せておいてください。次に目覚めた時には素晴らしい人生が待ってますから!』
すると、また意識がゆっくりと薄れていく。
『あれ?順番逆になってる?』
何やら不穏な言葉が聞こえたがもうどうすることも彼には出来なかった。