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悪女として処刑された私、猫に転生したので破滅フラグを回避します  作者: ゆずこしょう
処刑をされないために……

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23/30

婚約破棄…これで回避ができるとは思えないにゃ…。

卒業パーティーから切り上げて帰ってきて、はや数日。


フランチェスカは婚約破棄されたこともあって、以前よりも明るくなっていた。


それだけじゃない。


今まで同じ家にいても話そうとしていなかったお母様と、話すようになったのだ。


私も、自分がフランチェスカだった時のことを思い出す。


あの時は――お母様がいくら励ましてくれていると分かっていても、なかなか話を聞けなかった。


正論だと分かっていても、それが逆に傷ついた心に染み込んでいくというか……そんな感じだった。


「これで処刑はないわよね。だって婚約破棄したんだもの」


今にもスキップしそうな勢いで話しかけてくるフランチェスカ。


確かに婚約破棄だと王太子は言ったが、私には一つだけ懸念があった。


国王と王妃は、それを承諾していないということだ。


「1つ確認にゃ。パーティーの時、国王と王妃はいなかったのにゃ?」


例年通りであれば、卒業パーティーは国王と王妃が出席する決まりになっている。


普通なら、そこまでの大事に国王や王妃が出てこないのはおかしい。


「そう言えば、座って見ているだけだったわ……」


そこだ。


婚約破棄の話まで出てきているのに、座っているだけで終わるものだろうか……?


そして、これで本当に処刑は免れたのか。


私は不安でしかなかった。


***


家の中が寝静まった頃。


毎月恒例となった執務室へ向かうと、お父様たちが集まっていた。


「エディも来たし、早速始めようか」


お父様の言葉に、皆が頷く。


「今日、婚約破棄についての書類を受理してもらおうと王城に行ってきた」


婚約破棄できて嬉しいはずなのに――お父様の顔が、すべてを物語っているようだった。


「やはり受理はされなかった……。国王たちは『私たちは聞いていない。フランチェスカの聞き間違いではないか』の一点張りでね」


そう簡単に上手くいくとは思っていなかった。


それでも、国王たちがここまで頑なだとは……。


「やっぱりにゃ……近くにいた人の証言は……?」


首を横に振るお父様を見る限り、証言は取れなかったのだろう。


そもそもこの国の貴族は、国王の意見は絶対という空気が強い。


国王が見ていないと言えば、見ていないことになるのだ。


しかも国王も王太子も、気に食わないとすぐ癇癪を起こす。


……関わりたくないと思うのも無理はない。


「とりあえず婚約破棄はすぐには無理そうだ。フランチェスカが喜んでいるところ悪いが……明日伝えるよ」


そう言ったお父様の背中が、ひどく小さく見えた。


その重くなった空気を断ち切るように、お兄様が口を開く。


「時間が無いから話すね。エディに言われてから宰相のことを調べていたんだけど……宰相が国王の仕事をすべて行っているようなんだ。まぁ、フランチェスカと同じ感じだろうね……もしかしたら、それ以上かもしれない」


王宮に何度か足を運んだけれど、宰相だけは見つけることが出来なかった。


「宰相の家族も、ここ2年ほとんど家に帰ってきていないと言っていた。でも大事な夜会や会議の時だけは見かけるんだ」


2年前――。


「フランチェスカが貴族院に行き始めたころにゃ……」


「そう! そこだ。フランチェスカが貴族院に行っている間、王宮に軟禁状態で仕事をさせられている可能性が高い。場所までは特定できていないけど……恐らく国王の仕事に加えて、王太子の仕事も押し付けられている」


それは十分あり得る話だった。


宰相は、王宮で見かけるたびに疲れ果てた顔をしていた。


……思い出すだけで、胸が重くなる。


「宰相なら、今までの国王の蛮行も証言してくれる可能性が高い。もう少し探ってみる」


「吾輩も王宮をもう少し探してみるにゃ。それと、お兄様にもうひとつお願いにゃ。公爵子息に本当は婚約者がいたのではないか、調べて欲しいにゃ」


「分かった。調べてみよう」


お兄様と視線を交わし、互いに頷く。


「だいぶ話が固まってきたところで、最後に僕だね」


そう言って、ブラオベーレが書類を取り出す。


「ごめん、実はそこまで深くは調べきれていないんだ」


そう言いながらも、その書類には多くの情報が記されていた。


そして一番上には――


『誰が聞いているか分からないから、読んだらこの場で燃やして欲しい』


と書かれている。


「カルミアの魔法だけど……」


ブラオベーレは書かれている内容とは別のことを話し始める。


……周囲へのフェイクだろう。


お父様たちはその言葉に頷きながら、書類に目を通していく。


私も必死に読み、頭に叩き込んでいく。


そこに書かれていたのは――


カルミアとカトレアが姉妹であるという事実だった。


カルミアは正妻の子。


カトレアは愛人の子。


そしてカトレアの方が年上――つまり、愛人の家に入り浸っていた可能性が高い。


さらに、その愛人は――大帝国トライフルの公爵令嬢。


王妃の座を巡る争いに敗れ、国を追放された人物だった。


そこで出会ったのが、パンナコッタ男爵。


当時はまだ家督を継いでおらず、自由奔放に生きていたのだろう。


二人は恋に落ち――カトレアが生まれた。


他にも様々な情報が記されていたが……。


とりあえず必要な部分だけは、しっかりと頭に刻み込んだ。

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