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数学教師はサボりたい(習作)  作者: 中村正樹
山中高校の職員室
50/50

(完結)新学期の「初期値設定」と、春のバタフライ効果

この物語はフィクションです。現実の学校現場とは全く関係ありません。ご一読ありがとうございます。

春休みが終わり、山中高校は再び新しい「生命」の気配に満ちあふれていました。職員室では、新年度のクラス替えと座席配置という、教員にとっての「究極のシミュレーション」が行われています。


**鈴木:**「……中村先生。これが新2年生の暫定座席表です。カオス理論における**『バタフライ効果』**を考慮し、最も学級崩壊の確率が低い初期値を算出しました」


**中村:**「バタフライ効果……。ブラジルの蝶の羽ばたきがテキサスで竜巻を起こすように、教室の端に座った一人の私語が、3ヶ月後の授業崩壊を引き起こすというわけですか」


**鈴木:**「その通りです。特にこの『山口くんの親戚の元気な新入生』と『お喋り好きな生徒』を隣接させた場合、教室内におけるノイズの増幅率は指数関数的に増大します。この二人の間に、吸収材として『沈黙を好む生徒』を配置する**非線形最適化**が必要です」


**中村:**「鈴木先生、理論は立派ですが、人間は数式通りのエージェントではありませんよ。彼らは磁石のように、反発し合いながらも、気づけばくっついているものです」


そこへ、新しい名簿を抱えたエミ先生が、春風のような足取りでやってきました。


**エミ先生:**「中村先生、鈴木先生! 見てくださいな! 今年の新入生名簿、お名前の漢字がとっても綺麗ですわ! 私は、出席番号順に座るのが一番『自然の理』にかなっていると思いますの。運命が引き寄せた隣り合わせ……なんてロマンチックではありませんこと?」


**中村:**「エミ先生、それは数学的には『無作為抽出ランダムサンプリング』による座席配置ですね。運命に任せすぎると、私のサボり時間が、生徒たちのトラブル対応という名の『外力』によってゼロになってしまいます」


**鈴木:**「……エミ先生の提案ランダムと私の提案(最適化)のどちらが正しいか、シミュレーションを実行します。……。……。結果が出ました。どちらの初期値から始めても、半年後には特定の『アトラクター(引き込み子)』に収束します」


**中村:**「アトラクター? つまり、どんな配置にしても、最終的には同じ状態に辿り着くと?」


**鈴木:**「はい。その状態とは……**『全員が中村先生のサボり癖に呆れ、自分たちで勝手に自習を始める』**という、安定した定常状態です」


**中村:**「……。……なるほど。私の『サボり』こそが、この学級という複雑系のカオスを鎮める、最強の安定化装置だったというわけですね」


窓の外では、新しい1年生たちが期待と不安を胸に、校門をくぐってきます。


**中村:**「よし。初期値がどうあれ、結果が変わらないなら安心だ。鈴木先生、エミ先生。新しい第1項(初日)を書き始めましょうか。もちろん、私は適度なサボりという名の『遊び(マージン)』をシステムに組み込みながらね」


中村先生は新しい出席簿を閉じ、春の光に目を細めました。山中高校の新しい1年が、予測不能で、しかし数学的に美しい軌跡を描きながら、今、始まりました。

演習問題

ごくわずかな初期値の違いが、時間の経過とともに予測不可能なほど大きな結果の違いをもたらす現象を、ある生き物の名を使って何と呼びますか?


1. キャット・エフェクト

2. バタフライ・エフェクト

3. ドラゴン・カーブ

4. ラビット・シークエンス


---


**【解説】**

「バタフライ・エフェクト(バタフライ効果)」はカオス理論の代表的な概念で、気象予測や社会現象など、複雑なシステムにおいて完全な未来予測がいかに困難であるかを示しています。

**正解:2**


さぁ、いよいよ新年度のチャイムが鳴ります。

山中高校の次の1年はどのような1年になるのでしょうか?


これで、一旦完結にしたいと思います。

もし全て読んでくださった方がいらっしゃったとしたら、矛盾だらけのストーリーになっているかもしれません。次に文章をかく際には、もっと気を付けることができるようにしたいと思います。


本当に最後までお読みいただきありがとうございました。

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