表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/9

::路地裏と女::

※暴力描写含みます

ごっ





虚しく響く

拳骨が頬骨にめり込む音。





低い醜い音。






突き上げた拳には

鈍い痛みが走る。






暴力。






「山さん、やっぱ強ぇっすね!」


男は子犬みてえに

きゃんきゃん騒ぐ。


「うるせえよ。おら、女逃げんぞ。」



「あっ!!」




泣きながら女は路地から

煌びやかな

通りへ逃げていこうとしていた。

それを山城の手下である

蓮井は噛みつくように引きずり戻す。




「いやぁっ…!!許してぇ!!」




鼻水と涙でぐずぐずに濡れた

汚い顔で命乞いする

真っ赤なドレスの女。


ドレスに負けぬ程の真っ赤な

口から零れる泣き声は訊くに耐えぬものである。


「黙れよ。」




ひくっ

低声で山城が脅せば

女は簡単に黙った。




アスファルトに座り込む女と

目線を合わせる為

山城はゆっくりしゃがみ込む。





「なあ、あんた。

俺とちょいと大事な話しようぜ。

あんたの命と人生に関わる、だあいじな話だ。

黙って訊けるな?」





明らかに怯える女に対し

山城は先程とは異なる柔和な

口調で話しかけた。



しかし、ぴくりとも笑わぬ山城の表情に

恐怖するように

女は相変わらず怯えたままで

こくこくと激しく頭を上下に振るしかできない。




そのことを知ってか知らずか

山城は

女の素直なその様に一人頷き

唇の端を緩めた。






「よぅし、いい子だ。」





刹那

ふ、と山城から先程までの

殺気が消えた。



ぴりぴりと張り詰めていた

空気が

一気に優しくなる。



その変化は異常すぎて

蓮井も女も

同時に山城に言い知れぬ恐怖を覚えるのだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ