⑨あれが来る日
なんと先日ブクマを100件いただきました。
読んでくださる皆様、本当にありがとうございます。
そこでお礼を兼ねて急いで書きました。
エイミちゃん家も揃って登場です。
今後とも本家共々よろしくお願いします。
唐突だけど皆さんこんにちは、クロスケです。
今日は公爵家に緊張が走っております。
そうです、アレが来るんです。
どんなツテを使ったのか、いや、この世界にもいたんだアレ。
更にカミラ夫人はエイミちゃん一家も招待している。
あれが、お兄ちゃんにお父さんか。
お父さんはこの邸に来る前にお世話になったんだっけ。
俺はお父さんの足元に行ってテシテシと呼びかける。
アッこっち見た。『あの時はありがとよ』って一声かける。
うん、挨拶は大事だ。
そしてあわよくば連れて行ってもらおう。
帰りの馬車に再チャレンジしようかな。
もうそろそろの時間だということで、
玄関に向かいます。
アレを見るのは久しぶりだなぁ。
俺も上野のは一回だけ見に行ったことあるけど、人混みの後ろからチラッとしか見えなかった。
後、関西に高校の卒業旅行で行った時にも見たんだけど。
茶色い塊が木の上にいる。としか思えなかった。
いや本当に木の上で丸まって寝てたんで一回スルーしてました。
本当はシャチのショーを見たかったんだけど居なくなっていて、
悔しかったから千葉に行ってリベンジしたのも思い出です。
南紀はどっちかと言えば勝浦と那智の滝等の聖地巡りに燃えてました。
大好きなあのヒーローが二人揃って然も赤い手袋とブーツ姿を初披露。
叔父さんのコレクションで見た時何回も見直したんだ。
今思うとショボい設定もあるけどあの二人は最高だ。
言葉が話せればお兄ちゃんと熱く語れたろうなと思いながら見ていると、
お兄ちゃんと目が合った。
お兄ちゃんがエイミちゃんに小声で話しかける。
「エイミ、コレがクロスケ?」
「そう、クロスケちゃん!可愛いでしょ」
「なんか可愛い奴だな、次はコレにするのか」
「うーん、今はティガーで間に合ってるかな。それにこの子、ティガーが大好きみたいだから、ウチに来たら取られるかもって思っちゃうんだ」
「そうか三角関係か、モテモテだな!ティガーの奴」
そんな会話を聴いてオレ、地味にショックを受けてます。
「見ろよエイミ、こいつガ〜〜ンって顔してるぜ、もしかして言葉が分かるのかな?」
「わかるわけないよ、日本語なんだから」
「ハル、エイミ、小声でも外での日本語はやめなさい」
『お父さん、あんたもか!?もしかして家族全員なのか?』
そうこうしているうちに門から一行が入ってくる。
カバーのかかった荷車だ。
先頭に立っているのは何だか怪しい奴だった。
なんというか怪しい奴としか言いようがない。
男は、カラフルな帽子に黒い丸メガネ、鼻の下にヒゲ、
赤い服着て手を胸の前で合わせた袖で手を見せない。
女は赤いスリットの入った服にお団子頭。
お兄ちゃんから又日本語で声が漏れる「ミ○メイ人形かよ」
うん!俺も思った。
で、そんな俺たちを置いて執事さんと何か話していると。
こちら向き直り両手広げてこえを出す。
「さぁ皆様おたませしますた。我々が探しましたよ、遠いちがしの国でみつかました」
何だかわざと噛んだみたいな話し方だな。
「コレが神秘の魔獣。ハンパ、いやパンダあるよ!」
ばっと幕を取り去った先に見たものは。
白黒の
クマだった。
然も白黒の配色が逆だった。パンダの頭は黒じゃないよな。
俺は引いた。
エイミちゃん家も全員引いていた。
「アレはパンダじゃないね」
「子グマに色塗ってるみたい」
「顔つきが完全にクマだな」
「いや〜アレはないわ〜」
ノースランド家も皆さんざわざわしてるが、
公爵家使用人のlみなさんは
戸惑っていた。
何故なら正解を知らないから。
正解を知らないから、違和感を感じても間違いを指摘できないのだ。
彼等にしてみれば変な二色の獣でしかない。
カミラ夫人もやや引きつっている。
アレなら普通の子グマの方がかわいいだろうと思う。
あの怪しい奴も戸惑っている。
あいつは拍手でも貰えると思っていたのだろう。
女の方はうろたえてオロオロしている。
しばらく間を置いて。
ノースランド伯爵が動いた。
「あ〜、それは私が知っているパンダとは違うんだが」
「何を言うあるね!これはパンダある!お前が何を知っている!」
もめ始めだしたその時。
ピィーーーーーーッ
笛の音と共に、ハンターが!
いやGメン達が入ってきた。
「禁輸動物の違法取扱、密輸、密猟容疑で身柄を確保する!」
と告げられ、連れてかれてしまった。
その後、客間にて説明されたのは。
あいつらは、公爵家が珍しい動物に興味を持っているとの噂を聞いて一儲けを企んだらしい。
普段は見たことの無い動物に仕立て上げて、貴族に高値で売りつけている奴らで、貴族も面子があるので被害を申し出ないため取り締まりも難航していたそうだ。
それが、なんと今回はノースランド局長から事前に相談されていたらしい。
調べたところ、パンダは東の国に存在はしているが、、希少種の為国家で保護されているので、貴族程度では扱うのは無理で、本物であれば密輸であるが、エサの問題でおそらく偽物だろうと判断されて、事前に待機していたとのことだった。
今回持ち込まれたのは、外国どころか北部地域に住む、森林灰色熊の赤ん坊で、毛を染められていたものでした。
本来なら故郷の森に返すのだが、子供を攫われた親が近くの村で暴れたので、捕獲したのだがその際に怪我をさせてしまい。治癒の魔法をかけると体力回復の為か冬眠状態になったとの事で暫くは返せない状態になったらしい。
そこで、せっかくなので余裕のあった公爵家で預かる事になりました。
綺麗に洗われて元の色に戻った熊は可愛い黒仔クマでした。
なんでも大きくなるにつれて灰色になっていくらしい。
公爵家で面倒見た1週間、エイミちゃんが毎日来て庭で遊んでいる様子は、それは大きなぬいぐるみで遊んでいるみたいで愛らしく公爵家の人々を和ませてくれました。座ったエイミちゃんにもたれかかって哺乳瓶を持ってミルクを飲む姿は後日、実物大のヌイグルミが公爵家に来るほどに。
しかし、その間お留守番になったティガーが拗ねてしまってエイミちゃんは困ってしまったようです。
ご機嫌とりに忙しく、オレはますます置いてけぼりになってます。悲しい
嬉しさのテンションで仕上げましたので多少のアラがあると思います。
又見直しを行うと思いますが今回はこれにて。