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悪女として処刑された私、猫に転生したので破滅フラグを回避します  作者: ゆずこしょう
時渡り。

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エーデルワイスの冒険。

「さて、今日はどこに行くかにゃ」


フランチェスカの授業中は近くにいても仕方がないと思い、外で情報集めをすることにした。


猫の姿になってみると、人とは違い色々なところに潜り込みやすく、とても助かる。


そして誰も、猫だから警戒しない。


聞こえていないと思って、色々なことを話してくれるのだ。


貴族院の塀にのぼって歩いていると、声が聞こえてきた。


「ダリア……カルミアには近づいちゃダメって言ったじゃない……」


「で、でも……向こうから仲良くしようって……」


「とりあえず、これからは近づかないで!」


「な、なんで? フィオーレにそこまで言われなきゃいけないの!? 私が……だ、誰と仲良くしようが自由じゃない! もう……放っておいて!」


そう言うと、ダリアという子は一人で校内に戻っていった。


その後ろ姿を見ながら、フィオーレは「これ以上どうしろって言うのよ……」と小さな声で呟いた。


見たところ、二人は気の知れた仲のように見える。


幼馴染とかだろうか……。


ダリアという子はカルミアと友人になり、仲良くなったようだけど、


置いていかれたフィオーレは、カルミアのことを何か知っているみたいで、あまり近づかないでほしいという様子だった。


私はフィオーレの様子を見ようと、塀から飛び降りて草の中を進む。


気をつけていたのに、草がカサリと鳴った。


「だ、だ、誰?」


フィオーレがこちらを見るので、仕方なく、


「にゃぁー!」


と言って、その子の足に擦り寄った。


「な、なんだぁ……びっくりした……あなただったのね……」


私を抱き抱えると、近くにあったベンチに座る。


なぁぁ(どうしたにゃ)


首の下あたりを撫でられると、外の天気の良さも相まって、まぶたが落ちそうになる……。


「ゴロゴロ……|にゃぁぁぁぁぁ《やめるにゃ。眠くなるにゃ》」


それにしても、すごく気持ちのいい手だ。


フランチェスカに撫でられるより、よっぽど気持ちが良い。


うつらうつらしてくると、今度は私の可愛いお腹に鼻をくっつけて吸い出した。


「ふふ。気持ちいいでしょ? 私の家で飼っている子も骨抜きになっちゃうのよ」


「|にゃぁぁぁ《いいかげんにやめるにゃぁ!》」


大きな欠伸をしながら訴えると、やっと伝わったのか、フィオーレがポツポツと話し出す。


「本当はね、私だってあんな言い方したくないのよ……」


ダリアという子が楽しそうにしているのは、フィオーレとしても嬉しいらしく、


できれば友人を増やしてほしいと思っているそうだ。


「私、貴族院を卒業したらこの国を離れるのよ。だから、ダリアと一緒にいることはできないの」


なるほど……。


ダリアはもしかしたら、私と似たように大人しい性格なのかもしれない。


だから親しい友人を作ってほしかったのだろう。


でも、その相手がカルミアだった……。


私が黙ってフィオーレを見ていると、目に涙が浮かぶ。


「ご、ごめんなさい。泣くつもりはなかったんだけれど」


「|にゃにゃーにゃーにゃ《泣きたい時は泣くがいい。吾輩が近くにいるにゃ》」


今日だけは大人しくしておいてやろうと、フィオーレの膝の上で丸くなる。


それにしても――


なぜ話すと「吾輩」とか、語尾に「にゃ」が付くのだろうか。


やはりこれが猫の性なのだろうか……。


そんなことを考えていると、フィオーレが口を開いた。


「カルミアはね、見た目が大人しそうな子にばかり近寄っていくの。あと、一人でいる子が狙われるわ」


やはりそうだったのか……。


確かに私も、王太子の婚約者ということが知られていたからか、やたら遠巻きにされていた。


友人と呼べる人も、いなかった。


「あとは、婚約者がいて、相手が伯爵以上の家ね。ダリアの婚約者はこの国の公爵子息だから……余計に狙われたのよね」


フィオーレは、この話を他の友人から聞いたらしい。


カルミアは私より一つ年上だから、私が入学する前から色々な人に同じようなことをしていたのだろう。


「カルミアの学年ではもう同じ手口が使えなくなったから、一つ年下の私たちに手を出したのね。しかも、ダリアと婚約者の関係があまり上手くいっていないことも知っていたんじゃないかと思うの」


どうやら今までも、相手の婚約者を奪っていたらしい。


貴族だから家が許さなかったり、相手の男が目を覚ましたりしたのだろうけど……。


「今は廃れてしまって、魔法を使える人なんてほとんどいないけれど……カルミアは、その中に入っていると思うの。だって、化粧が濃いだけで可愛くないもの」


にゃにゃにゃー(にゃるほどにゃぁ……)


確かに、それはありそうだ。


特に男の人は、やたらカルミアを見ている人が多かった。


まるで酒に酔ったような様子だったのを覚えている。


少しカルミアの家や魔法についても、調べてみた方がいいだろう。


もし名前をつけるなら――魅了魔法、といったところか。


本当にそんな魔法があるのなら、これからどう動くべきか、少し突破口が見えた気がした。


ゴーン、ゴーン、ゴーン……


鐘の音が鳴る。


「そろそろ私も戻らないと……お話聞いてくれてありがとう。猫ちゃん。また話しましょう」


そう言って立ち上がると、フィオーレは校舎の中へ入っていった。

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