第14話 騎士団
レイとニルは、ハンバーグを全て平らげ、満足そうに寝っ転がっている。
獣人だから大丈夫だとは思うけど、犬には玉ねぎが毒とか聞くので、一応鑑定してみる事にした。
ウルテリ・ニル 18歳 女
Lv75
HP 2080/2080
MP 200/200
職業 聖騎士
スキル 「疾風Lv2」「裂爪Lv9」「噛砕Lv8」「毒耐性Lv4」……etc
「なあ、ニルはどうしてここに居るんだ?ここは、危険な場所なんだろ?」
「雑魚な人間と一緒にするなです!ニルはここで住んでるんです!」
「そうなのか」
「ニルは強いんです!だから、ここを住みかにしているんです!」
と、言っている。
「マスター獣人族の村はここからかなり離れていたような気がするんですが....」
「ふん。あんな雑魚達と一緒にするなです!」
何かあるのだろうか?もしかして、強くなる為に魔域で強い魔物を倒して、修行でもしていたのだろうか。
「おい、右手を出すです」
「ん?」
右手を出そうとすると、またガサガサという音がした。
「やっと見つけました」
――と、そのとき。
森の奥から、銀色の鎧を着た数十人の集団が現れた。
「姫様。お城へお戻りください」
鎧を着た者たちの中で、明らかに一番偉そうな男がレイに声をかける。
「うぇえ!?なんで騎士団長がここにいるの!?」
「姫様。さあ、帰りますよ。それと、そちらの方もご一緒に来ていただきます」
「なんで俺まで!?」
レイと騎士団との会話で、俺は関係ないと空気になっていたら、突然会話に出てきてビックリした。
「姫様がその方と契約したと聞きましてね。王様より『一緒に連れてこい』とのご命令です。探索魔法を使って、ここまで来ました」
「い、今はお父様と絶交中だから、絶対に帰らないから!」
「ダメです。姫様を連れ帰れなかったら、我々は減給処分なんです」
「そんなの、貴方達の都合でしょ!」
レイと騎士団長は、延々と言い合っている。
いや、なんで俺まで巻き込まれてんの!?
完全に部外者なんですけど!?
「姫様。その態度では、無理やりお連れしますよ」
「ふん。私の方が強いし、無理でしょ」
「やってみないと分かりません姫様を取り囲め!」
数十人の騎士団が一斉に動く……が、結果……取り押さえるどころか、あっさり返り討ちにされて、レイって強いんだなっと改めて思った。
「くっ……やはり力尽くは無理ですか……でしたら」
騎士団長が袋から取り出したのは、丸い何か。
爆弾か!?
……と思ったら、めちゃくちゃいい匂いがする。
「マーマーパンのパン屋でしか売っていない、ふわふわパンです。これが食べたければ、大人しく城へ戻ってください」
レイが、ピクッと反応した。
「ふ、ふん! そんな物で釣られないもん!マスターの料理の方が何倍も美味しいし!そんなもので私を言うこと聞かせようなんて、無駄だから!」
「う、嘘だろ……!?お菓子出せば何でも言うこと聞く姫様が!このパンでダメだと!?」
騎士団長、衝撃のあまりパンを握ったまま膝から崩れ落ちた。
俺はその光景を見て思った。
――いや、そこまで!?
正直ツッコミたかったが、なんだか可哀想になってきた。
減給処分とか言ってたしな……。
「レイ、一回家に帰ったらどうだ?お父さんも心配してるんだろ?騎士団長まで寄こしたんだから」
「……うぅ……」
騎士団長を見ると、首がもげそうな勢いで縦に振られている。
「その通りです。王様の命令もありますが、何より姫様が心配で……」
「で、でも……」
絶交した理由は分からないが、騎士団長の為でもあるのだから、俺はレイに説得してみる事にした。
「そんなこと言う子には、美味しい料理作ってあげないけどな」
「えっ!?それは嫌です!!マスター私帰るから! 絶対ご飯作って!!作らないとか言わないで!!」
ガチ泣きで俺にすり寄ってくる姫様。
「わ、わかったから!作るから!だから一旦帰ろうな?」
「うん……」
ようやく納得したのか、レイは俺から離れ、城へ帰る決心をした。
騎士団長は俺の手を両手で握り、
「本当にありがとうございます……!本当に……!」
と、何度も頭を下げてくる。
こうして俺とレイは騎士団の後について行き、レイの父である王が待つ王城へ向かうことになった。
「あれ、ニルは?」
「騎士団たちが来た時には、姿が見えませんでしたね」
ニルにも声をかけようとしたが、騎士団が現れた時にはすでにいなくなっていた。
おそらく警戒して、先に家へ帰ったのだろう。




