第11話 討伐
魔域を一時間ほど当てもなく走行していると、黄色い木の実を発見した。
「なんだあれ?」
「あれは甘い果実、アマスギです」
甘い果実らしい。名前からして、いかにも甘そうだ。ドデベアを探しても見つからないので、息抜きとして美味しそうなアマスギを取ってみることにした。
「あっっま!!!!」
「甘いでしょ〜」
なんだろう。甘すぎて、一気に喉が渇くような感じだ。一口かじっただけで、もう食べたくなくなる。
「これは甘すぎて、誰も食べたくなくなるから、誰も採らないんですよ」
「おい、先に言えよ」
とはいえ、甘味は大事だ。このままだとすぐに腐るかもしれないが、ここまで甘いなら砂糖のようなものが作れるんじゃないか?
「なあ、できるだけ多くこのアマスギを採取してくれ」
「え、そんなに美味しかったですか……?」
「いや、加工したら何か美味しいものができそうでな」
「え!」
そう言うと、レイはぱっと表情を明るくし、近くにあるアマスギをすべて採ってきた。数はだいたい百個ほどだ。
「よし」
アマスギを潰し、果汁だけを鍋に移す。それを布でこし、火加減を調節できるガスコンロで弱火にかけ、じっくり煮詰めて水分を飛ばす。
やがて鍋の底に、甘い黄色がかった結晶が現れ、果糖が完成した。
あとはそれをレイに粉々に砕いてもらい、容器に詰める。
こうして、甘い果糖砂糖が完成した。
「マスター、こんなので何ができるんですか?」
「そうだな〜、プリンとか色々だな〜」
「プリンってなんですか?」
「プリンってのはな、柔らかくて甘いデザートだよ」
「なんですか!その美味しそうな食べ物は!食べてみたいです」
「まあ、材料がないと無理だけどな」
そう言うと、レイは不満そうな顔をした。
「じゃあ、そろそろドデベア探しに行くぞ〜」
と、出発したはいいが、助手席に座っているレイがうるさい。
「マスタープリン食べてみたいです!プリン!プリン!プリン!プリン!」
「わかったよ。ドデベア討伐できたら、残りの報奨金で卵と牛乳を買って作ってあげるから!」
「約束ですからね!プリン!」
あまりにプリンプリンと連呼されてうるさいので、できるか分からないプリンを約束して、さらに森の奥の方を辿ると、大きな魔物が通ったような通り道を見つけた。
その道を辿ってみると、大きなドデベアがゴブリンを食べている最中だった。
「鑑定!」
ドデベア オス LV67
HP:5425/6400
MP:320/320
スキル「怪力 Lv6」「重装毛皮 Lv8」「自己再生 Lv4」「突進 Lv4」「裂爪 Lv10」
HPが大きく減っているので、多分レイを襲っていたドデベアと同一個体だと思う。
現在進行形でゴブリンから攻撃を受けているが、HPに1ダメージも入っていない。レイがHPを削ったドデベアだと確信した。
「よっし、行くぞ!!」
「はい!」
俺は、まず思いっきりドデベアに突進した。ドデベアは近くの木にぶつかり、逃げようとする。そこへ助手席から飛び出したレイが攻撃を繰り出す。
「ファイアーボール!」
「グハァアアアア!!」
レイは魔法をめくらましとして使いながら、威力の高い剣で戦っている。俺も参戦し、ドデベアに体当たりを繰り返して、HPを半分ほど削ることができた。
「マスター!ここで必殺技いきますよ!なので、足止めお願いします!」
「おう!」
必殺技には、どこでも貯めが必要だ。俺は全力でアクセルを踏み込み、木に押さえつけた。
「え?」
「マスター、良いですね!そのまま押さえつけてください!」
押さえつけているのはいいが、なぜか俺の右手に浮かんでいた紋様が光り出した。
「アポカリプス・ブレード!!」
「グォオオオオ!!」
剣に巨大な光が集まり、大剣へと変わる。その一撃でドデベアの体を斬り裂き、HPをゼロにして倒すことができた。




