有川家
母の帰宅後、ソヴィに此の家の設備について色々と説明した
キッチンやリビング、風呂場にトイレ
そして最後に
「ここがお前の部屋になるかな。すまないが空き部屋は一つしかない」
二階の奥の部屋、というより二階には二つしか部屋が無い
一つは俺の部屋、もう一つが空き部屋だったのでそこを使うことにしてもらう
「当たり障りが無ければこの部屋を利用してもらうことになるが」
「・・・うん、大丈夫だよ。いい部屋だと思う」
別段変わったところはないと思うが
「あと、悪いけど部屋に鍵はついてない。必要なら買ってくるけど」
「うんん、大丈夫」
男一人と共同生活、何か問題が起きないか不安じゃないのか?
それとも、男一人くらい撃退できる何らかの手段があるのか
深読みのしすぎか。まあそれは追々分かることだろう
「そうか。まだ荷物は届かないのか?」
「明日明後日ぐらいには・・・」
「わかった。なら押入れに有る布団を自由に使ってくれ。夜は寒いから・・・ってロシアに比べたらなんてことないか」
「そうだね。寒いのには耐性が有るほうだと思う」
さて、もう夜だし最低限の説明もしたから今日はこの辺りでいいか
「それじゃあ今日はもういい。1階にあるものは適当に使ってくれて構わない。ああ、それと・・・」
そうそう、これが俺にとって一番重要なこと
「隣が俺の部屋なんだけどさ・・・今来るとき見たと思うけど、引戸だったろ?」
「うん、それがどうかしたの?」
「・・・・勝手に部屋に入ったり覗いたりするなよ?」
少し脅すように言う
「し、しないよ!大丈夫大丈夫、その辺は信用して!」
予想外の質問だったのか、焦って返事をする
まだ会って半日も経ってないのに何を信用しろと
(・・・まあ今更どうこう言える話じゃないか)
「まあいい。他に聞きたいことが出来たら俺を呼ぶか、部屋をノックしてくれ」
「分かったよ。何から何までありがとう」
そういいながら微笑む
見てないから分からないけど
「ああ」
そういいながら部屋から出る
そしてすぐに隣の部屋、つまり俺の部屋に入る
(まあ、いずれはバレるんだろうなぁ)
俺の部屋を見られたくない理由
それはその部屋が二次元に染まっているからだ
部屋の壁はポスターとタペストリーでいっぱい
棚の中にはお気に入りのフィギュアが十数体
本棚はマンガと小説で隙間無く埋まっている
そして押入れに入らなくなった美少女ゲームの数々がダンボールの中にある
つまり俺は、所謂二次元オタクという部類にはいる人種である
しかし当の本人は自分のことをオタクだと思っていない
何故ならもっと凄い人を知っているからだ
その人こそ本物のオタクだと思うから、俺はオタクではないと自負している
安易に自分をオタクだという奴こそにわかだ
それはさておき
(結局バレるのなら、最初からこの部屋見せればよかったかな。でもな~)
まあその辺は自ずと考えることにしよう
(さてと、深夜アニメの時間まで動画みながらゲームするか・・・その前に風呂入ろう)
こうして有川湊は自身の生活に戻る
男の一人暮らしに美人の同級生がやってくるって?
そんなご都合主義、反吐が出る
テンプレ展開を嫌う主人公です