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筋肉の限界値と、数学教師の「無慈覚なドーピング」

この物語はフィクションです。現実の学校現場とは全く関係ありません。ご一読ありがとうございます。

「中村先生! 相談がある。君の『情報の力』を、我がバスケットボール部に貸してくれないか!」


放課後、体育館から汗の匂いと共に、岡田マイケル先生が職員室に飛び込んできた。引き締まったアスリート体型の彼は、興奮すると声が10デシベルほど上がる。


「岡田先生、落ち着いてください。……情報の力、といっても私はただスプレッドシートをいじっているだけですよ」


「それがいいんだ! 生徒たちの筋トレ記録、今は全部紙に書かせて私が手でチェックしている。だが、これでは『超回復』のタイミングが科学的に掴めない。中村先生、君なら『筋肉の叫び』を数式にできるはずだ!」


(筋肉の叫び……? 怖い。体育会系のパッションが怖い。でも、このままだと毎日岡田先生に『集計手伝ってくれ』と捕まってしまう。……よし、これも自動化して、岡田先生をタブレットの中に閉じ込めよう)


「わかりました。岡田先生。生徒全員の心拍数、睡眠時間、そして各種目の最大挙上重量(1RM)をリアルタイムで可視化する『マッスル・ダッシュボード』を作りましょう」


---


### 校務:岡田先生への「バイオメトリクス」提案


私は岡田先生に、ある無料のデータ可視化ツール(Looker Studio)を見せました。


**中村:**「いいですか、岡田先生。このフォームに生徒が練習後の体調を入力すると、グラフが自動で更新されます。もしグラフが急激に下がれば、それはオーバーワークのサイン。赤いアラートが出るようにしておきました」


**岡田:**「……オーマイガー。これなら、私が勘で判断していた『根性』の領域が、すべて数値で管理できる。中村先生、君はもしかして……スポーツドクターの資格も持っているのか?」


**中村:**「いえ、ただの数学教師です。単に『岡田先生に紙の束を渡されるのが嫌だった』だけなんですけど……」


**岡田:**「ハハハ! 謙遜を! 君は『データという名の鏡』で、生徒たちの肉体を解剖しているんだ。……これこそ、真のプロフェッショナリズムだ!」


(違う。私はただ、定時に帰ってアイスを食べたいだけなんです……!)


---


### 授業:2次関数の最大・最小(放物線シュート編)


翌日の数学Ⅰの授業。私は、岡田先生から提供されたバスケ部の「シュートデータ」を教材にしました。


**中村:**「いいかい、みんな。バスケットボールの軌道は という放物線だ。山口くん、君がシュートを外すのは、根性が足りないからじゃない。放物線の『頂点』がリングの高さとズレているからだ」


**山口:**「えっ、俺のシュート、計算で入るようになるのか!?」


**中村:**「理論上はね。ボールを放す角度と速度を2次関数の最大値として計算すれば、リングの中心を通る軌道は一つに決まる。……ほら、このグラフの の値がリングの高さ になるとき、 がちょうどゴールまでの距離になればいいんだ」


**六条:**「……先生。これ、空気抵抗とボールの回転数スピンを係数に組み込めば、ほぼ100%の確率でシュートを決められる『必勝方程式』になりませんか?」


(……おっと。六条さんの目が、勝負師のそれに変わった。数学を『勝つためのツール』として認識し始めている)


**中村:**「ま、まあ、最後は岡田先生の言う『筋肉の調整力』も必要だけどね……(汗)」


---


### 結末:山中高校、スポーツの聖地へ?


数日後、バスケ部の練習風景が一変していました。

生徒たちはシュートを打つたびにタブレットを確認し、「今の軌道は頂点が 低かった」などと議論しています。


「中村先生……。あなたの『放物線メソッド』で、部員のフリースロー成功率が8割を超えました。……あなたは、教育界のフィル・ジャクソン(名将)だ」


岡田先生が、プロテインシェイカーを掲げながら私に感謝を伝えてきます。

その隣では、朝永教頭が静かに頷いていました。


「中村くん。物理法則を身体知に落とし込む……素晴らしい試みだ。……今度、弓道の矢の軌道も計算してくれないかな?」


(教頭まで!? 私はただ、数学を身近な例で説明して、サボる生徒を減らしたかっただけなのに……!)


そして、校長室。稗田校長は、タブレットに映し出された生徒たちの成長グラフを見て、静かに呟きました。


「試練は形を変え、数字となります。……中村先生。あなたが描く放物線は、この学校の未来を高く、遠くへと導く架け橋なのですね」


中村正樹の「楽をしたい」というささやかな願いは、またしても「奇跡の指導法」として学校の歴史に刻まれていくのでした。

演習問題

あるシュートの軌道が y = - 0.2x^2 + 2x + 1.5 で表されるとき、ボールの高さ y が最大となるのは、水平距離 x がいくつのときですか?(平方完成を用いて求めなさい)

1. x = 2

2. x = 5

3. x = 10

4. x = 1.5


解説

y = - 0.2( x^2 - 10x ) + 1.5

y = - 0.2{ ( x - 5 )^2 - 25 } + 1.5

y = - 0.2( x - 5 )^2 + 6.5

よって、頂点の x 座標は 5 です。**正解:2**

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