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#03.マーサ(お手伝いさん)視点

今回は奥様のお手伝いさんのその後です。

奥さまが亡くなって2年が経ちました。

私、マーサは今もこの家にいます。


2年前、奥さまがお亡くなりになり、猫のティガーもいなくなりました。

亡くなった当初は奥さまをずっと探していました。

テラスのベンチ、暖炉のソファ、寝室のベッド、家中くまなく。

奥さまを探してました。まるでおばあちゃんどこ〜って呼びかけてる様です。

もちろん返事はありません。


葬儀は貴族さまと奥さまのご兄弟がお話をされてご実家での埋葬となりました。

ティガーは奥さまが、生前手配されてました公爵さまのお屋敷に引き取られました。

しばらくは公爵さまの所で過ごすそうです。


連れて行かれる時の奥さまを呼ぶ声は今も耳に残ってます。


身寄りのない私は当初は領地に戻り貯めていたお給金で畑でもしようかなと思っていましたが、

奥さまは、道を作っていただいてました。

この家の近くに土地を用意して更に小さいですが家も用意していただいてました。

しかも働かなくても過ごせるだけのお金も。

更に良ければお墓も一緒にどうかとの申し出です。

『あなたは妹も同然、良かったら又面倒見てね』って言ってましたよ

遺言と併せて聞いた時は、用意周到な奥さまの笑顔が浮かびます。

そういえばサプライズでびっくりさせるのお好きでしたね。


そうそう、家とお金もいただきましたが、もう1つの道も。

ご実家で、この家をそのまま使うつもりだそうで、働けるうちは働いてくれかないかとの申し出です。


老い先短いと思いますがお世話になりましょうか。

奥さまとあれこれ相談して作った家です。

一緒に選んだ家具もあります。

奥さまとの思い出が一杯です。

精一杯お世話させていただきましょう。

ティガーも居ればと思いますが、新しい家族と幸せに過ごす事でしょう。

一緒に庭を走れたらね〜て仰ってましたから。

優しい元気なお子さんのいるお宅に行けてればよろしいんですが。

あの人見知りが少し心配です。


その後、ご兄弟のお孫さまも偶にいらっしゃいます。

寝室を覗いては「おばあちゃん、いないね」って呟いてました。

優しいお方でしたから、皆に慕われていましたね。




あれから2年、奥さまの弟さまがこの家に移られるそうです。

そのまま働いて欲しいとの申し出です。

ですが、私ももうそろそろ隠居させていただくつもりでした。

奥さまに頂いたお宅に移ることにします。

近所ですので人手が必要な時はいつでもお呼び下さいませ。






今日が最後の日です。荷物も全て移しました。

明日には新しい使用人が入ります。

引き継ぎも済ませました。

記念に奥さま愛用の茶器のセットをいただきました。

これで奥さまとの最後のお茶会としましょうか。


お茶を用意して想い出話を思い返していますと、

呼び鈴が鳴りました。


あら、お客様なんて珍しい。


庭先に見慣れぬ紋章の馬車が止まってます。





そして玄関には小さなお客様がお見えでした。




「突然すいません、私エイミ・ノースランドと言います」

健康そうな小さなレディとその横に





















ミャウ!





2年ぶりに見たティガーがお座りしていました。



奥さま.......またいたずらしましたね。

この家で最後で最高のプレゼントです。


ありがとうございます。奥さま









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