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勇者のヒーロー  作者: 梅こぶ茶
Ⅰ.はじまり
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1.異世界にトリップしたようです。


勇者の剣を腰に下げ、めいっぱいの笑顔で宣言してくれました。



「オレは『ずみし』のように颯爽と弱い奴を助けてやるカッコイイヒーローになるのが目標だ!」





・・・・・・・いつ、わたしが颯爽と弱い人を助けた?

















扉を開けるとそこは異世界だった。



って、よくある小説のはじまりの言葉だと思う。

アニメの出だしでもよくある言葉で、二次創作でもよくある言葉だと思う。

まぁ、使い古された言葉だが、やっぱ、ご都合主義のため今日でもつかわれる。


わたしだって、いや、わたし達だってそんな言葉を使う日がくるとは考えてもいなかった。




わたし達は、弓道部5人、剣道3人というグループだ。

なぜ2つの部活動が混じっているのかというと幼馴染という繋ぎがいるため。

なので、部活が終わると早く終わった部の部室で取り留めとなく駄弁るのが日常。

ちなみに高2のため、後輩は強制的に帰らせることができる。

もちろん、顧問には内緒だ。顧問は部活が終わると、とっとと職員室に戻るので大丈夫。

部室棟は職員室のある校舎から離れて運動場側にあるためバレないのだ。


で、今日は弓道部の部室で小一時間程駄弁り、そろそろ帰るかと戸を開けた時だった。


カッと光で目暗ましをくらったと思ったら…。



そこはファンタジーの世界でした。






いやね、えっとわたし、そんなにファンタジーに詳しくないけどね?

好きな部類ではある。だって、現実逃避にもってこいだし、のめりこむと楽しいし。

でも、詳しくはない。大事だから2度言いました。

わたしのよろしくない頭の中では『異世界トリップ』っていう言葉が乱舞していた。



戸を開けて見た風景を説明いたしますと。


そこには髭で王冠かぶった王様らしき人が豪華な椅子に座り。

偉そうな感じの異国風コスプレっぽいの服を着た男の人たちが傍に並んでて。

天井には大きくてとってもきれいなシャンデリア?がある。

とってもとっても大きな広場だった。

だぶん、王の謁見の間ってやつだね、これ。略して王の間。


これだけだと、中世ぐらい昔の欧州にタイムスリップしたんじゃね?って思うかもしれない。でも、決定的に『異世界』といえる『モノ』がいたので、ココは『異世界』と断言できる。

ほら、いまもわたしの目の前を横切った。それは物語りに出てくる非現実的なモノ。


妖精。


なんか妖精がそこら中に飛んでた。






何が起きたかわからなくて茫然としていたわたし達は(まぁ、わたしは別の理由もあって茫然としていたんだけど)衛兵さんらしき人に捕らえられた。

ま、そうですよね。普通に不審人物ですよね?でも、床に押し付けることないじゃない!しかも膝を背中に乗っけられメチャクチャ痛い!女の子なのに物みたいな扱いには腹が立った。わたしたち何もしてないのに!


むかっ腹立てていたところ、じゃない、連行されそうになったところ、王様が助けてくれました。なんでも、この世界には『渡来人』といわれる異世界人がたびたび世界を渡って来るらしい。

渡来人と言われ一瞬、歴史の教科書を思い出したのはわたしだけではないはず。しかし、歴史に出てくる渡来人という単語はここでは違う意味を持つらしい。知識や戦力、技術ともにこの世界に多大なる功績を残す偉人としてもてなされる。 で、わたしたちもその渡来人ではないかって。


いや、そんなご都合主義な。


確かに日本にも昔から神隠しとかあったけど…そんな異世界にトリップしてたなんて。とりあえず、功績を残してくれた先人に感謝を!

しかも、渡来人を拾った人が面倒をみる規則があるらしく、わたし達は王様が後見人となった。衛兵ざまぁ!そして、王様のはからいで、お城に住むことになりました。


なんて異世界万歳展開!




「まぁ、そういうことで異世界トリップ&お城住まいになったわけですが」

「いやいや、そう軽い話じゃないでしょ?!家に帰れないのよ?!」


『諸隈さん』に怒られました。


そうなんです。諸隈さんのいうとおり、王様に異世界トリップ現象は自然災害のようなもので、元の世界に戻すことはできないと言われてしまった。それからわたし達はずっとパニックです。

いまは急遽あてがわれた弓道部主将である諸隈りんの部屋にみな集まって会議してます。


「帰る術がないって言ってたけど隠してるだけかも…わたし達で探すべきよね?」


怒られたので黙ったわたしのかわりに『みっつん』が諸隈さんの相手を引き継いてくれました。


「そんな不審なことしてたら今度こそ捕まるかも…それか城を追い出されるかもしれないよ?」

「ちょっと!みっつんは帰りたくないの?!」

「帰りたいに決まってるでしょ?!でも、庇護者を失くして何も知らない世界に放り出されるのも嫌じゃない!」

「大丈夫よ!8人もいるんだもん!わたし達だけでもなんとかなるわよ!」


なんとかなるなんて何を根拠に言ってるんでしょうね。

みんな諸隈さんを白い目で見てます。パニックになりすぎでしょ?


この中では一番付き合いが長いわたしが言うべきだよな…。

というか、この中でずばっと遠慮なく言えるのはわたししかいない。

溜息をついた私が諸隈さんを嗜めました。


「いやいや、さすがに無茶でしょ?それはしばらくここでお世話になってこの世界の常識を学んでからでいいじゃない?」

「そうそう、『ずみやん』の言うとおりやよ?落ち着いてからの方がええって」


『日登美ちゃん』がわたしの言葉に同意してくれた。

諸隈さんは日登美ちゃんに多大なる信頼を寄せているので不満の顔を浮かべつつとりあえず頷いてくれた。


何?この差は?わたしの扱いひどいよね。


「オレはちょっと楽しみやけどなぁ、この世界。魔法とか冒険とかあるんだろ?」


『やっち』が空気を読まずちょっとわくわくしながら話し出した。

空気を読まなかったのはわざとかも。張り詰めていた空気が緩んだ。


「もう、ホント、やっちったら不謹慎やなぁ。やっちらしいけど」

「やっちやしね」

「ひでぇ!」


でも、確かに魔法があるのはわくわくする。夢と幻想の世界、つまり本やゲーム、アニメの中にしかなかったモノがこの世界には現実にあるそうだ。しばらくここにいるのならわたしも使えるようになりたい。だが、冒険は却下だ。危ないし、めんどくさい。


まぁ、魔法はともかく、わたしの当面の問題は、これですよね?


「あのさぁ……みんなは『これ』見えてる?」


わたしは勇気を振り絞ってさっきからわたしの袖口をひっぱっている妖精を指差した。


「はぁ?これって何?」

「何も見えんけど?」

「一体、ずみしの目には何が見えてるの?大丈夫?」


みんなには妖精さんは見えないらしい。やっぱりな。

だって、さっきからそこらへん飛び回ってる非現実的なモノに誰も何も言わない。


わたしにだけ見えてるらしい。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。








よし!わたしも見えなかったことにしよう!




「ううん!勘違いみたい!」








こんな適当な感じの小説です。よろしくお願いします。

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