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2. 足掻いて沈む。
過去の流れに翻弄される。
苦しい。悲しい。恨めしい。そして悔しい。
そう、私は悔しいんだ。
生きたいんだよ。
まだ。
まだ。
まだ死ねない。まだ生きたい。
だから足掻く。しかし重い水たちがこの身を飲み込む。それはまるで腹を空かせた獣のように。
もっと、もっと、もっと、と。
私の手はどこ。私の足はどこ。息が吸えない。前が見えない。
容赦ない水の中。
過去は離れない。過去は飲み込む。この過去は私自身。
すでに感覚のなくなった手足を動かし、息を吸う。
何度も何度も生きるために。
溺れた私は生きたかった。死にたくなかった。
だから私は最後まで、
足掻いて沈む。




