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第四話〜接敵・前編〜

大村・宮本・佐伯の三人は南方方面軍(後のTSADA防衛主力軍)に配属されたばかりであった。


この時はまだ日中ともに宣戦布告はしてはいなかったものの両国に衝突の兆しが見え始めていた頃だった。


そしてこの時の三人は同じ訓練基地出身ながらも別々に配置されていた。


アーチャー隊3番機・宮本恵理(一等空曹)F-15J(戦闘機)。


クロウ隊2番機・大村浩介(三等空尉)F/A-18 (戦闘攻撃機)。


アルバトロス隊4番機・佐伯隆二(一等空曹)F-2(支援戦闘機)。


このように分けられていた、そしてこの日三人は同じ空を飛んでいた。


三人の初めての任務は『TSADAにおける哨戒任務』であった、本来ならば1時間もあれば終わる任務であった・・・。


眼下に広がる青い海、そして目の前に広がる雲ひとつない快晴の蒼い空。とても感動的な物であった。


今日も何事もなく終わるのだろうな、と佐伯は全方位に目を向けながら思った。


相変わらず空には敵機どころかUFOも飛んでない、精々飛んでるのは海鳥程度だろう。


と無駄な事を考えていた時に突然緊急通信が入った。味方の通信からは『訓練か?こんな訓練あったか?』となどの声が上がっていた。


『こちらAWACS(早期警戒管制機)!!アーチャー・クロウ・アルバトロスの三隊に告ぐ!!所属不明の編隊がTSADAに接近!!幾度にも渡る呼びかけにも答えない、ただちに迎撃せよ!!繰り返す、ただちに迎撃せよ!!』


この言葉がすべての始まりであった、AWACSからの指示に従い彼らは直ちに接敵ポイントへと機首を向けた。


『こちらアルバトロス1、全機編隊を崩すな』


この任務の全体指揮官であるアルバトロス隊の隊長が全機に指示を出した。


もしかすると戦後初めての戦闘になるかもしれない、とその声は上ずっていた。


『アーチャー3、了解(ラジャー)


宮本がまだ上手く感覚が掴めない上に始めての経験に震える手で操縦桿を握って返答した。


『アルバトロス4、了解(ラジャー)


佐伯もこれから起こるであろう事に胸を躍らせながら返答した。


『クロウ2、了解(ラジャー)


大村は他の全員と違って冷静に返答した。怖くない訳は無いだがなぜか思考がクリアな状態である自分に驚いていた。


アーチャー・クロウ・アルバトロスの三隊、総勢12機の戦闘機が戦後初めての戦闘へと赴いた・・・。


10分ほど真っ直ぐ飛ぶと、AWACSからまた通信が入った。


『こちらAWACS、所属不明機の詳細が分かった・・・中国空軍Mig29(ファルクラム:戦闘機)にQ-5(強襲5:爆撃機)の編隊と判明。数は・・・対処できる数だろう、では健闘を祈る』


救いと言うか絶望と言うか、空軍に言わせれば『絶望的』であろう。


『対処できる数』と言うのは自軍より少し多い〜圧倒的多数と言うジンクスがあった。


『アルバトロス1より全機に告ぐ・・・戦え、そして生き延びろ・・・以上だ。予備燃料タンク投下(イジェクト)!!』


アルバトロス1より最後の通信が入り、先頭を飛んでいたF-2が機体下部に装着していた予備燃料タンクを切り離して戦闘体制に入った。


了解(ラジャー)、クロウ2投下(イジェクト)


大村が予備燃料タンク投下のスイッチを押し、全武装のロックを解除した。初めての戦闘なのに手馴れているのは普段の訓練のお陰であった。


了解(ラジャー)、アルバトロス4投下(イジェクト)


佐伯が深呼吸をして予備燃料タンク投下スイッチを押してロックを解除しながら答えた。


了解(ラジャー)、アーチャー3投下(イジェクト)


宮本が震える手で予備燃料タンクを投下してため息を付いた、そして深く息を吸ってロックを解除した。


もう後戻りはできない、と三人は思いながら操縦桿を握り締めた。


そして・・・ついに接敵した・・・。


『クソ・・・これ程とはな・・・空が狭い・・・』


アルバトロス1が目の前に広がる光景を呟いた・・・。

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