ソヴィトヴィーニア
私は不安だった
それも当然、いきなり父が死んだと病院から報告されて
親戚なんて知らない私は途方にくれていたのだ
そんな中、父の部屋を片付けてたら遺書が出てきた
遺書には、父が唯一信頼できる人物の名前と住所が書かれていた
その人を頼りなさい、という父の言葉を信じ私は日本に渡ると決意した
こっちで転校手続きを済ませ、余計な家具を捨てたり売ったりし
詳しいことは省くけど、とにかく色々してきた
だから少しこっちに来るのが遅くなってしまったのだ
家を綺麗にした後、自分の大きい荷物を先にこの住所の下へ届けるよう配達会社に頼む
勿論、勝手に送り届けることはしたくなかった
だけど、遺書を見つけすぐにその遺書に書いて有る電話番号に連絡しても通じなかった
恐らく電話線を切っているのだろう
そう信じるしかない
だから、こんな状態で行くのは不安しかない
勿論、ロシアに残ることも出来た
あと2年ぐらいすれば立派な成人だ
その2年間ぐらい一人暮らしでも構わないし、生きていけると思った
だけど、様々な事態を想定し、その事態に対処する方法を考えながら生きていけが父の教えだ
父の職業は危険でいっぱいだと聞いている
それが何なのかは結局教えてくれなかった
だけど、私に強くなる方法を幼少期から教えてくれた父だ
いや、教えてくれたというのは語弊がある
教え込まれたというのが適切か
心身ともに教え込まれた。24時間365日。
かといって、別に虐待していたわけでもない
すごく優しかった
それ故に強かった
そう、全てにおいて私の中では最強の存在だったのだ
そして、そんな父が死んだのだ
不安しかない
だけど、その不安を外では見せない
弱いところを見せたら浸けこまれる
だから決してこの不安と動揺を手振り素振りには出さなかった
私は強い。勿論父までとは言わないが同年代の中では別格だろうと父に言われた
学校では成績優秀、スポーツ万能、その上母親譲りの才色兼備
そんな存在だから嫉妬は絶えなかった
勿論いじめはあった
でも耐え抜いた
誰にも相談せず、自分自身の力で解決した
武力と知力を持って
大人の見えないところで色々と準備した後、クラス全員、いやもっと居たのかもしれない
まあつまりは私のことが嫌いな奴を色々と根回しして全員呼び出し、
薙ぎ倒した
心身ともに、私に二度と逆らえないように
ーーーーРебята трусливые импровизированный, цифра треском хорошо подобран!!
そう言い残し私は帰った
因みに14歳の時である
・・・まあ、その頃から少しだけだけど少年向けのアニメをチラッと見ていたからそんなセリフを言っちゃっただけだけど
今思い返すと恥ずかしい過ぎる
その日以来、いじめは無くなった
むしろ、何故かしらないが好かれる様になっていた
あれほど気味悪かったことは一度も無い
その経緯を父に報告したら、歓心した
後は自分で力で見つけ、自分の力で知りなさい、と言われ
翌日から、父は私に強さというものを教えなくなった
それ以来は何もかも自分でやるようになった
この出来事以降にも、色々と思い出深いことはしてきた
その経験もあり、私はいつからか一人で生きていける絶対的な自信が付いた
でも、そんな私にわざわざ遺書に日本に渡りなさいと書いた父だ
つまり、一人暮らしは危険だと
このロシアに居ては危険だということなのかもしれない
・・・・我ながら考えすぎだと思う
だが最悪の展開も想定して考えたその結果、私は日本に渡ることにした
日本には昔、長期滞在していたで日本語は大丈夫だった
空港に着き、駅員にこの住所はどこにあるのかを聞き、行き方をメモしてもらい
その地へ向かう
携帯があれば便利なのだが、不幸なことにあと約1ヶ月後にある誕生日に買ってもらう予定だったのだ
一人、住所だけを頼りに色々な交通手段を使い
そして何とか辿りついたのが此の家
でもこれで安心できる
これで落ち着くことができる
我ながら情けないけど、そう信じ、有川勝一という人物に会うために、頼るためにインターホンを鳴らす
だけどーーーー現実は非情であった
「勝一・・・祖父は先月他界しましたが」
さすがの私も、これには堪えた
その言葉が体中に響き渡る
その時私の中にあるのはたった一つ、不安というものしか無かった
唯一の頼りである人物すら他界していた
私は、また一人になるのか
私はこれから、どうすればいいのか
そんなことばかりを一瞬のうちに何度も考えた
だけど、彼は手を差し伸べてくれた
彼の様子から見るに、多分私は見ていられない状態だったのだろう
嫌そうな顔をしながらも、目を合わせずとも私の話を聞いてくれた
そして受け入れてくれた
だから、心苦しい
彼の優しさに甘えている
勿論甘えなければいけない状態だったのも確かだ
それでも情けないと思う
だから私は彼に恩を返したい
手始めに少しでも彼の手助けを出来たらいいなと思っている
そう思ってしまった
当初の目的を忘れるほどに
でも忘れてはいけない
何のために私がここに来たのかを
勿論父のこともあってやって来たのは間違いない
その父の遺書には他にも信じられないことが書いてあったのだ
実際、私が日本に渡ろうと思ったのもそれが書かれていたからが大きい
でも、今は頭の隅に置いておく事にする
これからの生活が楽しそうだから
面白そうだから
未知を味わいつくしたい
その未知を思う存分味わった後
その時・・・私は目的のために動こう
(・・・・今日は色々と、疲れたなぁ。あ、忘れないうちに風呂入ろう)
着替えとシャンプーにリンスなどを持ち、風呂場へ向かう
ヒロインの方が書きやすいことが分かった