表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/9

::犬とオフィス::

「山城さんっ…!!

どういうつもりっすか!!」



相変わらずキャンキャンと

犬のように蓮井は煩く吠える。

山城はそんな蓮井を一切無視した。



「おら、朱実。

服。」


「あ、ありがと…う」



女、朱実は決意の夜

その後山城の連れ添いで、彼の率いる

少年組のオフィスに向かった。


山城は関東を牛耳る大規模な暴力団の幹部であり、その中の未成年が集まった

少年組の組長代理を勤めている。




人望は厚く将来も固い

若きリーダーは少年達の憧れるものであった。



そんな山城が回収の帰り

何故か嫌みなほど美人な女を連れて戻ったのだ。

瞬く間にオフィス中に話は広まった。




「くく……ガキどもはアンタに興味津々な様だ。騒がしいったらありゃしねえ。」






「……」




山城の軽口を朱実は黙殺した。

そんな朱実に何が可笑しいのかニヤニヤと笑いかけ、山城は蓮井の方をみた。



「おい、クラゲ。珈琲と栗饅頭、あとパピコ持って来い。」


「……山さん…」



「ん?なんだよ、聞こえなかったか?

仕方ねえなもう一回言ってやる、珈琲と…」



「山城さんっ…!!」


耐えきれなくなったように叫んだ蓮井に

山城は笑みを消した。


「……お前を拾ってきた時言ったはずだ。

話は最後まで聞け。遮るな。命令には従順でいろ。」


「…っ」


「分かったか?

珈琲と栗饅頭とパピコだ。」



にこ、と再び笑みを浮かべ無邪気に蓮井に指示を出した。



「……はい」



諦めたように

恐怖を抑え込むように

蓮井は引いた。



一部始終を黙って見ていた朱実は

山城という人間をただのヤクザとは思えなかった。

只ならぬ殺気を放ったり

かと思えば急に無垢な子供のように笑う

この男は一体何なのか。




「……クラゲ…」


「うん?」


「彼、クラゲって…名前なのね。」



だが、聡い彼女は

その問いを言の葉に紡ぐことはしなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ