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::海と月::

「んにゃ、あいつの名前はミツキだ。海の月って書いてな。」


くく、と

山城は朱実の心の内を知ってか知らずか

意味ありげにニヒルな笑いを浮かばせる。


朱実は反論しようかと

刹那逡巡し、やめた。


「ふうん。ミツキ、ミツキね。」


咀嚼するように蓮井の名を

口の中で小さく転がす。


海の月、それはミツキとも確かに読めるがクラゲの漢字表記でもある。


「だからクラゲ。な?」


「…その呼び方は…やめてください。」




声に反応して顔をあげると、指示されたものを大きめのおぼんに乗せていつの間にか名前の主は帰ってきていた。


流石というか仕事が早い。




「ん、さんきゅ。







くく…てめえは口答えさえしなきゃあ

仕事はええんだがなあ」


す、と礼を言うと共に

蓮井の持ってきた栗饅頭に手を伸ばす。



「…いえ…」


「…蓮井さん、と呼べばいい?」


「はあ!?」



朱実の提案に蓮井は明らかな懸念の表情を見せる。

どうやらこの数時間の間に

朱実は蓮井にとって嫌いな人物として認識されたようだった。




「何よ、そんなに嫌?」


「…俺に話しかけんな」


「非道いわね。私、されはしたけど

貴方に何かした覚えはないわ」


「俺ぁ女が嫌いなんだよ!

特に手前みてえな分をわきまえねえ香水くせえ女がな!!」



「おい、やめとけ」



栗饅頭の乗った皿は既に空だった。

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