表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者のヒーロー  作者: 梅こぶ茶
Ⅱ.アルマ国
4/36

3.後宮と自己紹介

「ユイさま、朝です。ご起床願います」

「………………起きたけど…さま付けやめてくださいアヤさん。なんかキモイ」

「キモイとはなんですか。では、わたくしのこともアーヤとお呼びくださいユイさま」


短く呼ばれるのは好みではないらしい。でも年上を呼び捨てにはできないし、アーヤさんとはなんか語呂が悪くて呼びにくい。

この国には…というかこの世界では?かな?渡来人とは大分身分がいいらしい。さま付けをやめてもらえなかった。いや、これは彼女なりの嫌がらせかもしれない。私がしつこくさん付けするから。なかなか腹黒い人がわたしの専属メイドになったものだ。


わたしはベッドから身体を起こし、大きく背伸びをした。






わたし達の部屋は城内にある。もっと詳しく言えば後宮だったりする。

一応誤解がないように言っておくが側室にされているわけではない。

いま後宮はカラなのである。


いまの王様は亡くなった王妃様一筋だったので側室は置いておらず。子供ももう成人して後宮に住んでいないらしい。後宮って王族の家族が住むところだから警備の万全。

そんでわたし達は8人という大所帯。ちなみにみんな女の子。おれっ子や見かけ女か男かよくわからん奴もいるけどみんな女の子です。(大事なので2度言いました)ちょうど良いと後宮をお借りしているんですよ。わかった?


でもまぁ、ここはもともと王妃様お姫さまが住むところだから豪華なんですよね。全体的に。

部屋の家具とか調度品、装飾品とかも一級品って感じでピカピカしている。まぁ、一級品なんだろうけど。

部屋にある物は好き使って良いと言われてるけど……庶民には無理です。壊したら怖い。どう扱ったらいいかわかりません。豪華なものはそっとしておきます。はい。


で、なんでかメイドさんも1人づつ付いてます。わたしの場合はアヤさんね。わたしが居ない間に掃除とか整頓とかしてくれて、食事の用意もしてくれます。

王様のおかげでいたせり尽くせりです。なんか、かえってこわいです。あとで、無理な要求されそう。それは8人全員思っていることらしく、わたし達は戦々恐々して毎日暮らしている…そんな感じです。




着替え終わったのでお気に入りのベッドの上でごろごろしています。ベッドは所謂お姫様ベットといわれるものです。天蓋が垂れ下がってて布団はふわふわです。

わたしは寝ることが趣味といってもいいほど睡眠大好きなんで豪華なモノではあるけど使っております。


こんな豪華なベットこんなことでもないかぎり使えない!堪能してやれ!



ふわふわ、ごろごろ。



アヤさんが睨んでるけど気にしない…とか思ってたらなんか廊下が騒がしいな。

慌てまくった足音が聞こえてくる。廊下を走るなんてわたし達8人のうち誰かだと思うけど…誰だろう?


「ずみし!大変はやくきて!」

「んあ?どうしたの?!何かあったの?」


正解は『みーちゃん』でした。


わたし達の中で一番ちっちゃいのによく動く。ハムスターみたいな子だ。

みーちゃんが転がりこんできました。


「王子様とお姫様が来たぁ!!」


「・・・・・・・ええええぇ?!!」







この国の王族は3人。王様、王子様、お姫様。あと、南方隣の同じ連合国で同盟国のアジジェット帝国にお嫁入りした姉姫様がいらっしゃるそうだ。


「はじめまして異世界のお客人。わたしはイシュク・イスナーン・アミールと申します」

「わたくしはシャアラ・タラータ・ランリーズです。我々アルマ国すべての者が貴方達を歓迎いたしますわ」


後宮の談話室とでも言うのだろうか?剣道場ぐらいの広間に王子様とお姫様がいた。


絵本から抜け出てきたような王子様とお姫様だ。欧米人とアジア人が混じったようなそんな顔立ちに茶色の髪と灰色の目。王子様の方が赤みが強い茶色って感じかな。日本で見かける人工の色とは全然違う天然もの。二人でも美人さんである。


わたし達は二人に挨拶されただけで圧倒されていた。なんかオーラでてる気がする。さすが王族って感じ。茫然としていたが、相手に名乗らせておいて放置するのは失礼なことだ。

わたし達は慌てて自己紹介をした。


「はっはじめまして!弓道部主将の『諸隈もろくまりん』です!」


諸隈さんです。腰まであるこげ茶髪と黒眼。スレンダー美人さんです。天然なのか空まわっているのかよくわからないことが多いため扱いに注意です。彼女とは中学も同じ弓道部で高校も同じ部活になった原因の人です。


「同じく弓道部の『大村日登美おおむらひとみ』です。お世話になっております」


日登美ちゃんです。肩甲骨まであるこげ茶髪を二つくくりでこげ茶の眼。平均身長だけど胸は平均じゃない。みなのよき相談役なため情報通でもあります。高校1年も2年も同じクラスです。


「弓道部の『在原八千代ありはらやちよ』っす!礼儀とかよくわかんなくてすいません!よろしくおねがいしやっす!」


やっちです。ショートの黒髪黒眼。この中で一番背が高い。中性的な容姿と女子に紳士的に振る舞おうとするためモテる(女子に)。成績も優秀だったため先生方の評判がよく生徒会長候補だった。本人断ったみたいだけど。


「(……やっちテンパリすぎ)あ、えーと、『志水有唯しみずゆい』です。よろしくおねがいします」


わたしですよ。肩下ぐらいの黒髪を一つくくりで黒目。マイペースとよくいわれるし自分でも思う。天然も少し認めるが不思議ちゃんだけは認めない。


「『柳原美依子やなぎはらみいこ』です。保護して頂きありがとうございます。」


みーちゃんです。肩まである黒髪黒目。一番小っちゃいが一番の働き者。率先して一人で物事を片付けてしまう長女気質。わたしが一番甘やかしたい子。この子をかわいがるとみーちゃんの幼馴染である雪乃まで甘えてくるのでいじめてやるのが日課。


「ええっと剣道部主将『三矢江麗奈みつやえりな』です。歓迎して頂きありがとうございます」


みっつんです。ロングの黒髪黒眼のお嬢様。日登美ちゃんと幼馴染です。竹刀をふるう姿はかっこいいというより麗しい。一部女子にやっちとは別のモテ方をする。所謂お姉様ってやつだ。


「剣道部の『笠置雪乃かさおゆきの』です!なんか色々お世話して頂きありがとうございます!」


雪乃。肩ぐらいの黒髪黒眼。でこっぱちなのでよく額を叩きたくなる。オーバーアクションをとってくるのでいじりがいがある。いっておくが愛があるからいじめるのだよ。え?理不尽だ?


「え?おれが締め?あー、『宮崎みやさきゆず』です。よろしくお願いしまーす」


ゆずです。ショートのこげ茶髪と黒眼。不機嫌そうなのがデフォだが気にしちゃいけない。本当は照れ屋のいじっぱちなのだから。そんな性分だよね。


こんなに一気に自己紹介されてもわかんないだろうなーと思いながら挨拶した。王子様もお姫様も人のよさそうな優しい笑顔でにっこにこしながら聞いてくれていた。


「歳は近いですからもっと気楽に話して下さい」

「王族といってもこの国ではあまり関係ありませんから」


なんでも、身分は一応あるけどこのアルマ国は垣根が低いらしい。

王族は支配者というよりアイドル扱いに近いらしくとってもフレンドリーに接してるんだって。なんと親しみがもてる王族だろう。まぁ、王様からしてのんきそうだったしな。


このアルマ国に渡ってしまったのは不幸中の幸いなんだろ思う。

だって南隣は軍事主義だっていうし。姉姫様がお嫁入りしたのも連合国の軍事を司るアジジェット帝国との絆を強化するためだっていうし。政略結婚だ。

なんか怖いよね。ほんとよかったのんきなアルマ国で。


「わからないことがあったらわたくしたちに何でも尋ねてくださいね」


王子様はもとよりお姫様も政治にも関わってて大変多忙だとメイヤから聞いております。わざわざ自分のちっさな疑問にお姫様たちを尋ねに行く勇者はこの中にいないと思います。はい。

案の定、みんな日本人の特技・誤魔化しの愛想笑いをしてます。みんなの心中がわかったのでしょう。お姫様は口をへの字に曲げています。


「信じてませんね?よろしい!腹を割って話そうではありませんか!」


お姫様は音をたて荒々しく椅子に座りました。なんか梃子でも動きませんという雰囲気です。目も若干座っている感じがします。なんでそんなにムキになってるんでしょう。

王子様がお姫様を嗜めまずが、反対に睨み返しています。


「わたしは同じ年の渡来人の方がいらっしゃったと聞いてから、お会いできる日をずっと楽しみにしていたのです!絶対に友達になると決めてました!お兄様にも邪魔はさせません!というかお兄様邪魔です!女の園に男は不要です!王宮に帰ってください!」

「お前は兄に向って邪魔とはなんだ!ここはもう後宮ではなく渡来人方の宮だ!母上の称号である芙蓉宮と名前も改められている!オレが居たって咎められはしない!というかお前を置いて戻るのは甚だ不安だ!オレは残るぞ!」



・・・・なんだこの兄妹喧嘩は。


まだ「女の園といっただけで後宮とはいってません!」など「へ理屈ばかりいうな!だからお前だけだと不安になるんだ!」など。わたし達を置いて二人だけの世界です。

喧嘩するほどなんとやらですね。仲がいいんですね。

なんか遠い国の王子様お姫様とか思ってたけど意外と俗っぽくて親しみが持てそう。庶民のアイドルなだけあるな。


我に帰ったみっつんに仲裁され兄弟喧嘩はとりあえず終わったけどそのあとお姫様に質問攻めにされた。



自己紹介にあった弓道、剣道とは?とか

(竹でできた弓と竹刀という剣を使った健康のための運動だと言いきった)


同じ隊服ということは国に仕えていたのか?とか

(これは学生服で隊服ではない騎士ではない仕えてないと念押しした)



なんか変なフラグがたちそうな質問ばっかでへし折るのに苦労した。

お姫様は国の政治のどういうところに所属しているのだろうか。こわいこわい。うかつなことをいったら兵士にされそう。みんなも若干疲れた顔をしている。


ん?そこにひとりだけ違う顔をした人が…。


「どうしたの諸隈さんぼぉーとして」

「え?うん、イシュク王子かっこいいなって…」


え?ちょっとちょっと諸隈さん!いやなフラグを立てないでください!







改行減らして、少し言葉をつけ加えました。(2012/4/16)

みんなの容姿がなんとなくはっきりしてきたので付け加えました(2013/7/29)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ