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1. 助けは来ない。
これは溺れて、見つけてもらえるまでをうたった詩――。
過去の流れに入ってはいけない。見てはいけない。その流れには、荒い水しか残されていないから。
優しい流れは荒い水に飲まれ、何度でもその身を飲み込む。だから、のぞき込んではいけない。簡単に引きずれ込まれてしまうから。
その濁流につかまらないように、見てはいけない。
あの苦しみ、
痛みが、
再びこの身をしめつける。
再び苦痛がやってくる。
いたくて。
いたくて。
いたくて。
手も、足も、目も、耳も。
この四肢と、脳髄と、胸の重みが、この身を沈める。まとわりついた水は離れない。息はできない。
寒さに震え、足はつり、意識は薄れる。
見てはいけない。
助けは、来ない。




