3、最初の仲間と腹黒王
話しかける為、その女に近づく。
「イジメから解放されたくないか?」
俺は耳元でそう囁いた。
「誰っ!」
その女は怪訝な表情で周りを見渡するが誰もいない、他の生徒はみんな、姫について行ったようだ。
「そういえば、魔法使ってたんだった」
急いで魔法を解除する。
解除して直ぐ俺の存在に気付いたようだ。
「貴方は確か睦月君?」
「そうだ、もう一度聞く、イジメから解放されたくないか?」
「解放されたいに決まってるじゃないっ!」
憎しみがこもった表情で叫ぶ。
「学校では誰も助けてくれない、異世界に召喚されてもクラスのみんなは見下した目で見てる、みんな死ねばいいのにっ!」
イジメが終わらない現実に絶望しているようだ。
「なら俺がお前を守ってやるよ」
「なっ!!」
俺の言葉に女は顔を赤くする。
「…………本当に?」
女はすがるような目で聞く。
「本当だ、守ってやる代わりに俺の命令は絶対に聞け、……先に言っとくが体が目当てじゃないからな」
絶対に聞けのあたりで女は顔を赤らめているから直ぐに否定したのに顔が赤いままだ。
多分、変な想像をしているのだろう。
「これが守れないならお前は必要ない」
女は「お前は必要ない」と言う、言葉に顔が青ざめている。
「絶対に守るから見捨てないで!」
すがるような目で必死に言う。
「お前が俺を裏切ったり命令を守る限り、俺はお前の味方だ」
女はその言葉を聞くと。
「絶対に裏切らないわ!」
即座に答えた。
別に俺は嘘は言ってないけどなんかチョロくないか?
「すまないが名前を教えてくれないか?」
気まずそうに聞くと
「私は名前を知ってたのに睦月君は知らないなんて………私なんて……」
自嘲しながら虚ろな目で呟く。
「私の名前は高梨 千影よ、千影って呼んで」
「じゃあ俺は深夜と呼んでくれ」
「分かったわ、深夜」
「よろしく、千影」
お互いの呼び名を決めた後、魔法をかけ直してクラスのみんなに紛れ込む。
「この魔法凄いわね、誰も私達に気付かないわ」
「いつでもこの城から出て行けるように早い段階で姿を消したから俺が居なくても気付かない」
「私にも使えるかしら?」
「可能性は0じゃないがすぐには多分無理だろう」
「そういう話はすべてが落ち着いてからだ、とにかくこの国の王の話を聞いてみよう」
俺達が話ながら歩いていると扉の左右に騎士がいる所に着いた、
姫様と生徒達がいる。
どうやらみんなに追い付いたみたいだ、姫様が騎士達と会話した後、騎士達が扉を開き、姫様達は先に進む。
扉の先は豪華な椅子に座っているオッサンとその近くには宰相だと思うオッサンがいる、姫様が進んでいる道の左右には近衛騎士達が並んでいた。
「王様、シルヴィアです、勇者様の方々をお連れしました」
「うむ、よくやった」
王は偉そうに言うと男子生徒は見ずに女生徒達を気持ち悪い顔で熱心に見ている。
「さて諸君、よく我が国に召喚された、ワシはこの国の王サイラス=アースガルド、魔王を倒すためにどうか力を貸して欲しい」
王は軽く頭下げた。
「任せて下さい」
光輝がクラスの代表して答える。
「部屋を用意してある、今日はゆっくり休むがいい、エスターク案内をせよ」
「御意、私は騎士団長の一人、エスタークと言う、ついてこい」
そう言うとクラスのみんなと騎士団長は謁見の間を出ていく。
だが俺達は出ない、だって面白い話しが聞けそうだからね♪。
「行ったか?」
「はい」
「使える奴らだといいですね」
「使えなくても使い道はある、女はワシ等の夜の楽しみに使えるし男は戦場に送ればいい、用意は出来ているな」
「どうにか人数分あるので大丈夫です」
「明日は隷属の腕輪を着けさせ奴隷にするのが楽しみじゃわい」
「そうですね」
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「もうここに用はない!さっそく逃げる為に宝物庫に行くぞ!」
「えっ!みんなに教えないの?」
「お前はお人好しだなぁ、イジメてた奴らを助ける必要性がどこにある、お前からしたら嬉しい出来事だろうが」
「そうだった、絶対苦しんでもらわないと」
「さっさと行くぞ」
「あっ!待ってよ~~」