表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪女として処刑された私、猫に転生したので破滅フラグを回避します  作者: ゆずこしょう
処刑をされないために……

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/50

手紙。

家に着くと、私はカトレアからぴょんと飛び降り、そのまま駆け出した。


「エディちゃん!」


と呼ばれていたような気がしたけど……全然気づかなかった。


猫だから許してほしい……。


ブラオベーレの部屋の前に着くと、扉をカリカリして「開けてくれ」と合図を送る。


少しすると、ガチャリと扉が開いた。


私は開いた瞬間、そのまま部屋に潜り込んだ。


「姉上。どうしたんだい?そんなに慌てて」


「ここでは誰が聞いているかわからないのにゃ。エディと呼ぶにゃ……」


ロベリアのことを考えると、他にもカトレアの祖父の手の者が入り込んでいる可能性が高い。


それこそ、この部屋の会話も聞かれているかもしれない。


私の声は普通なら通じないはずだが……そんな都合よくはいかないだろう。


「わかったよ、エディ。それでどうしたんだい?」


「今から吾輩の話したことを手紙に残してほしいにゃ。ブラオベーレは、私が話している間、うまく相槌を打ってほしい。決して口には出すにゃよ」


そう伝えると、意味を理解したのか「はいはい」と言いながら、手紙を書く姿勢をとった。


「まずはこの手紙を明日までにパキラに届けてほしいのにゃ。できるにゃ?」


「うん」


頷いたのを確認して、私は先ほどの出来事を一つずつ話していく。


カトレアの祖父。


大帝国トライフルの公爵家が黒幕である可能性が高いこと。


カトレアの母親が捕らえられており、カトレアは仕方なく従っている可能性が高いこと。


そして――明日、何かしら動きがある可能性が高いこと。


ブラオベーレは「うん」とか「へぇー」とかしか言わないが、その顔はどんどん険しくなっていく。


「ブラオベーレ。最後に忠告にゃ。カトレアの近くにいるメイド……あれには気をつけるにゃ。恐らくカトレアが悪いんじゃないにゃ。あのメイドが圧をかけているにゃ」


「わかったよ、エディ」


これでいい。


手紙さえ届けば、動ける。


そう判断した私は、ブラオベーレの部屋を出て、フランチェスカの元へ戻った。


――はずだった。


***


意識が浮かび上がる。


重い。


体が、思うように動かない。


(……ここは……?)


目を開けると、見慣れた天井ではなかった。


「にゃぁ~?」


声を出してみるが、返ってくるのは自分の鳴き声だけ。


次の瞬間――


「目を覚ましたんですね。エーデルワイス」


その声で、全てを思い出す。


ロベリアだ。


さっき、気をつけろと言ったばかりなのに。


よく見ると、私は箱の中に入れられていた。


身動きが取りづらい。狭い。


(……いつの間に……?)


記憶が途切れている。


「あなたのことは調べましたよ」


「にゃにゃにゃ~」


「にゃあにゃあうるさい猫ですね。あなたがいると、カトレアが計画を実行してくれなくて困るんですよ」


……通じていない。


だが、それでいい。


今は情報を拾うことが優先だ。


まずは状況を確認する。


箱の中。


そして――揺れている。


微かだが、一定のリズム。


床を通して伝わる振動。


(……馬車……?)


「やっとこの国に復讐できるというのに、それでは困るんです」


ロベリアの声には、はっきりとした怒気が含まれていた。


この女、本気だ。


(どこに向かってる……?)


時間の感覚が曖昧だ。


どれくらい経ったのかも分からない。


その時――


視界が一瞬、明るくなった。


次の瞬間、体が宙に浮く。


「にゃぁぁぁ!」


衝撃。


箱ごと外へ投げ捨てられた。


地面に叩きつけられ、体に鈍い痛みが走る。


「さようなら、エーデルワイス。きっとあなたなら生きていけますよ」


軽い声だった。


まるで、本当にどうでもいいものを捨てるみたいに。


そのまま馬車は減速することなく走り去っていく。


遠ざかる音。


静寂。


――完全に、切り離された。


***


「パキラ様。手紙が届いております」


気配もなく現れたのは従者だった。


音がない。


影としては優秀だ。


「そうか……誰からだ?」


「ブラオベーレ様という方です。初めての方でしたので警戒しましたが……ただならぬ様子でしたので。それに、名前を言えば分かると」


ブラオベーレ。


フランチェスカの弟。


嫌な予感がする。


「知っている。そこに置いておいてくれ」


「承知しました」


それだけ言い残し、従者は音もなく消えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ