9、千影強化計画 その2
俺達は外に出た。
「これから魔物と戦う、準備は大丈夫か?」
「大丈夫だよ」
「そういえば千影は何の武器を使うつもりなんだ?」
「私は短剣だよ」
「なるほど、千影には向いているかもな」
「何で?」
「千影は影魔法が使えるだろ、どんな感じに使おうと考えているんだ?」
「移動と相手を封じるぐらいしか使えないから微妙な感じ」
「俺の考えではかなり使えるぞ」
「そうかな?どこが使えるの?」
「先ずは戦闘に組み込むと多対一でも十分戦える、何本かクナイみたいな刺さる物を用意してそれを相手の影に投げて動きを止めて、止めた相手の影から出て来て首を切る、暗殺に向いている」
「次に俺の考えでは影を操って影を武器にする、影をトゲに変化させて相手を串刺しにしたり、影の中に相手を引きずり込んだり出来そうだ」
「それって人を殺す事に向いているって事だよね、私は人に武器を向けて殺すなんて出来ないよ…………」
「………ごめん、今はまだいい、だけどこの先必ず人を殺す時が来る、だから殺せるようになるまで千影を鍛えるからな」
「…………うん」
「暗い話しは終わり、今は影魔法の練習だ、戦闘で使えるように頑張れ」
「頑張る」
それから2時間ちょい練習してどうにか影渡りと影縛りを使いこなす事が出来るようになったけど動く魔物に成功するかは試してみないと分からない。
そう言えばさっき何本か投げる武器があれば戦いで使えるって言ってただろ、千影が使おうとしてた武器はサウザントダガーと言って何本もダガーを出現させる事が出来るし即座に消す事も出来る、投げたダガーを相手が使おうとしたら消して相手が使えなく出来るのでかなり使える短剣だ、短いが魔剣に分類されるらしい。
王城の宝物庫、様々だぜ♪
「そろそろ実際に戦ってみた方が早い、行くぞ」
「分かった、今行く」
俺達が歩いていると近くで魔物の気配がする、あまり強くない気配で魔力もあまり無いのでザコゴブリンだろう。
「あっちから魔物の気配がする、戦闘準備!」
「はい!」
千影は短剣を構え戦闘に備える。
俺達は魔物がいる方向に向かい近づいて行くとゴブリンが3匹何かを喋っている。
ギャウギャウ
ギャウ?
ギャギャウギャ!
何言ってるか分かんねーー
「気をつけて行って来い、1匹倒しても絶対気を抜くなよ、何が起こるか分からないんだから」
「気をつけるわね」
そう言いながら千影は緊張しながら影魔法を発動させる。
「影よ、敵を束縛せよ!影縛り!」
「影よ、道となれ!影渡り!」
2匹は座っているけど1匹は立っている、その立っているゴブリンの影にダガーを投げて動きを封じ、即座にそのゴブリンの影から出て来て首を切り裂く!
千影は首を切り裂くと少し動きが止まる、ダガーで切り裂く時の感触が生々しくて気持ち悪いのだろう。
だがその一瞬の隙にゴブリンは仲間が殺された事に気付き、すぐに立ち上がって千影に襲いかかった!
「きゃっ!」
千影が尻餅をついた。
そのおかげでどうにか紙一重でゴブリンの攻撃を避ける事に成功した………がっゴブリン達は続けて攻撃しようと動く。
「それは俺が許すない!」
俺は【覇気】を使い威圧するとゴブリン達は蛇に睨まれた蛙みたいに動きが止まった。
「千影!今の内に止めを刺せ!」
「っは!」
千影は我に帰りダガーで止めを刺す。
「はぁ、はぁ、はぁ」
「お疲れさま、初めてにしちゃよく出来たな」
「はぁ、はぁ、レベルも上がったみたい、このレベルアップの音、なんか聞いた事あるんだけど、DQのだよね?」
「多分そうだ、そこには触れないでおこう」
「でもこの音を聞いたら、現実感が………」
「ここはポジティブに行こう、聞いてる内にだんだん病み付きになってレベル上げしたくなるかもしれないだろ」
「まぁ……いいわ」
「魔物を殺したけど気分は大丈夫か?」
「血の匂いが気持ち悪いけど殺した時は思ったより何も感じなかったわ」
「|人の形に近くても魔物なら殺す事が出来るのか………最低でも魔物ぐらい殺せないと困るから良かったよ」
ゴブリンの死体を【メニュー】のストレージに収納し次の獲物を探す。
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あれから2時間くらい千影のレベル上げをした、もう夕方だ。
「レベル上げはそれくらいにして倒した魔物の解体をしようぜ」
「……うん、少し抵抗があるけど頑張る」
ストレージから魔物と解体用のナイフと魔物の解体の仕方が書いてある本を取り出した。
※ストレージの中では時間が経過しないので魔物は腐らないけどアイテムボックスは時間が経過する。
俺達は冒険の書を読みながら解体を進めた。
「なになに……………ここから、ここまで切って、ここをこうして」
「そこ違くない?ここから切るんじゃないかな?」
「ここか?、難しい」
売れる部分と食べられる部分に分けるのは慣れてないから大変だった、魔物は体の中に魔石があり、それも取り出した。
四苦八苦しながら解体していき、たまに血の匂いで魔物が現れるので千影に戦わせ経験値を稼がせる。
しばらく解体はやめよう、解体が下手な人はギルドで金を払えば解体もしてくれるみたいだし、冒険の書に書いてあった。
解体で3時間もかかったってしまった、何故時間が分かるかはスキル【メニュー】の画面右上の所に時間が表示されていたからだ。
「今日は疲れたな~、帰ろうぜ」
「私も疲れた、早く帰ろう!」
「湖で体を洗いに行くのも疲れるから帰ったら風呂場を作るからご飯の用意しててくれ」
「うん、楽しみにしてるね」
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帰ってから俺は風呂作りを始める。
さっさと終わらせよう。
俺はまず【生活魔法】の穴を掘る魔法で壁を掘り進んで行き、寝ている場所と同じくらいの広さに掘っていく。
地面も座ると肩が出るくらい掘り、火を出す【生活魔法】と水を出す【生活魔法】を応用してお湯を出し、温泉モドキを作った。
「ふぅ、マジで疲れた、このまま先に風呂に入ろう」
俺が風呂に入るため服を脱ごうとしてると………。
【生活魔法】と【空間魔法】を統合し超越します。
【魔神】に超越しました。
5回目の超越を確認しました、LUK以外のステータスに80000のボーナスが追加されます。
まさか生活魔法を使っている内に超越するなんて予想外だ。
スキルの効果は。
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【魔神】
このスキルを持つ者は無限の魔力を手に入れ全ての魔法が使える。
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はいっチートスキル手に入りました♪
とにかく風呂に入ろう。
シャンプーやボディソープとかお風呂道具を【森羅万象】で創造し体を洗い、風呂に浸かる。
「あぁ~~気持ちいい~」
疲れた体にきく~。
気付いたら1時間くらい入って浸かっていたみたいだ。
風呂から上がり、風呂を温めなおした、そして体を拭き帰ろうと思ったらササっと隠れる影を見つけた。
【はぁ………何してるんだ、千影】
俺がそう言うと顔を赤くした千影が影から出た。
【ごめんなさい、ご飯が出来たから呼びに来たんだけどまさか深夜が風呂に入るとは思わなかったの】
【声をかけずに覗いていたのか?】
【そっそれはっ!………ごめん】
【まぁいいや、別に減るもんじゃないし、こっちこそごめん、先に風呂に入ってしまって】
【謝らないで、風呂を作るの大変だったでしょ、当然の権利だよ】
【じゃあ、ご飯を食べに部屋へ戻ろう、風呂はいつでも入っていいから】
【うん!ありがとう♪】
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俺達はご飯を食べ終わり、千影は風呂に俺は眠たいので千影に先に寝ることを伝えて寝た。
夜中、何故かごそごそ音がするのでうっすら目を開けると下着姿の千影が俺のベッドに入ろうとしている所だった。
【ななっなっ何入って来ようとしてるんだ!】
俺は慌てた。
【一緒に寝たいの、ダメ?】
【ベッド大きいから別にいいけど下着姿なのは何故?】
【何故かは、深夜も分かってるでしょ】
【待て、俺はそのつもりはない】
【何で?私じゃダメ?】
【ダメってゆうか俺の女になるには覚悟がいる、今のお前じゃ覚悟が足りないと思う】
【覚悟って、どんな覚悟が必要なの?】
【まずは俺の事について話す】
深夜は自分語りを始める。
「俺ってさ、他人に興味かないんだ、だから名前すら忘れる事もある、だから敵か味方かで俺は人を判断するから敵なら容赦しないし殺すし、敵なら人を殺しても俺は何も感じないと思う、いつかそんな俺を見たら千影は俺を怖がり離れる可能性もある」
「勝手に決めつけないで!」
「まだ分からないから決めつけてない、でも千影は俺の仲間って位置だから守るけど俺から離れて行っても俺は止めないよ、もし千影が俺の女だったら全てを敵に回しても絶対守るけど浮気したり俺を裏切れば俺の女であろうと何があってもと見捨てる、裏切り者は永遠に信用しないし興味もない」
「まだ私の事は様子見ってこと?」
「そうだな簡単に言えば独占欲が強いから一度でも自分の女にしたら死ぬほど大切にするけど裏切り敵になるならあっさり殺すって感じかな?」
千影の喉がゴクリッと鳴る。
「愛してる人が怖くなって自分から離れて行ったりしたら耐えられないから今は抱けないけど覚悟があるならいつでも来いよ」
「服を着るから一緒に寝ていい?」
「いいけど、何があろうと抱かないからな」
「うん、ありがとう」
俺達は一緒に寝た。