フランチェスカの成長にお母様も吃驚です。
フランチェスカにチャームをつけてもらってから、いつもより気持ちが軽くなったように感じる。
最近では、首元に光るチャームがとてもお気に入りだ。
私のプリチーな白い毛に黒は浮くのではないかと思ったが、そんなことは全然なかった。
小さめのチャームでシンプルな形なのもまたいい。
「あら。エディはまた鏡みてたのね!最近身なり気にして、恋でもしているの?」
「こ、こここ恋なんてしてにゃいにゃ。吾輩だってプリチーな女の子にゃのにゃ。だから鏡くらい見るにゃよ」
そもそも見た目は猫なのだ。
どうやって恋をするのか……相手はやはり猫になるのだろうが……謎である。
それにフランチェスカに戻れるかなんて分からないし、恐らく戻れないと思っている。
フランチェスカを自身と重ねてみていなかったし、「エーデルワイス」という名前がしっくりくるくらいには猫になっている。
「ふふ。まぁいいわ!いつかそのチャームをくれたお友達にも合わせてちょうだい。今日は午後からカトレアお義姉様とお母様のお茶会をセッティングしているから、早速準備しましょう」
顔の前で両手をパチリと合わせると、フランチェスカは早速準備を開始した。
お茶会と言っても家族のお茶会だし、そこまで準備は必要ないはずだ。
フランチェスカにシャンプーをしてもらって、その後綺麗にブローしてもらう。
いつも手入れしているからそこまで変わりはないように見えるけど、いい匂いで気分も上がるのだ。
フランチェスカは青いワンピースを着ていた。
最近はピンク系の服を着るのはやめたらしい。
好きな色、好きな化粧、好きなドレスを着て、目いっぱい今を楽しむんだそうだ。
これはダリアと話して決めたんだとか……。
友人ができてから、とことん楽しんでいるようで何よりである。
もしかしたら首チョンパを免れない可能性もあるし……本人には言わないけど、楽しんでもらうに越したことはない。
「さて……そろそろ時間だし、いきましょうか?」
私はフランチェスカの隣をスタスタと歩く。
「フラン、すごく緊張してるにゃ」
「そりゃそうよ……家族だけれど、疎遠だったから……」
疎遠の理由は何となくわかる。
引っ込み思案のフランチェスカには、お母様の厳しさが辛かったのだろう。
「大丈夫にゃ!お母様もずっと心配していると思うにゃ……きっと話せて嬉しいはずにゃ」
私が捕まった日。
お母様とお茶をしたのは数年振りで……そんな時に私が捕まったからか、きっと信じたくても信じられなかったのだと思う。
その結果があの言葉だった……。
そう思うのは都合よく解釈しすぎだろうか。
二人で向かうと、お母様とカトレアもちょうど来たところだったようだ。
「お母様……お久しぶりでございます。ずっと……申し訳ございません……でした……」
「フランチェスカ……久しぶりね。元気そうでよかったわ。同じ家にいても全然会わないから……少し心配していたの」
目元に涙が浮かんでいるところを見ると、本当に心配していたのだろう。
私ももっと早くお母様に会っていれば良かったのかもしれない。
久しぶりに見たお母様の顔は、以前よりも少し優しくなっているように感じた。
「ご心配おかけいたしました。今までの分を埋めるつもりで、今日のお茶会楽しみましょう」
「そうね。フランチェスカはあまり話したことがなかったわよね。プープリエのお嫁さんのカトレアよ」
お母様が背中を押すと、カトレアが一歩前に出る。
「カトレアお義姉様。あまりお話できずに申し訳ございませんでした。本当はお義姉様ができてとても嬉しかったのです。仲良くしてくださいませ」
見本のような綺麗な挨拶に、思わず驚く。
今まで吃ってばかりで人見知りだったフランチェスカが、堂々と挨拶をしたのだ。
「フランチェスカ。こちらこそ中々お話できずにごめんなさい。私も仲良くして貰えたら嬉しいです。よろしくお願いしますね」
「はい。では……立ち話もなんですし、座ってお茶にしませんか?」
フランチェスカが笑顔で二人に話しかける。
本当に楽しみにしていたのだろう。
それか――これが友人効果なのかもしれない。
席に着くと、私のことも紹介してくれた。
「お二人も見かけたことがあると思うのですが、エーデルワイスも女の子なので連れてまいりました。仲良くしていただけると嬉しいです」
「にゃぁー」
二人の前で挨拶をすると、猫じゃないみたいねとクスクス笑っていた。
そこからはフランチェスカやカトレア、お母様の話を聞きながら、皆の間を行ったり来たりする。
膝に乗ったり、撫でてもらったりしながら、束の間のお茶会を楽しんだ。
カトレアも猫には警戒していないのか、普通に撫でてくれていた。
――これなら、いける。
明日から、カトレアについて出かけてみることにした。
正直、どこに行くのか……少し楽しみである。
宰相が見つかればいいのだけど……。




